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上地病②
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(リクエストではありません。定期的に来る、私の病です…)
上地が書きたいだけ…(申し訳ありません…)
今日、上地は機嫌が良い。
全く顔には出てないが、機嫌が良い。
「親父、本日の昼食どないしますか?ルームサービス、お取りしますが……………」
「………………いや、今日はええ」
「は…………………」
は…………………。
ホテルの一室。
ソファに座り、新聞を読む上地に、側近達の手は止まる。
『は……………』と言ったものの、それから上地の返しを聞く事は、勿論ない。
聞いても良いのか?
お昼はいいって、何か予定が入ったのか?
親父、反応ないやんけ。
しばらく無言が続き、一番近くに立っていた組員が、別の組員に目配せを始める。
『お前、予定お聞きしろ』
俺は、ヤダ。
だって、下手に聞いて怒られたくない。
『はぁ!?お前が近いんやから、お前が聞け!』
話を振られた組員は、上地の後ろで腕を使って、大きくバツを示す。
『何言うとんねん!俺はいつも真っ先に話聞いとるやろ!たまには、お前が聞けやっ』
『何でなっ!俺は、身の回りのお世話しとんじゃっ!聞く位せえやっ』
睨み合う組員達の会話のない、押し問答。
何処かに行くなら、護衛が要るだろ。
親父をお守りするのが、自分達の使命。
何か事が起きては、ただ事では済まされない。
誰か、予定を聞いてくれーー!
ピーンポーン…………………
そんな組員達の静かなバトルが、繰り広げられてる最中、突然その答えは現れる。
客室へ響く、インターホン。
ヤクザが泊まる部屋に、来客か?
一気に室内はざわつき、ピリリと空気は変わる。
「あ?来客ですね………………誰や、こないな時間に。すみません、親父……………ちょっと見て来…」
「構わん、俺が行く」
「……………………はい?」
読んでいた新聞をテーブルへ投げ、顔を上げる上地に目が点。
構わん、俺が行く。
俺が行く……………!?
組員達のピリリ、一刀両断。
颯爽と入口へ向かう上地を見つめ、組員達はあんぐりと口を開けた。
「お…………………」
「親父が、ご自分で客を呼びに行くやなんて………」
明日、世界は終わるんちゃうか………………。
終わると思う。
ガチャ…………………
「お~上地ィ……………悪いな、急に誘うて♪」
「お前の急は、もう慣れたわ」
…………………え。
扉を開けた上地の向こうで、聞き慣れた(来る頻度があまりに多くて、さすがに覚えた)声がこだまする。
「何や、旨い酒呑みたなってな……………昼間っから呑むんやったら、お前がええかなぁ思うたんや」
「アホか………………どうせ、奢れとか言うんやろ」
「いや、今日は錦戸にオッケーもろうた♪そこは、任せ」
相変わらず、惚れ惚れするような笑顔を晒す、男前。
気のせいか、それを受け入れる上地の声色も、普段より穏やか………。
「たっ……………嵩原組長!!」
「またか……………っ!」
唖然とする組員達の、肩の落ちようと来たら。
またか。
その一言に凝縮される。
「もう、俺らの気苦労なんざ、あの方の登場で木っ端微塵やな………………」
「俺………………一度でええから、嵩原組長の性格貰いたいわ……………」
貰えたら、苦労しない。
上地がご機嫌な理由(顔には出てないが)。
それはやはり、お父ちゃん以外に有るわけがない。
「なぁ、何処行きたい?今日、俺が奢ったる」
「言うて、場所決めとん違うんか………………俺は、何処でもええわ………………」
お前となら。
ハンガーにかけていたジャケットを手早く取り、上地は出る準備にとりかかる。
それを見て、組員達は慌ただしく動きだし、上地のデートは始まる。
お前となら、何処でもええ………………。
ここにも、不器用な恋は続いてる。
(皆様、お付き合い下さり、ありがとうございました。完全なる、上地とそれに振り回される組員好きです…すみません)
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