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「打ち上げって何やるんですか?」
打ち上げ会場となる体育館脇までの移動の最中、飯野が尋ねてきた。
「あぁ、保護者会が色々準備しててくれてるから、簡単な立食パーティみたいなもんかな。最後の片付けはみんなでやらないといけないけどね」
「立食パーティ?!高校の合宿ってすげー!」
「いいね…良い反応だね飯野ちゃん…」
おかしなテンションで山梨さんがふらりと現れた。
「山梨さん、お疲れ様です!」
「おー、お疲れ…いいね…元気でね…」
「はい?」
飯野が首をかしげる。
「一年生ー!椅子出すのちょっと手伝ってー!」
瀬川さんの声に一年生が集まる。
「あ!俺も行ってきますね!」
ニコッと笑って飯野が掛けていく。
「山梨さん、顔…ヤバイですよ」
思わずそう声を掛けてしまうほど、山梨さんの顔はやつれていた。
「お前には分かるまい。樹海に迷い込んで、何が正解か分からなくなったようなこの気持ちはな…」
「はぁ…」
何を言っているのかは分からないが、ペナルティーの事を考えているのだと思う。
「適当に言っておけばいいんじゃないですか?」
「……お前…分かってないな…」
山梨さんは仰々しく間を開け、ゆらりとこちらに向き直った。
「去年の戸倉さんを覚えてないのか!?好きでもない野郎相手に告白して、フラれて笑われた挙句謎に落ち込む上に、その後散々いじくり回されるんだぞ!!」
山梨さんにしては珍しい早口のマシンガントークに気押される。
「ねーねー秋月、明後日からのメニューでさ」
プリントを見ながらやって来た緒方さんが、山梨さんに気がついた。
「山梨…顔ヤベーぞ…」
「それ秋月にも言われたわ…」
「俺は三年間回避したもんねー」
緒方さんはピースしながら嬉しそうに笑った。
くそぉ…と山梨さんは緒方さんを恨めしそうに見る。
「そうだった!秋月、これ監督に言われてさ」
緒方さんは再びプリントに視線を戻す。
そのプリントをのぞき込む。
山梨さんはフラフラと立ち去って行った。
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