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上地病
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(ええ、私が。すみません、本編で上地を書いていないので、上地不足に陥りました…………ちょっとだけ短いの入れさせて下さい(T_T)チョコビ様、パロもう少しお時間下さいませ………申し訳ありません)
私は、上地不足。
上地は…………………そりゃ、嵩原不足。
「…………………………嵩原の奴、何しとんや」
上地in関東。
そう、上地は今関東。
本編で嵩原と別れてから、上地は直ぐに関東の地を踏んだ。
かれこれ、3週間近く嵩原に会っていない。
「あのどアホ……………………連絡位して来んか」
なら自分から連絡を入れれば良いものを、上地は素直じゃない。
自分は、『冷酷上地』。
出来るかそんな真似………………。
「…………………嵩原…………………」
でも、会いたい。
上地は空を見上げ、愛する名を呟いた。
今日は、快晴。
目の前に広がる雲一つない青空が、愛しい男を思い出さす。
真っ直ぐで、広く、この澄んだ青のように、見ているだけで気持ちが洗われる。
同じ極道者として、汚ない世界も沢山見てきたであろうと思うのに、あいつは相変わらず眩しい。
自分でも呆れるが、あの眩しさが心地好い。
最早、中毒者。
「俺もとことんアホやな…………………」
一生、片想い。
40前の厳ついオヤジの恋は、10代の頃と何一つ変わらない。
こう見えて、案外心は綺麗だと思う。
真っ昼間の街中。
組員達と、料亭で昼食を済ませに出て来た上地は、広い敷地を歩きながら嵩原の事を考える。
そして、毎度の事ながら、それを見る白洲会の組員達は、難しい顔でブツブツ言ってる親父に戦々恐々。
「ヤベぇな……………………何や、親父…………また機嫌悪そうやないか?」
「ああ、そんな気ィする………………日に日に、眉間にシワ寄っとるで」
単にそれ、嵩原に会えない欲求不満。
近頃の上地バロメータは、全て嵩原で決まる。
「ぁあっ!…………………しくったっ」
しかも、こんな時のミスは命取りになる。
「ど、どないしたんやっ!」
突如、上地の後ろを歩いていた組員が、何かを思い出した様に叫ぶ。
「ここの会席、親父の嫌いな鱧が入っとる言うとった…………………前もって、親父に何がええか聞いて変更してもらおうと思っとったん、忘れてたわ…………」
「最悪やないかっ!!どないすんねんっ!もう予約時間やし………っ」
料亭の石畳が、黄泉への入口に見えてきた。
組員達は顔を青ざめ、立ち竦む。
全身の穴と言う穴から、嫌な汗が噴き出すよう。
「確か、前に大阪で鱧料理用意した佐山さん、幹部降ろされたで」
「えっ…………………佐山さん、それで幹部降ろされたんかっ」
鱧、恐るべし。
「おい、どうにかせえよ……………………」
「どうにかって……………………なら、親父の気ィ引いてくれや。ダッシュで厨房駆け込むさかい」
「は…………………親父の気……………」
引けるものなら、引くけどさ。
隙のない上地の気を引くなんて、命懸け。
「……………………あ?どないしたんや、お前ら。何かあったんか?」
背後でゴニョゴニョする組員達に、親父は眉をひそめる。
ひっ…………………。
その顔がまた、余計に恐い。
「すっ、すみません!何でもありません………っ」
慣れとは、哀しいものだ。
親父に見られると、無意識に頭を下げる組員達。
とりあえず、許しを請う。
何の?
とにかく、怒らせては駄目だ。
うん。
鱧がバレる前に、何とかせねば。
何とか……………………。
「あれー?上地やん♪」
え。
料亭の日本庭園に響く、関西弁。
「なんやぁ、お前も飯か?」
飄々とした陽気な声と、風が香るような爽やかさ。
「わっ!!嵩原組長っ!」
真っ先に、組員達が驚きの声を上げた。
それから、じわりじわりと来る、胸の高鳴り。
「嵩原………………………」
青々と繁った木々の間から現れた、ライバル。
後ろへは錦戸達組員が数人いたが、そんなものは目に入らない。
上地の視線は、一気にそこへ奪われた。
「久し振りやなぁ。最近、忙しゅうて連絡出来ひんかったわ。調子は、どんなや?………………あ、おいおい、また眉間にシワ寄っとんで?伸ばせ伸ばせ~」
「アホか………………触んな」
ニヤニヤ笑いながら、自分の額へ触れてくる嵩原に、上地はムッとしてその手を突っぱねる。
ムッ。
最近、忙しかったんか…………………。
ただ、内心はホッとしています。
良かったね。
大好きな嵩原に、忘れられてなくて。
「てか、こないな所で会うやなんて、めっちゃ奇遇やで。昼飯、一緒に食うか?ここ、鱧料理が絶品なんやて♪ええやろ?鱧っ」
鱧………………………っ!!
嵩原組長っ、それはあきませんっ!!
何も知らず、上地の肩を笑顔で叩く嵩原を見て、白洲会の組員達の血の気は引いていく。
「鱧か……………………悪うないの」
悪うないの。
上地は煙草を咥えながら、嵩原の誘いを受け入れる。
「せやろ?昼間っからええモン食って、一杯やろうや♪錦戸ぉー、個室増やしてんか」
「はい、わかりました。直ぐに店へ話します」
嵩原の命令を即座に実行へ移す、錦戸以下竜童会組員達。
「お前ら、先行っとくぞ」
上地は、振り向くとそう言い残し、嵩原と肩を並べて歩いてく。
開いた口が塞がらないとは、この事か。
肝を冷やした組員達は、口をあんぐり開けたまま固まった。
「ぇえええ…………………っ!!!」
愛の力は、鱧をも超える。
(いつもありがとうございます。皆様、私の上地病にお付き合い下さいまして、本当にありがとうございました。本編で、この上地vs京之介が早く書きたいのですが、なかなかそこまで行けなくて、上地を書きたくなりました(汗)すみません(;_;))
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