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大和と湊
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(お父ちゃん達の話を書いた時、何気に書こうかと思ったのは、この二人でした)
「……………………は」
学校の下校時間。
大和は一人、プラプラと校門まで歩いて固まった。
は。
目の前の光景に、目が点。
視線の先には、ざわつく校門。
同じように下校する生徒達の顔が、一ヶ所を見つめて振り返る。
「湊…………………」
そう、湊だ。
門の片側へもたれかけ、腕時計をチラチラ見ている、イケメン。
大和の周りにいる組員の中では、多分一番背が高く、遠目に見てもよく目立つ。
「何で、あいつ………………」
迎え、高橋じゃなかったか?
大概、組員が迎えに来ると、生徒達は注目する。
高橋に山代、伊勢谷に花崎。
まぁ、皆なかなかの顔立ち。
そりゃ、喜ぶ。
たまにそこへ、お父ちゃんや安道が加われば、また騒がしい。
大人の魅力と言うか、そんなのに憧れるんだと思う。
そんな中に、新顔の湊。
生徒達は、明らかにハートを飛ばしてる。
「ったく、ヤクザはアイドルちゃうぞ…………」
「………………大和っ」
呆れる大和をよそに、湊は周りの目など気にもしない。
ようやく現れた可愛い人を見つけ、笑顔で駆け寄って来る。
「おせーな。来るまでが、随分長く感じたわ」
そう言って、少しだけ見下ろす湊の近いこと。
「しゃ、しゃーないやろ……………担任に捕まってたんやから」
答える大和も、つい照れる。
ほのかないい香りと、綺麗な瞳。
どうも、湊との距離感は難しい。
「捕まってた?なに、何かやらかしたのか?」
「やるかっ!提出したレポートを、少し訂正されただけや」
「レポート……そんなもの、俺が教えてやったのに」
「…………………お前は、ええ」
「何で………………?」
「何で、て…………」
また、妙な事になったら困る。
「…………………はい?」
顔を逸らし、口ごもる大和の前で、湊は耳へ手を翳す。
聞こえませんけど?
あからさまな訴え。
「お前……………俺を若頭やなんて、思うてへんやろ」
「失礼だな……………思ってるよ、若頭♡」
「嫌味かっ!それ…………っ!」
「ぷっ……………可愛い、直ぐムキになる」
思ってないな、確実に。
ムッとした自分を見つめる微笑みに、調子が狂って仕方がない。
これじゃ、ただの友達じゃん。
「大体、どうしてお前がおんねん!高橋は、どないしたんやっ」
「高橋さん、地区の方で急用が出来てさ………丁度、迎えに出る頃だったから、嵩原組長の所へ来ていた俺が代わったんだよ」
「え…………………」
「お前に、一言電話するって言ってたけど、バタバタしてたから、そのまま俺が伝えるって。心配要らない、高橋さんの方は大した事じゃない」
「あ、ああ…………そうなんや……」
でも、よく見ている。
自分の聞きたい事をサラリと話す湊に、大和も妙に納得して頷いてしまった。
心配要らない。
湊が言うなら、そうなんだ……と思ってる。
「なぁ?腹減らない?ちょっと寄り道しようか」
「へ…………………」
「デート♪」
「な…………………」
ただ、この我が道っぷりには、毎回ビビる。
「たまには、お前もブラブラしたいだろ?帰ったらまた支部とか、休みねぇじゃん。護衛なら俺がしてやるから、17歳しろよ」
「じゅ………………」
17歳。
「大和………………行こう」
足の止まった大和へ向けられる、満面の笑み。
クソ。
振り回されたくないって思うけど、嫌じゃない。
「うっせぇ……………お前が、指示出すな」
「それそれ、それが大和だよねぇ~」
「湊…………………っ!」
「ハハハ……………最高♪」
「あのなぁ……………っ」
護衛なら、俺がしてやる。
お姫様か……………!
「俺かて強いわ……………アホ」
ぼやきながらも、足取りは前へ。
誰もが真面目に、業務を遂行。
それが当たり前で、守るべきものは山のよう。
だけど、たまには息抜きが欲しいと思ってた。
まさか、それを言うのが湊だとは。
湊、だとは………………。
(皆様、ありがとうございました。パラレルの合間の皆の日常が続いてます。読んで下さり、ありがとうございます。これは、続きがいるのか………ぼんやり頭にありますが、出すか考えます(*- -)(*_ _))
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