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二人旅(本編1終了後のアレです/前編)
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(皆様、いつもありがとうございます。再びリクエストをいただいて登場致しました、ハルです(汗)すみません、リクエストだけは日頃の御礼になるならと、書かせていただきたいと思っています。IY様、本当にありがとうございました。懐かしい……恋男1最終話に出てきた、嵩原が大和を旅行へ誘ったお話の続きです。ちょっと想像とは違う旅行でしょうか…)
『二人だけで旅行でもするか』
きっかけは、親父のそれ。
「…………………何や、コレ」
大和、一枚のチラシを持ったまま、言葉を失う。
「え?…………………旅行申込みの案内やけど?」
ソファに座り、ネクタイを緩める嵩原の飄々としたお答え。
「まぁ、確かに…………………旅行の申込みですね」
「ええ………………確かに、申込みですね」
唖然とする大和の両サイドから、その手を覗き込む高橋と錦戸の濁る物言い。
うん、旅行の申込みには間違いない。
間違いないが…………………タイトルが、『行こう!大人気♪苺&葡萄狩りと名湯の旅』。
バスツアーじゃね?
二人だけでじゃなくて、団体じゃね?
「アホやろっ!!どこぞの組長と若頭が、おばちゃんらに混じってツアー行くねんっ!名湯とか、こないなツアーで露天風呂付きの部屋なんか取れるわけないしっ……………刺青あんのに入れへんやろっ!」
わなわなとチラシを嵩原へ突き返す、キレる息子の正論。
ごもっとも。
ヤクザ、ツアーに行く。
B級Vシネやりますか。
「アホ言うとんのは、お前や。ツアーは、旅行の醍醐味やぞ!金かけての旅行なんぞ、いつでも出来んねん。どうせなら、普段出来ひん体験する方がおもろいやないか」
普段出来ひん体験=苺&葡萄狩り。
ヤクザが。
そりゃ、出来ないよね。
ただ、滑稽ではある。
滑稽。
生粋の関西人、おもろい方を取りました。
「はあ…………………?」
「しかもな、最近の人気な旅行を知ろう思うて旅行会社覗いたら、丁度このツアーに添乗する言うお姉ちゃんが来とってな、めっちゃ誘われたんや。丁寧に名刺まで渡されたわ。ホレ…………………」
誘われた。
『今は、若い方にもツアーって人気なんですよ♪是非是非、一度ご参加下さい!とても楽しいですからぁっ♪私、お待ちしていますぅ♪』
思い切り、女を出してきた添乗員に。
「な………………………」
ホレ。
そう言って、自分に向かって差し出された名刺を見て、大和は益々顔を引きつらす。
名刺に書かれた、ツアー会社の名前と女性の名前……の隣に、手書きでハート。
イラ。
「親父目当てやないかァっ!!」
明らかに。
出された名刺を握り潰し、大和は床へ叩きつけた。
どんな女じゃ、クソが…………っ!!
ジェラシー、煮えたぎる。
「上等や…………………女の顔……違っ………ツアー行ったるしぃっ!!」
「お、行く気になったか♪」
怒れる大和を尻目に、嵩原はウキウキ。
女なんかどうでもいいが、大和と二人だけでツアーなんて、堅気の親子みたいで嬉しい。
大和が叩きつけた名刺をポンッとゴミ箱へ投げ、ニマニマが止まらない。
行こう!大人気♪苺&葡萄狩りと名湯の旅。
参加決定である。
お父ちゃんへの嫉妬勝ち。
いや、ひょっとして、お父ちゃんの作戦勝ち………?
「若………………可愛らしいな。父親に近付く女に、嫉妬されるやなんて………………やっぱり、親は親か」
「親は親…………………ん、まぁ………そうやな……………」
父親に妬く、息子。
微笑ましく大和を見る錦戸の横で、高橋は苦笑い。
知らぬが仏とは、この事か。
ツアー、大丈夫やろか………………。
知る者は、ただただ不安が募る。
数日後。
「大和ぉ~っ、用意出来たかぁ?」
「あー、もう出れるわー。今行くーっ」
マンションに響く、嵩原の明るい声色。
ギリギリで申込みを済ませた二人は、慌ただしく出掛ける支度に追われていた。
マンションの下では、高橋と錦戸が見送る為に、車で待っている。
ツアーは、一泊二日。
今日から二日間は、若頭休業。
大和はいつものスーツ姿から、濃紺ジャケットに淡いグレーのVTシャツ、白デニムのオフスタイルで颯爽と部屋のドアを開けた。
ガチャ…………………………
「ごめ………………………待たせ………」
と、廊下へ顔を出した大和は、そこで待つ父親を見て立ち止まる。
「ええな、バッチリやん♪」
嬉しそうな、父親の笑顔。
「お、親父こそ…………………」
それを言う大和の顔は、早くも赤く染まる。
組長から、大好きな人。
普段軽く上げてる前髪を下ろし、緩めのパーマっぽく遊ばせて横に流してからの、黒ぶち眼鏡。
羽織ったベージュのショートトレンチの中は、シンプルに白Tシャツとソフトなクラッシュブルーデニム。
ヤベ…………………格好ええ。
顔も体型もモデル並みだから、とても引き立つ。
今から胸が高鳴った。
「も……………あんまりキメんなや。皆が、見るやん」
大和は、父親の胸板へ頬を当て、思わずその身体にしがみつく。
「あ?そうか?……………………別に、誰が見たって、お前しか目に入らんわ」
「親父………………………」
「いっぱい遊んで、いっぱいラブラブしよな……………夜は、二人っきりや」
二人っきり。
自分へヤキモチを妬く大和の顔を優しく起こし、嵩原はゆっくりと唇を近付ける。
「っん………………はぁ…親……………ぁん」
やんわり下唇を唇で噛み、隙間を埋める父親の舌。
滑り込む温かさも、身体を痺れさす。
「我慢出来るかな………………夜まで」
「は…………んっ………ぁ……親…………父ぃ」
舌に絡んでくる父親の愛撫に、大和の手はトレンチを握りしめる。
我慢、出来ません。
高橋じゃないが、ツアー大丈夫かな。
二人の足元には、二人分の荷物が入ったトランク一つ。
ラブラブツアー、始まるんです。
(後編、しばしお時間下さいませ。すみません(>_<))
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