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体育祭(中編)
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(もう本当に申し訳ないです……お聞かせ下さった折角の妄想も入れようと思ったら、また収まりきらず……すみません( ´-ω-)シュン)
「え……………誰、あの人達。すげーかっけぇ」
「…………………あ?」
雲一つない、青空。
待ちに待ったかどうかは不明だが、ついに始まった体育祭。
穿いているジャージを膝近くまで捲り上げ、用具係になった大和は、同じ係の翔太の言葉に父兄席へと目を向けた。
父兄席。
金持ちが多いだけあって、やたらと派手なスタイルが目につく景色。
常に、黒ずくめの野郎ばかり見ている大和にとって、それはちょっと引いてしまう程の眺めだったが、翔太に言われて見た先には、そことは少し違うモノがいた。
「げ…………………」
「なぁ、誰の家族かな?何か、モデルみたいじゃない?」
周囲の視線を浴びながら、ドンッと一番前を陣取る集団。
扇子片手で、ワクワクと瞳を輝かすお父ちゃんを筆頭に、サイドに腕組みした安道、明らかに付き合わされた感の錦戸とお弁当らしき荷物を持った高橋。
明らかに付き合わされた感の、錦戸。
錦戸、すまねぇ……………。
大和は、思わず心の中で謝った。
「いや……………あれ、ウチの親父」
「え……………!?ど、どの人が!?皆、めっちゃ若いけど!!?」
「ほら、あのど真ん中で扇子振ってる(能天気そうな)奴………」
「ぇええっ!!マジで!!?めちゃくちゃ若いし、格好いいじゃんーっ!!うわぁーっ!羨ましい!」
うんうん、そうだろ。
初めて見た人間は、大概こんな反応。
普段、学校にはほぼ来ない、嵩原。
今まで会った事のなかった翔太の驚きは、そりゃもう大和も慣れたもの。
多分、そんな輩が今日1日増えまくり…………。
「目立つねん、とにかく……………」
ああ、早よ終われ体育祭……………。
大和の願いも空しく、体育祭は始まったばかり。
そして、被害者は増える。
「あれ?片山やねーかっ!」
ざわつく父兄もなんのその。
グランドに足を踏み入れ、こっそり颯だけを見に来た片山が、錦戸に続いて巻き添えを食らう。
「え………………嵩原組長?」
こっそり颯だけを……………。
ザワッ…………………
「きゃー、誰?またイケメン♡」
「どなたのご家族かしら~ステキ♪」
一瞬で注目の的。
「何しとんな!こっち来いやっ…………なんなら、弁当もあるぞー♪」
「は…………………」
身長180越え。
遠目にもわかる美形は、アッサリ嵩原に見つかった。
「片山………………?」
「あ…………錦戸。久し振りやな…………」
チラッと向けられた視線が、痛い。
嵩原が呼び寄せた片山へ、不思議そうに目をやる錦戸の表情。
蟠りは解けても、まだ少しぎこちなさが残る二人の微妙な会話。
「ここは若の学校やぞ……………何で、お前が?」
「いや……………ちょっと知り合いがおんねん」
「知り合い?お前に?……………へぇ」
へぇ。
関西ヤクザが、関東の私立高校に知り合い。
錦戸が首を傾げるのも無理もない。
普通なら、こんな優秀校の人間とヤクザが関わっただけで大問題。
誰だよ、それ。
大体、錦戸は片山の恋人が颯だと言う事自体知らない。
しかも、逆に言えば、片山は海と錦戸がなかなかの関係である事を知らない。
なんなら、昔兄を介して出会い、兄の死をきっかけに憎しみまで生まれた二人が、今もしかしたら家族になるかもしれない微妙な位置に配してる事を、互いに知らない。
なんとも面白い偶然。
これは、『桜井が大和に告白して、それを知らない安道が桜井の相談を聞き、二人が知り合いだとは知らない嵩原が、桜井の事を安道に愚痴った話』に続く、恋愛男子の摩訶不思議ループです(ややこしさ極まりない)。
「片山、ここ見やすいで……………こっち座るか?」
「ありがとうございます、高橋さん。では、失礼します」
そんな複雑な関係へ足を突っ込みかけている二人を気遣い、高橋がサラッと助け船。
鋭い錦戸との間に身を置き、片山を隣へと誘う。
「わ……………片山さん…………」
「はい………………?」
片山………………?
高橋の優しさが、可愛い瞳にまた止まる。
丁度、高橋が片山に席を譲っていた最中、真正面で動く姿を颯が見付ける。
「来てくれたんだ………………」
運営係として、本部にいた颯の嬉しそうな顔。
たまたま司会席に予備マイクを持って来た大和は、急いで父親達の方へ振り返った。
「なっ…………ホンマや!増えとるやんけっ」
キラキラ輝くイケメンが、もう一人。
悟られないよう、小さく手を振る颯に気付き、こちらを見て頷きながら微笑んでる。
ラブラブじゃーん。
「もう増えんやろうな……………」
周りのざわつきが、半端ない。
何が、体育祭。
主役、完全に持って行ってるじゃねーか!
「そう言えば、もうすぐ海が来るんだよ♪来賓席になるけど……………海、嫌がるだろうな」
増えるんかい……………っ!
「嫌がるも何も、親父達に合流でもされたら、ただの体育祭荒らしやで……………」
これで、お弁当も皆で食べるんだ。
野郎ばかりの群れ。
食べづらくて仕方がねぇだろ。
「はぁ……………リレー早く終わらねぇかな」
「大和、リレーお昼の前だから、もう直ぐだよ」
「は?だって、午後の最後じゃ……………」
「ううん、それ3年生。1年が開会式後で、2年はお昼前………3年がオオトリなんだ。今3年の騎馬戦が終わったから、次の次…………」
嘘。
『プログラム11番、2年生によるクラス対抗リレーに出場の選手の方は、入場門までお集まり下さい』
用具の準備や片付けに追われて、すっかり勘違いしてた。
「大和ぉーっ!頑張れよーっ!!」
グランドに響き渡るアナウンスと、背中に当たる目一杯の愛情。
違った、プレッシャー。
「ヤベ………………胃が痛ぇ」
喧嘩は上等。
でも、真面目な学生は、いまだ慣れず。
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