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男娼とヤクザ/シーズン1(第2話)
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※R指定となります。
〖今回の登場人物〗
*山代……関東から事業拡大の為に来ている、何処かの会社副社長。大和の常連客であり、結構な上客。
大和には、常連客が何人か付いている。
全員が金持ちではないが、そんな連中を捕まえた時は幸運に恵まれたと思う。
街に立つと、スッと高級車が側に停車し、今宵の一時を貸し切りにしてくれる待遇の良さ。
そこに、大和の恋愛的感情はない。
恋愛をした時点で、この割りの良い仕事が出来なくなると、大和自身が自覚してる。
冷めた言い方だが、ただ金のなる木。
ご飯食べて、ウン万円。
時には10万以上くれる時もある。
有り難いに越したことはない。
そして、中でも大和を贔屓にする客の一人が、今宵も大和を買った、この男。
ギシ………………ギ……
「あっ……ん…………んっ…や……山代さ……っ」
繁華街を望む、高級ホテル。
夜景を映す窓にかかるカーテン一つ、美しい刺繍が輝く。
広い客室に、大きなベッド。
戯れる男達には、十分な柔らかさ。
「大和……………」
「もっ……山代………さ……んっ………奥…一杯…ぁ」
大和を愛でる瞳に、優しさ溢れる。
目一杯開かれた足へ唇を滑らせ、見下ろす眼差しは笑みを浮かべる。
少し長めの髪を後ろで結い、そこから垂れた髪の色っぽい様ときたら……………見上げる大和も、つい惚れ惚れする。
山代さん。
彼とは、かれこれ半年の付き合い。
街に立つ大和を見初め、山代から声をかけた。
詳しい正体は、知らない。
と言うより、聞かないのがルール。
こんな世界に、深入りはタブー。
バイや男色家なんて、世間で知られない方がいい人間も沢山いるから。
だから、大和の知る山代は、いつだったかベッドの中で聞いた、何処かの会社の副社長だと言う話だけ。
二人を結ぶのは、あくまで金と身体と、少しの甘い時間。
「あっ………あ…ぁ………イキ……そ…っ」
「ああ……………イっていいよ」
自分の首筋を伝う、熱い口付けに身を震わせ、大和はヒップを僅かに浮かした。
そこへ山代が腕を伸ばし、グッと腰を掴むと、一気に固い男根が身体の奥を埋める。
瞬く間に、体内から燃えるような高揚感が全身を覆ってく。
絶頂の瞬間。
大和は、片手でシーツを握りしめ、もう一方の手で自らの一物をしごき始めた。
「大和……………可愛い…………」
「はぁ……は…………山……っんぁ」
微笑む山代が、合図。
下半身を突き上げる動作と相俟って、ゆっくりと滑らかな舌が口内を犯す仕草に、身体は限界を迎えた。
あぁ………ぁ……イク………。
山代とのセックスは、毎回心地好い。
自分が楽しむより、大和を気持ちよくさせる事を優先してくれる。
しかも、これで最後には、分厚い封筒を然り気無く置いて帰るのだから、本当にこれでいいのかと良心が痛む時がある。
『いいんだよ、これで。大和の役に立てるなら』
恐る恐る聞いてみたら、前にそう言われた。
だから、悩まない。
今夜もまた、山代の腕に包まれ、大和は身体を仰け反り果てていくのだ。
「あぁぁっ……………いっ……」
ビクビクッと跳ね上がる身と、愛しそうにそれを支える力。
愛してる。
耳元でそう言われた気がしたが、頭が真っ白になって直ぐに消えてった。
「ありがとう、山代さん………もう、ここでええよ」
繁華街よりやや奥まった、街の路地。
高橋のバーが遠目に見える位置で、大和は山代に車を停めてもらった。
なんとなく、仕事を高橋に見られたくない。
見たら、何だか悲しませる気がして、大和なりに気を使った。
「そう……………じゃあ、大和…………また」
「っん………………はぁ…ぁ」
また。
山代は、降りようとした大和の唇を奪い、離れがたそうに終わりのキスをする。
「1週間……………関東へ出張やったね」
「ああ、行きたくないけど…………」
「会えるの、楽しみにしとるから」
「クス………………ありがとう」
唇の隙間から、微かに息を漏らし会話を交わす。
山代のような客ばかりだと、毎日がどんなにハッピーだろう。
でも、世の中甘くない。
何度か、死ぬかと思った事もある。
酷い奴らなんか、ゴロゴロいるんだ。
金になる仕事とは、そんなもの。
生きてく為に、生きて帰れるだけ幸せだと思ってる。
大和はドアを開け、いつもの闇の渦巻く世界へと足を着いた。
「お疲れ様でしたぁぁ…………っ!!」
突然、道端に広がる叫び声。
何事かと目をやると、周囲の人間達が一斉に注目する先に、黒い集団が列をなしているのが見えた。
ヤクザや………………。
丁度、帰り道を塞ぐように山を築くそれが、通行人達を怯えさす。
さすがの大和も、久々に見かけた規模の大きさに、降りるのを躊躇った。
見るからに、かなりの組織。
一台の白いベンツを囲むように、数十人の男達が頭を下げてる様から、相当な幹部のお出ましだと理解した。
「大和…………ちょっと、戻るの待った方がいいな。車に乗ってなよ」
行く手に立ちはだかる集団を見て、山代は渋い顔をしながら、大和をもう一度招き入れるように、助手席のシートを軽く叩いた。
「ん……………せやね………」
真っ当な人間にとって、ヤクザは異世界の産物。
関わらないに越した事はない。
誰でもだろうが、山代はヤクザが嫌いなのだと、大和なりに悟った。
そうして、大和は自分を気遣ってくれる山代に笑顔を見せ、車の中へ身を屈めていった。
だが。
その時、大和の耳に意外な言葉が入ってくる。
「うわ……………さすが嵩原さん。迫力あるわ」
「ホンマやな…………他のヤクザとは、箔が違うで」
へ…………………。
それは、通りすがりのチンピラ達の会話だった。
「た……………嵩………」
「大和………………?」
嵩原……………っ!?
首を傾げる山代の前で、大和は思わず車を飛び出した。
「嵩原……………っ」
高鳴る鼓動に、震える唇。
あっという間に身体は熱くなり、目は必死に前方を見定める。
「たっ………………」
頭を下げた、黒だかりのど真ん中。
肩に漆黒のロングコートをかけた、嵩原が…………。
遠くからでもわかる、綺麗な目鼻立ち。
微かな風に靡く黒髪が、艶やかな嵩原の色気を強調する。
間違いない、嵩原だ!!
「どうした、大和……………っ」
そう山代が叫んだ途端、嵩原の目が少しだけこちらを向いた。
「あ…………………」
何でだろう。
言葉にならなかった。
ほんの1、2秒。
ほんの1、2秒重なった視線が、大和の身体から力を奪い去る。
微笑みも、動揺もない、無感情な眼差し。
だけど、それでもいいと思ってしまった。
思ってしまったんだ……………。
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