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続・バレンタイン
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(すみません、リクエストいただいたので(*・ω・)*_ _))前回は、お付き合い頂き本当にありがとうございました!)
ヤクザが親父にチョコを渡す。
なんとも滑稽な組織かな。
「では、私からはこれを……………」
「え…………………」
カタ………………………
ギャーギャー騒ぐ大和の前に、高橋は2つのお皿を差し出す。
食卓に置かれた、白いプレート。
ホイップの上には、爽やかなグリーンのミント。
「ガトーショコラぁぁぁーっ♡♡」
「はい。お二人へ、バレンタインのデザートです」
高橋特製のガトーショコラが、嵩原と大和を甘い香りで誘ってる。
大和は嬉しそうに椅子へ腰をかけ、お皿を持ち上げると、その美しいチョコレート色を愛でた。
「高橋……………お前、ホンマすげぇなぁ」
目の前で喜ぶ大和を眺めながら、嵩原も元右腕の気の回りように感嘆の声を漏らす。
ホンマすげぇ。
今日はずっと家にいて作業をしていたが、全く気付かなかった。
いつも通りに、お茶や昼食を用意してくれ、掃除や洗濯もこなしてた。
さすが、高橋。
これで、合間に支部の業務もパソコンや電話で対応しているのだから、驚きだ。
「本日は終日錦戸も不在ですから、たまにはこないな気の抜き方もありやないかと」
「バッチリやな」
自分の作ったケーキを一口頬張り、軽く親指を立てる嵩原に高橋の笑顔が花開く。
二人の美味しそうな表情が、ご褒美。
高橋は、昨日買っておいた最高級豆の珈琲をカップへ注ぎ、バレンタインデーのシメとした。
「ほな、私は支部へ戻ります………………ちょっと片付けたい仕事があるので。夕食は、タンシチューをお鍋に、サラダを冷蔵庫に用意しております。あと、焼き立てのパンをバスケットへ」
完璧である。
ネクタイを締め直し、椅子へ置いていたジャケットを取る高橋に、嵩原も大和も深々と頭を下げた。
「もう、お前の給料上げるわ」
それがいい。
「クス……………充分頂いております」
実力が金。
高橋に勝る稼ぎ手は、いまだ出ず。
一礼してリビングを後にする高橋を見送りながら、二人はガトーショコラに舌鼓。
「……………………で、お前からのチョコはないんか」
はい?
「え…………………」
咥えたフォークをゆっくりと口から出し、最後の一切れをじっくり味わう大和は、真正面に構える本命の言葉に耳を疑う。
「せやからぁ、お前からのチョコは、俺にはないんかて」
「…………………嘘やろ」
「何が嘘な」
マジです。
高橋の入れてくれた美味い珈琲をすすり、こちらを見る目は、笑ってない。
「いや…………………」
そんなもの頭になかったし。
大和は、赤い顔で父親から目を逸らすと、どうしたものかと頭を捻る。
「えーと、これから買いに…………」
「別に、お前にリボン付けてくれてもええけど」
「は…………………?」
「ようあるやろ、私がプレゼントです♡てやつ」
さぶっ。
デカい図体して、身体にリボン?
「引くわ………………絶対嫌や」
食べ終えた食器を重ねつつ、大和の首は横に振れる。
「ムッ………………可愛ゆうないの。お父ちゃん大好きなクセに」
「だっ、大好きやけどっ………………」
そこは、認める。
ホントに大好きだから。
それでも、思春期の息子は、キッチンの方へと歩きながら口答え。
「そないなもんは、見るからに可愛い部類の奴らがやったらええ話やろっ!俺に振るな!」
「俺から見たら、お前以上に可愛い奴なんぞおらんし」
「………………………っ!!」
本気か!!
さすがの大和も、顔真っ赤。
なのに、嵩原はいたって真面目。
ぷっくり頬を膨らませ、拗ねるオヤジのキュートな姿を見せつける。
しかも、何やら立ち上がり、自分が貰ったチョコをモゾモゾまさぐり出した。
「ほれ、手ェ出せ」
「もっ、なんやねんな…………っ」
シンクへ食器を下ろした途端、掴まれた手にチラつく赤いモノ。
「いつか、ホンマに交わせたらって願っとる」
「はい……………………?」
「誰にも、渡しとうないからな」
「お………………親……」
眼下に見える景色は、本気の印。
嵩原の指先が、大和の左薬指に赤いリボンを結ぶ。
「これ…………………」
チョコのラッピングに使われたリボンが、まるでエンゲージリングのように輝いた。
「一生………………俺の側におってくれ。何があっても、最後は思い切り笑顔にさしたるから」
笑顔に。
常に笑顔を絶やさない、嵩原らしい言葉。
驚く大和の額へ顔を近付け、重ねるは誓いのキス。
ズルくね?
数え切れない位口付けしてきたのに、こんな時に限って額かよ。
「な…………………」
「プロポーズ………………なんてな♪本気ですんなら、もっと最高のシチュエーション用意するわ。これでも、ロマンチストやねん」
「自分で言うな……………アホ」
アホ。
照れくささから出るのは、あ相変わらずの減らず口。
でも、本当はめちゃくちゃ嬉しい。
大和は、はにかむ顔を俯かせ、父親の首筋へコツンと火照る額を当てた。
「俺以外にやったら、承知せえへんから」
「……………………知っとるか?俺、一途さだけは誰にも負けた事ないねん」
喧嘩もやろ。
心の中で突っ込みを入れ、大和の表情は幸せで満ち溢れる。
「あ、大和……………チョコ食べへん?今、リボン外したやつ、えらい美味そうやったで」
「え?チョ………………っんん」
なに、こんないい時に………………。
そう思った瞬間、口の中に広がるとろける甘さ。
チョコだ………………!
「一緒に食べると、何でも美味いな…………」
「は………ぁ……んっ…あ」
互いの舌を転がる、一つのチョコレート。
みるみる溶けるそれは、何よりも甘い恋の味。
絡みつく幸せに、身体中が離れたくないと叫んでる。
「あ…………甘………ぃ」
「お前は…………もっと甘い…………」
「っあ…………親…………っ」
父親の唇が首を伝い、制服の下から長い指が忍び込む。
滑らかに這い上がる手の優しい動き。
大和の感じやすい部分を知り尽くした嵩原の愛撫は、あっという間に踏ん張る足の力をも奪ってく。
「やっぱり、お前にリボンが一番ええ……………」
「わ…………ぁ……っ…ちょ………」
大和が、プレゼント♡
ニヤリと笑った父親の顔が間近に迫ったかと思うと、大和の身体は一気に宙を見る。
筋肉みなぎる腕は、たまらない。
愛する息子を抱きかかえ、嵩原は再びキスを繰り返した。
「我慢出来ひん……………腹一杯、お前を俺にくれ」
「ん………ふ…ぁ………ぁっ………我儘や…………な…」
「あかんか……………?」
視界を塞ぐ瞳に、答えは決まってる。
「あかんかったら………こないに火照ってないわ……」
「フッ………………決まりや…………」
今日のキスは、とびきりのチョコレート。
愛し合ってから、初めてのバレンタイン。
あと何年、共に過ごせるか。
二人にとって、大好きなスイーツがチョコレートになったのは、間違いない。
(リクエスト、季節もの優先にしていますが、順次入れていきます。いつもありがとうございます。高橋も入れたりしたので、エロさは少なくなってしまいました。すみません…/『あと何年、共に過ごせるか』これは、本編の終わり辺りを想い描き入れました。基本ハピエン思考ですが、最後は大和・お父ちゃんの話になりますか…拙作ながら、私には大事なキャラ達なので、皆へ未来は残して終われる事を考えています。不具合が続いたり、色々思い悩み事もありますが、読んで下さる皆様には、感謝しかないです。不具合の中、見付けて下さった皆様、ありがとうございました)
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