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男娼とヤクザ/シーズン2(第2話)
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〖今回の登場人物〗
一成(花崎)……売り子シュウに恋する若い青年。バイトで生計を立て、なけなしの金をシュウに貢ぐ。
好きって、何だろう。
本当の愛って、何だろう。
「あかん…………商売上がったりや……」
夜風が、身に染みる。
ネオンの看板の影に隠れ、踞る大和はあの暴行の痕跡に顔を歪めた。
客、やっと一人捕まえたのに……………。
自分でも無謀だったが、ホテルに入って直ぐ、身体を見られてドン引きされた。
そりゃそうだ。
全身痣だらけ。
誰が抱きたいと思うだろうか。
客は、逃げるように部屋から出て行った。
「はぁぁ……………キツ……当分稼げへんかなぁ」
慰謝料ぶん取りたい気分だ。
こっちは、生活かかってんだぞ。
「クソ…………………」
多少痛くても無理に動かした身体が、悲鳴を上げるよう。
休めばいいんだろうが、休めるわけがない。
金が、必要なんだから。
「待って下さいっ!シュウさん……………っ」
仕方がない、今夜は帰ってふて寝。
そんな事を考えながら、大和が立ち上がった時、目の前の通りを見慣れた顔が通り過ぎる。
「あれ……………シュウ……」
数時間前、別れたばかりのシュウだ。
叫び声もあったからだが、雑踏の中にいてもすぐにわかる綺麗な様。
大和は、自分に気付きもしなかったシュウを見ながら、ふとその後ろへ目を向けた。
「シュウさん……………っ」
必死に、シュウを呼び止める声。
………………誰?
足早に歩くシュウを追いかける、一人の男子。
「あ………………もしかして、あれがシュウの言うてた年下の客……………」
シュウより少しだけ背が低く、茶髪にピアスのちょっと可愛い感じの顔立ち。
「一成、何度話しても無駄や……………バイト代ほとんど注ぎ込んで、お前の生活が大変やないか。もうお前からの依頼は、受け付けられん」
「そんなん、シュウさんには関係ない話やないですか……………俺は、シュウさんに会えたらええんです」
「あのな、会えたらええって…………」
「会いたいんです!シュウさんに…………っ」
会いたいんです!
胸が痛くなるような叫び。
通行人達が振り返る中で、一成と言われた客は顔を真っ赤にしてシュウへ訴えた。
ああ、好きなんや…………………。
大和が見ても、それは手に取るようにわかった。
潤む瞳が、シュウだけを捉える。
罪な、恋。
「一成…………………」
困惑したシュウの表情が、大和の視界に飛び込む。
自分達は、男娼。
客と恋なんて、出来るわけがない。
してしまった時点で、身体はもう売れなくなる。
綺麗な売り子、シュウ。
この姿が欲しくて、金持ちは大金を払う。
『一成………………』
多分、シュウも満更ではないかもしれない。
小さな声が、悲しい現実を語る。
一度汚れてしまった身体は、もう元には戻れない。
「気持ちに応えられる勇気はないわ………………」
二人から目を逸らした大和は、寒い身体を丸め帰路についた。
頭を過るのは、自分を大切にしてくれる高橋の顔。
甘えるのは、簡単。
でも、甘える勇気がない。
汚くなった身体や気持ちを晒して、高橋は本当に自分を好いてくれるのだろうか。
大体…………………。
「嵩原…………………」
何故か、高橋との事を考えてると、嵩原がいつも邪魔をする。
「…………………会いたい」
会いたい。
シュウと一成を見ていたら、無性に嵩原に会いたくなった。
「会いたいねん………………嵩原……」
興味なくてもいい。
嫌われてもいい。
寂しい夜。
想うのは、嫌いな筈のあいつ………………。
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