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男娼とヤクザ/シーズン1(第1話)
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(前回上げた、大和と嵩原の出会いのその後を少し短めの連載で描かせていただこうと思います。シリーズで括りにし、間にこれまでの様な話を挟めたらなと。丁度、リクエストも書ききれたように思うので、続けて入らせてもらいました。リクエスト、漏れがあったらすみません、言って下さい(uωu*))
【これまでの設定】
*大和……人気のある男娼の少年。色々心情は闇?
*嵩原……有名な組織の幹部。次期組長補佐/ヤクザ。
〖今回の登場人物〗
*高橋……裏社会でも名の知れたバーのオーナー。大和に格安でバーの2階にある部屋を貸している。
(少し設定が定まり始めました…)
カンカンカン………………
鉄骨の階段に響く、足音。
繁華街から少し入った道路沿い。
この辺りでも有名なバーがある。
バー『anniversary』
その2階に住居のある大和は、客達の邪魔にならぬよう、いつもビル横に備え付けられた非常階段から出入りする。
時刻は、既に午前3時。
大和の夜は、ようやく終わった。
「はぁ……………疲れた……」
今夜は、二人に抱かれた。
常連の一人と、新客。
「最後のオヤジ、ねちっこいねん…………」
モコモコの毛で包まれたジャケットに身をくるみ、溜め息を漏らす大和からは、疲労感が溢れる。
久々に、くどいセックスをされられた。
新客のオヤジが最悪だった。
豚のようなでっぷりした腹を揺らし、我が身を貪る絶倫男。
しつこい位突っ込まれ、腰はガクガク。
終わった頃には、そのまま死ぬかと思った。
「もっと、ぶんどれば良かったな」
ガチャ………………
ふらつく足を前に出し、大和は辿り着いた踊り場で、そこにある扉の鍵を回した。
「あれ?大和………………お帰り」
「高橋さん……………っ」
丁度扉を開けると、廊下の先にこのビルのオーナー、高橋を発見。
穏やかな眼差しと、正統派と言うべきな整った顔立ち。
歳は30を越えているらしいが、それがまた色気がある。
大和は、2年前この高橋に出会った。
雪もちらつく、真冬。
家を飛び出し、行く当てもなく繁華街をフラついてた時、高橋から声をかけられた。
『クス…………お前、死にそうな顔しとるで…………』
神様かと思った。
あれからずっと、高橋は大和の保護者のように、いつも優しく見守ってくれている。
ビルの2階、高橋が事務所を構える隣を解放してくれたのも、そう………………何故、そこまで高橋が親身になってくれるかは、大和もわからない。
ただ、他に頼る術がないから、助かっているのは事実だった。
「お疲れさま………………寒かったやろ」
「あ……………お、お疲れさま」
高橋は、大和に歩み寄り、自分のしていたマフラーをその首へとかけた。
フワッと香る高橋の香水が、とても高級感溢れ、瞬く間に大和の身体は温もりを覚える。
本当に、優しい。
毎回こんなだから、大和は照れ臭くて、赤くなる顔を抑えるのが大変だ。
「腹減ってへん?お客様に、美味しいスープ差し入れしてもろうたから、食べるか?」
「スープ!えー、食べるっ!めっちゃ外寒かってんっ!」
「ぷ……………ほな、事務所入り」
多分、今帰ろうとしてた。
足元には、高橋が常に持ち歩く鞄が置かれてる。
それでも、高橋は嫌な表情一つ見せず、大和を事務所へ招き入れた。
バタン…………………
事務所には、簡易的なミニキッチンがある。
たまに高橋がそこでご飯を作り、大和はご馳走になるのだ。
大和にとって、それが唯一の栄養補給。
身体を売った後は、大概動けなくなって、寝るだけで終わるのが関の山。
一日一食出来れば良い位の生活を、大和は繰り返していた。
高橋もそれをわかっているから、こんな風にマメに声をかける。
カチカチ…………ボウッ…………
ガスに火が点り、高橋は慣れた手つきで貰ったスープを容器から鍋に移すと、手際よく温め始めた。
「随分、しんどそうやな………………今日は、何人相手にしんや?」
「え?ああ、二人……………中でも一人は、むっちゃスケベでしつこいオヤジやったわ。もう身体フラフラやのに、まだ抱いて来んねん」
部屋の中央には、有名ブランドのソファ。
大和は躊躇う事なくそこへ腰を下ろし、笑いながら聞かれた事に答えた。
「そないなオヤジが?そら、大変やったな…………」
「ホンマ……………金、上乗せしたら良かった」
「大和…………………」
コトコトと、スープが煮えてくる音と共に、美味しそうな匂いが部屋に広がる。
お腹すいた………………。
大和がそんな事を考えて、ソファへ深く身を沈めた時、高橋の手が腕へと伸びてきた。
「なあ、大和……………そろそろ止めへんか?」
「止める……………?」
「その………身ィ売るの。仕事なら、ウチで働いたらええんやし……………俺は、お前の身体が心配や」
心配や。
キュンとするような、綺麗な眼差し。
高橋は、初めて会った時から紳士だった。
ラッキーだと思う、高橋に出会えたのは。
自分の腕を掴み、目の前にしゃがみ込む高橋に、そりゃ自分も甘えたい。
甘えられたら、どれほど楽か。
甘えたいけど……………。
「あかんよ、高橋さん………………高橋さんには、住む場所も食事も、時には着る物まで世話してもろうてる。これ以上、甘えられへん……………俺、自立せなあかんて思うてるから」
家を飛び出した時、決めた。
誰にも負けない人間になってやる。
沢山の金を手にし、一人で生きていくのだと。
強くなりたい。
だから、いずれここも出なくてはと思ってる。
「俺、男嫌いやないし……………これ稼ぎええから、頭悪い俺にはもってこいや」
「…………………大和」
不思議だ。
あの嵩原に同情された時は、あんなに腹が立ったのに、高橋の話は素直に耳に入ってる。
あの、嵩原………………。
忘れられない、嵩原の力強い瞳。
何もかも見透かされるようで、正直見つめられるのが怖かった。
だけど、毎夜街に立つが、あれ以来嵩原は現れない。
「………………何で、おらんのやろ」
「え………………」
「あっ、いや……………な、何もない!」
無意識に発せられた意外な言葉に、自分がビックリしてしまった。
慌てて大和は両手を振り、首を傾げる高橋に笑って誤魔化した。
「何言うとんや……………俺………」
どうかしてる。
澄ました顔のいけ好かない野郎。
別に、探してる訳じゃない。
でも、嵩原に会うまでは、身体が辛くて毎晩は立つ事もなかった。
「違う、違うねん………ただ、もっと稼ぎとうて…」
それだけや………………。
大和は、自分に言い聞かせるように頷き、ハァッと大きく息を吐き捨てた。
「ごめん、高橋さん!最近、ごっつ嫌みな奴に会うて、それから微妙に調子狂うてん…………疲れとんかな。スープ貰うたら、早よ寝なあかんね」
「そうか……………なら、直ぐに用意したるわ」
大和の話が気になっているようだったが、高橋は何も言わず、キッチンへと向いた。
それから、高橋にスープを貰い、他愛ない話を交わして、大和の夜は過ぎていった。
ちなみに、スープはとても美味しかった。
何でも近くで店をしている、イタリアンシェフが時々色んな料理をくれるらしい。
高橋さんの事、好きなんと違う?
話を聞きながら、大和はそう思った。
「ごちそうさま……………!」
また、十数時間後には、街に立つ。
大和の夜は、あっという間に始まるのだ。
眠らない街。
着飾った装飾の影に、必死に生き抜く人々がいる。
(ちょっとした挑戦です。読んで下さいました皆様、本当にありがとうございました。また第2話、出来次第上げていきます)
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