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同じ方向に向かう人の中を歩く。
「腹減らない?おれはたこ焼き食いたいなぁ」
「まぁそうですね。とりあえず暑いんでかき氷いきたいですかね」
「え?かき氷はデザートだろ?」
「……え、あれってデザートのカテゴリーなんですか?」
「えっ?違うの?」
その後、かき氷はメロンしか認めない!と言い張る緒方さんの話しを半分聞き流しながら、出店が立ち並ぶ河原まで歩いて来た。
「思ってたよりも人すごいですね」
「だろ?後で花火も上がるからさ。毎年すごい人なんだよ」
視界一面に広がるのは、ただただ人の波だった。
人の流れに逆らわないよう並んで歩く。
昔は自分もこの人波に飲まれて離れてしまわないよう、親に手を引かれていた。
視界に入るのは大人の腕や足ばかりで、それに流されてしまわぬよう、必死に親の手を握っていた。
今はちゃんとどこに何があるのかが見える。
随分と長い間、こういう場所には来ていなかったんだと気づいた。
突如手を握られ、驚いて緒方さんの顔を見る。
緒方さんは何事もないように前を向いていた。
「あの、緒方さん」
「ん?なに?」
「手、見られたらまずいですから…」
「秋月が迷子になったら困るじゃん」
「…なる訳ないじゃないですか」
「俺がなっても困るじゃん」
「さっきそんな事ないって言ってましたよね」
「それは子供の時の話しだろ?」
「……え、今の会話って成立します?」
「えー?こんだけ人いるからバレなくない?」
絶対に成立してないような気はしたが、いじけたような顔に思わず心が揺らぐ。
「いや、でも…」
少しの間頬を膨らませていたが、わかった、と呟くと、するりと手を離してくれた。
その後緒方さんの食欲の赴くままに出店に立ち寄っては、片っ端からそれを食べ続ける緒方さんに食欲を奪われ、自分も途中たこ焼きと焼きそばを平らげた。
「緒方さん、そろそろかき氷いってもいいですか?」
「よし!許す!俺もメロン食べよーっと」
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