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バレンタイン
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(すみません…若干季節感出してみました…おバカな風景です(-.-;))
バレンタイン。
それは、男子がちょこっとソワソワする、チョコの日。
チョコの日?
「ただいまぁーっ♪」
廊下に響く、軽快な足音。
学校からの帰宅。
マンションの下まで花崎に送られた大和は、やっと終わった勉強からの解放感で、鼻歌混じりにリビングのドアを開ける。
最近、授業がますますこ難しい。
ヤンキー出のおツムには、1日が1週間のように長く感じる。
早よ、終われ………………。
前に立つ教師へ、目で訴える日々が続いてる(いや、ただのメンチ切り)。
お家、最高!
なんて、すっかりインドア派。
「お帰りなさいませ、若」
「ただいま、高橋」
しかも、帰った先に出迎える、優しい眼差し。
高橋のコレに、気持ちは癒される。
「着替えて来られますか?今、珈琲でも入れま………何です?それ」
「え…………………?」
大和は、自分を見ながら首を傾げる高橋に、ハテナで返事。
そして、気が付く。
手にしていた、大きな紙袋。
「あっ!忘れとった!今日、女子らにチョコ貰うたんやった!」
「チョコ………………ああ、バレンタイン!」
そうだ、バレンタイン。
今日は、2月14日。
義理も本命も、友達も、色んなチョコが飛び交う一日。
当然、大和もいただいた。
淳や颯にも負けない位、沢山のチョコ。
ただ、『忘れとった!』けど。
「そうやねん、今日バレンタインやってん……………ンなもん、頭に無かったさかい、ビックリしたわ」
「クス…………………若、ようおモテになるんですね。これ、30は超えてますよ」
大和から荷物を受け取りながら、高橋は紙袋に詰められたチョコの量を微笑ましく眺める。
なんだか、嬉しいではないか。
同世代に、大和がモテるって。
「どうせ、義理やて。知らん間に、ポンポン机やロッカーに入れられててな………担任が持って帰れんやろうからって、紙袋くれたんや。食べる?高橋………俺、名前書かれてても顔わからへんし」
「もう……………お気の毒です、お嬢さん方が」
クラスの顔も、いまだテキトーにあだ名呼び。
興味ない部分へは、極力ノータッチ。
組員の名前覚えるだけで精一杯なのに、学校まで頭が回らない。
本当に………お気の毒です、お嬢さん方が。
呆れる高橋の前で、大和は制服のネクタイを緩め、ソファへダイブ。
「はぁぁっ!頭よう使うて、疲れたわーっ」
チョコより、まず休息が欲しい。
ガンッ…………………!
「…………………ってぇ!」
ソファに落ちた瞬間、大和の足に当たる異物。
顔をしかめる大和が目をやると、何やら馬鹿デカいダンボールが置かれてる。
「若っ……………すみません、それは…………」
「誰や、こないな所へダンボール……………」
高橋が駆け寄る先で、ダンボールから覗く可愛らしいパッケージ。
「…………………はあ?」
これって………………。
「おー、悪りぃな………………置き場がのうて、とりあえずそこに置いてたんや、チョコ」
チョコ……………!?
振り向いた大和の視界に、飄々としたオヤジ立つ。
丁度、部屋で仕事をしていた嵩原が、休憩がてら顔を出す。
「親父ぃっ!………………てか、おったんや」
「おったわ、失礼やな………………お前の声したから、顔見に来たんやろ」
「え…………………」
これでもラブラブですから、お二人さん。
両腕を伸ばし、身体を解しながらリビングへ入る父親の言葉に、大和はわかりやすいほど顔を赤らめる。
単純明解、お父ちゃん大好き光線放ってる。
「ぷ………………若、顔緩み過ぎです」
「あ……………………」
だって、いたのわかってたら、自分も顔見に行きたかったし。
お父ちゃーーん!
「じゃのうてやなっ……………何や、このチョコ!めっちゃ多いやんかっ」
危ねー危ねー。
ラブが過ぎて、バカップル突っ込んでたよ。
我に返った大和は、足元に転がるダンボールを指差した。
何故、親父がチョコレート。
ダンボール一杯って、アイドルか!あんたは。
「それな………………」
「本部から届いたんですよ、そのチョコ」
「本部から!?何で………………」
クスクス笑う高橋を見上げ、大和の疑問は募るばかり。
だから、何故にチョコが………………。
「まさか……………去年ポロッと言うたんを、皆が覚えとるとは驚いた」
「はい………………?」
食卓の椅子に座り、煙草を咥える嵩原の何とも言えぬ苦笑い。
去年の2月14日。
関東へ行く準備に追われていた大和を抜きに、本部では定例会が行われていた。
そこで、嵩原は何気に言ったのだ。
『あ?今日、バレンタインデーやんか。世の中チョコが飛び交っとんで…………ええなぁ、俺もチョコ欲しいわァ……………』
チョコ欲しいわァ。
チョコ、欲しいわァ…………………。
「…………………え?冗談やろ」
「冗談やない、大マジや」
「アホちゃうかっ…………ウチの組員っ!!!ヤクザが何しとんなっ!!何処の組員が、親父にチョコ渡すねん…………っ!!呆れてモノも言えんわっ!!」
「充分、言うとる言うとる」
若頭、発狂。
組長の為にチョコを送る、女子力高き組員達。
親父好きもここまで来ると、ただのファンクラブ。
愛されてる♡お父ちゃん。
竜童会の奇妙な習わし。
バレンタインデーに、親父へチョコが届く。
(皆様、ありがとうございました!┏○))やはり、こんなおバカな話も捨てられず…すみません)
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