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「え?これ?取っていいの?」
「はい!緒方さんに渡して欲しいって、女子バスケの人から!」
ざわりと、胸の奥でなにかが動いた気がした。
(……なんだ?)
「えっ?なに?まさか呼び出し?!ラブレター?!」
「なんで緒方にっ?!俺にはっ?!」
「ポケットに入れてもらったってその女子にか?!清人うらやまけしからん!!」
「果たし状かも知れないよ」
「果たされる様なことした記憶ないけど?!」
誰が何を言っているのかわからない程に、三年生が一斉に話し出す。
「とりあえず早く貰ってやれよ。清人がいつまでもこのままだぞ」
一人冷静だった渡辺さんが言う。
思わず緒方さんに視線を移すと、それに気づいたのか目が合った。
が、一瞬でそらされる。
またなにかが、胸の奥で動く。
得体の知れないそのなにかは、じっとりと胸の奥を這うようで酷く気持ちが悪い。
「あー…それ、返してきて」
「「「は?」」」
緒方さんの言葉に、三年生全員がシンクロする。
「俺果たされる様なことした覚えないし」
「女子が果たし状なんか書くわけないだろ。どう見てもラブレターじゃん」
呆れたように田沼さんが言った。
「だったら尚更、受け取れない」
一瞬場がしんとする。
じわじわと三年生の視線が自分に集まってくるのを感じ、目を伏せる。
「なるほど…」
と小さく呟き、山梨さんがため息をついた。
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