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男娼とヤクザ(架空の物語です)
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(よく有りそうな設定ですが……もし完結後、次書くならこんな話もいいな…とふと思っていたら妄想が広がったので、ちょっと恋男キャラで書いてみました…ここまでヤクザな話を書いてきたら、どうせならヤクザを貫きたい。でも実際は、恋男で力尽きるでしょう……)
男娼………大和。
ヤクザ/嵩原………お父ちゃん。
(とりあえず、やっぱり(?)この二人でずっと妄想してました…手探りで書いているので、ご了承下さい)
この世なんか、消えちまえ。
どうせ皆、腹ン中は真っ黒や。
外面だけ着飾った、生きた屍よ。
「あんた、男前やな………………俺、買わへん?」
「…………………あ?」
空には、ネオン。
辺りを見渡せば、客引きが多く屯う繁華街。
一歩角を曲がれば、暗い裏路地がパックリ口を開ける片隅で、一人の少年が通りすがりの男に声をかける。
「俺な、今夜まだ一人しか相手してへんねん。明日のメシ代欲しいし、もう一人位抱いて欲しいんや……サービスするさかい、俺を買うてくれんやろか?」
所謂、男娼。
男へ色目を使い、身体を売って金を稼ぐ。
この少年もまた、それの部類。
肌寒い季節に、薄いシャツを肩がはだけるような着方をし、胸元の下まで釦を外した姿で男を誘う。
背が高く、長い手足に端整な顔立ちは、立っているだけで人目を引いた。
「お前、何言うとんなっ……………嵩原さんは、お前みたいなんが相手してもらえる人やないんや!向こう行けっ、ボケッ」
だが、男の側にいた付き添いが、それをさせなかった。
随分、尊敬されている男らしい。
嵩原さん。
ふーん……この色男は、嵩原言うんか…………。
少年は、自分が声をかけた男を見つめ、まじまじとその外見を観察した。
質の良い高そうなスーツに、高そうな革靴。
金回りは、絶対にいい。
中に着たワイシャツだって、ステッチ一つ繊細な作りで高級品だとわかる。
細部まで金をかけれるなんて、この界隈じゃ、金貸しか水商売絡みか…………ヤクザ、か。
ヤクザか…………まあ、何でもええ…………。
金さえくれれば。
それに。
「俺は、あんたに話しかけてない。こっちの男前に言うとんや……………なぁ、嵩原さん♪あんたの顔、俺ごっつ好みや」
「はあっ!?なに、おま……………っ」
綺麗な顔。
黒髪を後ろへ流し、鋭さを覗かせる力ある瞳。
久々に見るイイ男に、少年は歩み寄り、自分を売りつけようと甘えて見せた。
「…………………お前、名前何て言うんな」
「たっ……………嵩原さんっ」
「俺?俺は、大和♪…………大和て言うんや」
大和。
そう少年が笑顔で答えた瞬間、フワッと何か温かいものが肩を包み込む。
…………………え?
「何………………」
大和は慌てて、肩へ手を伸ばす。
これ………………。
それは、嵩原が今着ていたスーツのジャケットだった。
嵩原は、突然自分の着ていたそれを脱ぎ、大和の肩へかけたのだ。
そして、驚く大和を見下ろし、ゆっくりと口を開くと、意外な言葉を言い放つ。
「なら、大和………………悪いけど、俺は金で人は抱かん。金が欲しいなら、他所当たるんやな」
「…………………は?」
「それに、こないな時期に薄着して、身体壊したらどないすんねん………商売道具やろ、大事にせえよ」
大事にせえよ。
「な…………………」
大和は、全身がカァァと熱くなる感覚に覆われ、思わず数歩後退った。
大事に……………。
そんな言葉、言われた事がない。
「ば……………馬鹿にすなっ!俺は、これで生きて来とんねん!!同情されるくらいなら、貶された方がマシや………っ!!」
バシッ…………………
大和は顔を真っ赤にしたまま、肩にかけられたジャケットを嵩原目掛けて投げつけた。
何だろう、この歯がゆさ。
どんなに酷い抱かれ方をした時も、見下されたように受け取ろうとした金をバラ撒かれた時も、金さえ貰えるならそれでいいと、何も感じなかったのに。
人なんてものは、結局上っ面の生き物だ。
いい事言う奴なんか、信用出来ない。
「クソ………………」
それが、どうしてか。
真っ直ぐな嵩原の目が、一気に自分の中へと押し寄せる。
「コラァッ!!お前なっ…………」
「よせ……………気ィ悪うしたんなら、俺のせいや。行くぞ……………悪かったな、大和」
「うるせぇ………っ!さっさと向こう行けぇ……っ」
大和。
大和。
嵩原に言われる度、胸が痛い。
「………………んな奴、声かけるんやなかった」
偽善者め。
それでも、立ち去る背中を睨み続ける自分がいる。
肩幅のある、格好良い後ろ姿。
どこまで嫌味なんや………………。
嵩原。
「嵩原…………………」
名前、覚えちまった。
数日後、大和は男娼仲間に、嵩原はこの辺りでも有数の組織の幹部だと教えてもらった。
次期組長とも言われるとかなんとか。
「どうでもええわ……………俺には関係ねぇ………」
関係ねぇ。
それを口走る大和は、今夜も街角に立つ。
これでも、人気はある。
自分が声をかければ、大概が引っ掛かる。
あんなにバッサリ断ったのは、嵩原が初。
「…………………ホンマ、嫌な奴やった」
なのに、いまだ記憶は鮮明。
『俺は金で人は抱かん』
ぼんやり街を眺める大和の視界に、飛び付くような男はいない。
いつもと変わらない、金と欲と悪意にまみれた、派手な街。
何もない。
こんな街で生きていても、何もないんだ。
「嵩原って、どんなセックスするんやろ………」
あれから、嵩原を見る事はなくなった。
(最後までお付き合い下さいました皆様、本当にありがとうございます( ノД`)…全くの突発的なお話です。試しに書いてみたものなので、設定もぼやぁとしてます。本当に感謝致します!色んな妄想したり、皆様とのやり取りからヒントを得たり…リクエストいただいたり、楽しい時間をいつもありがとうございます)
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