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男娼とヤクザ/シーズン2(第12話)
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嵩原が、大和を抱く。
まさに、一石二鳥とな……………。
「よし……………これだけしっかり固めたら、大丈夫やろ。ある程度は、動くんも違う筈や」
京と言う闇医者は、口は悪いが手当ては思いの外丁寧にしてくれた。
湿布を貼り、包帯を巻いた後はサポーターも付けてくれ、大和の足は随分と楽にはなった。
「ほら、替えの湿布渡しとくから、自分で取り替えなあかんぞ」
「あ、はい……………」
あ、はい。
やけに素直に聞こえるが、なんとも言えない京の威圧感が、大和に生意気を言わせる雰囲気でもなかった。
ホンマに、ヤクザちゃうよな……………?
何だ、この圧は。
ヤクザの幹部ともなると、えらい人脈があるもんだ。
大和は診察用のベッドに座り、じっと嵩原と京の様子を伺っていた。
「竜也……………治療費な」
「ああ、わかった」
いくらだろう。
紙に走り書きされたメモが、嵩原に然り気無く渡された。
「嵩原っ……………俺……」
咄嗟に、大和は二人の間に割って入る。
やっぱり、肩代わりなんて気が引ける。
何とか金を工面しなくては……………。
「心配すな、大した治療費やないわ」
「いや、そうやのうて……………」
「そうそう、竜也が抱いてくれるから、ガッツリぼったくったれ。ヤクザなんてろくな金稼いでへんのや、身体で勝負しとんなら、遠慮のう貰え」
「え………………」
「京……………っ!」
凄い。
嵩原が慌てる姿を、こう何度も見れるとは。
しかも、気持ちが良い程の歯に衣着せぬ物言い。
さすがに普段生意気な大和も、京の口には勝てないと痛感した。
「下の人間使わんと、お前がわざわざ自分で連れて来とんや………………お前かて、満更やないんやろ」
「ま……………満…………」
「アホか!何言うとんな………っ」
歯に衣着せぬ物言い。
嵩原が、押されてる?
困ったように目を逸らす姿に、胸がドキドキする。
満更やないって……………。
大和は嵩原を見つめながら、それが本当ならいいのにと期待を膨らませた。
「嵩原…………………」
いや、そんなわけない。
嵩原みたいな男が、自分を意識してくれるわけがない。
わかってるのに、見上げる瞳はその答えを望む。
「それに……………このガキも、どう見たかてお前にゾッコンやで。飯が食えてへんのも、それが原因なんちゃうんか?……………娼夫なんざ、私情が入り出したら終いや。責任取ったれ、竜也」
「ふざけんな………そないに簡単な話しちゃうわ。こいつは、まだガキやぞ………………妙な事吹き込むな、ボケ」
「フン…………簡単やろ?好きか嫌いか……………ごちゃごちゃ要らん事考える方が、まどろっこしいねん」
好きか、嫌いか。
京の指摘が、嵩原を黙らせる。
鋭い人だ。
何もかも、この人にはお見通しなんじゃないか………そう思わざる得ない程、心が揺さぶられてく。
嵩原はどうなの?
聞きたくても、大和には聞けなかった。
それよりも、京の鋭さが嵩原を責め立ててるようで、大和はいたたまれなくなってしまう。
「もっ、もうええわ…………俺、自分で稼ぐし!嵩原に、無理矢理抱いてもらうとか………え、ええし……」
だから、たまらず声を上げた。
「ホンマに…………!ちゃんと返すから…………」
「大和…………………」
嵩原は、悪くない。
元はと言えば、一方的に嵩原を好きになった自分が悪い。
「こ………ここからも、俺一人で帰れる…………嵩原、ありがとう。迷惑ばかりかけて堪忍や…………」
ベッドの枠へ手を突いて、いまだジンジン疼く足を庇い立ち上がる大和は、懸命に自分を奮い立たせた。
京の言う通り。
娼夫のくせに、私情が入ったのは自分のせい。
仕事せな……………。
生きていかなきゃならないんだから。
フラつく足で踏ん張る大和は、嵩原の顔が見られなくて、俯いたまま病室から抜け出そうとした。
ガシッ…………………!
「……………………っ!?」
そんな大和に、突然伸びた腕。
「そないな足で、どうやって客引きすんな……………無理すな。俺が、お前を買うたるから」
「へ………………」
一瞬、耳を疑った。
今、なんて………………。
だが、大和が顔を上げるよりも早く、嵩原の腕が身体を包み込む。
「らしくねぇ気ィ回す必要はねぇ……………お前は、生意気な位が丁度ええんや……………ぼったくれるだけ、ぼったくってみい……………大和」
「た………………嵩……」
これは、夢?
嵩原の温もりが、怖いほどに全身へ伝わる。
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