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伏線・・
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(久々に、大和の高校生活を少し…本編の次作に繋がるような、ちょっとした一コマです)
「大和…………お前、また追試だって?」
「はあ?大和、お前また追試なのかよっ」
「っるせぇーなァ!ラブラブどもが、俺の追試でハモんじゃねぇ!」
ザ・ハイスクール。
広い食堂の窓際。
お昼時の賑わいの中、一際目立つグループがそこに。
半ギレ気味でオムライスをつつく大和と、それを笑いながら見つめる淳と呆れ顔の翔太。
大和が知らぬ間に付き合っていた二人は、仲良く日替わり定食を頬張る。
「ちょっ…………大和!大きい声で言うなよっ!皆にバレちゃうだろっ」
「淳は、バレてもええ言うてたやんけ。大体、お前の声ンが、毎回輪をかけてデカいわ」
「ぷっ…………確かに」
「淳…………………っ」
ホント、ご馳走様。
真っ赤で焦る翔太を、また優しい笑顔で見るんだ淳が。
「幸せだね、翔太」
そして、それを一層と和ませるアイドル。
「颯ぉぉぉ…………っ」
綺麗な微笑みに、皆が見とれる。
大和の隣に座り、颯は二人の仲睦まじさを嬉しそうに眺めてた。
翔太の辛かった過去を見つけた颯にとっては、この幸せを心から祝福したい。
自分の事のように、喜んでいる。
「そう言う、颯はどうなんだよ」
「え………………俺?」
「ほら、あの…………片山さん?」
「へ…………………」
一瞬、スプーンを握っていた大和の手が止まる。
自分も気になっていたが、なかなか聞けずにいたその関係。
何気ない淳の質問に、大和はちょっとだけ颯の方へ目を向けた。
わかってる。
自分には、颯の気持ちを覗く資格はないと。
ずっと待ってくれた颯を哀しませたのは、自分だ。
自分から惚れといて、最低な真似をした。
颯は笑ってくれるけれど、いつも本心はどうなんだろうと気になっていた。
ゴメンな、颯…………………。
会う度に、大和は胸の中で呟く。
「俺は、好きだな……………片山さん」
「あ、俺も……………一度しか会ってないけど、大人で格好良くて…………なんて言うか、安心する」
「そうそう……………な」
「淳……………翔太…………」
大和の気持ちを後押しする様な、淳と翔太の反応。
一度だけ、二人は片山に会った事がある。
最近、たまに颯は、学校帰りに片山との時間を作るようになった。
時間と言っても、映画を観たり、カフェでお茶したり………他愛ない時間を過ごすのだが、そんな時に校門まで迎えに来ていた片山と、淳達は偶然出会した。
ヤクザの片山は知らないが、颯と一緒にいた片山は、一言で素敵な男だった。
今まで会った大人とは違う。
穏やかで、落ち着いていて、美しい紳士。
「そ……………そうかな…………」
大和の横で、少しだけ照れた颯。
「片山さん、本当に優しいんだ……………」
可愛いと思った。
それがどんな気持ちかはまだ読めなかったが、片山を褒められた颯は、めちゃくちゃ可愛いかった。
優しいんだ……………。
大和の胸が、キュッと締め付けられる。
有難い。
片山は、本気で颯を大切にしてくれてる。
片山がいなかったら、自分はきっと颯と会う勇気すらなかったかもしれない。
「せやな……………片山は、最高の男や。お前らにヤクザの話をしてもあかんけど………ヤクザとしても、今の若手では確実にNo.1やし、人間としてもよう出来てる。俺が目指す道筋に、あいつは嫌味な程高い壁になってるわ」
「大和………………」
眩しい日差しが照らす、食堂。
明るい光を全身に浴び、大和は本音で片山を語った。
現時点で、自分に片山を負かす力はない。
それは、桜井でも、山代でも、花崎や伊勢谷でも無理だ。
驚く颯へ、大和は目を細めて言った。
「颯………………俺が他所の組の人間を信頼するんは、片山が初めてや」
大和なりの称賛。
ライバルでありながら、信頼出来る存在。
嘘じゃない。
片山とは、父嵩原をも認めるヤクザ。
質のレベルが違う。
「ただ………………ヤクザは、ヤクザやけど……さ……」
問題は、そこ。
自分の事があるだけに、海が許してくれるだろうか。
そもそも、ヤクザに良いイメージなんてない。
「クス………………大和も、ヤクザでしょ」
「そ…………………」
笑顔の颯が、答えを導く。
見れば、淳や翔太も笑いながら頷いてる。
「ヤクザに免疫はないけど、大和の事は信用してるから、お前が信じる人を俺達も信じてるよ」
「お前ら…………………」
大和が、唯一同世代の仲間を持つ場所。
たまにしか来れない時もある。
たまにしか会えない時もある。
でも、自分を信じると言う友の存在。
嵩原に安道がいるように、大和にもいつの日か無二の心友は現れる。
いや、多分近い将来に、必ず。
(皆様、ありがとうございました┏○))。本当は本編でもっと書いてやりたい彼らです。大和が、唯一17歳として生きている場所ではないでしょうか。そして、颯と片山もずっと頭にあって、颯には本当に幸せになってもらいたい。いつも思ってきました。いよいよ、結論を出せるかなぁ…なんて、次に想いを馳せています…ネタバレ?(゚Д゚)!!)
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