アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
本編より/大和と山代カフェデート
-
(読者様で、この前の山代が大和を迎えに行った下り…照れる山代がもう少し見たかったと言われてたので、書いてみました。でもちょっと切なくなってしまいました…すみません(*_*;))
同級生・森口航平に会った後。
山代は、久し振りに子供の頃を思い出す。
「何にも………子供らしい思い出はないですけどね」
綺麗な草花の柄が描かれた、珈琲カップ。
手に持った振動で、揺れた水面を見下ろす山代は、照れ臭そうに目を細める。
まさか…………自分を覚えてくれていた友人が、いたなんて。
自分は、同級生の名前なんかとっくに忘れてた。
「良かったな。お前の知らん所で、思い出が生きとって……………ただお前を狙うただけのキモい野郎やったら、シバいたろう思うてたけど、悪い奴には見えへんかったんでホッとしたわ」
「若頭………………」
目の前に置かれたシフォンケーキにたっぷりとクリームを付け、頬張る大和の笑顔が山代の心にキュンとさせる。
何も言わず、先に席へ向かった大和。
大和は大和なりに山代を気にし、ちゃんと森口をチェックしていた。
誰が見ても、品良く美人な山代。
頭が切れ、実力もあるが、あの相葉の件があるように、何処か隙がチラつくのも確か。
「すみません、ご心配をおかけしまして…………」
軽く頭を下げ、ほのかに染まる赤い頬がやけに色っぽい。
「色気、ダダ漏れ」
「…………………え?」
「ホンマ、ヤクザらしゅうねぇなぁ………お前。高橋もエロいけど、あいつのエロさには強さが見える。ヘタな奴が近付けるエロさやない」
そう、高橋には隙がない。
綺麗な高橋に触れて許されるのは、嵩原と大和だけ。
それ以外が近付こうものなら、多分高橋に痛いしっぺ返しを食らう。
高嶺の華の華。
絶対領域。
「でも、お前は違う………強いけど、危なっかしい。この俺が、放っておけへんて思うてまう」
「それは…………私が、頼りないと?」
「んや、それとはまた違うねんな……………仕事は出来るから、そこは心配してねぇし」
だから、大和も仕事の事でグチグチ山代へ言った覚えはない。
二口目のシフォンケーキをフォークに取りながら、大和は不安げに自分を見つめる山代へ目をやった。
「……………そう言う所や」
「はい………………?」
「直ぐ、俺の顔色見るとこ。もっと胸張って、自信持てや………………俺は、何があってもお前を離す気ねぇよ。安心せえ」
「わ……………若………」
山代の表情が、一気に大和だけのものとなる。
離す気ねぇよ。
そんな事言われたら、この一途な男は瞬時にとろけてしまう。
「じ……………自信持てません。若頭は、おモテになられるから……………」
「…………………あ?」
先に出た高橋も、あの桜井も。
それから、嵩原も。
自分より明らかに実力が上だと思う男達が、皆こぞって大和を愛してる。
将来が楽しみな少年の人を惹き付ける魅力。
負けたくない。
それを思う度に、山代の焦りは募るばかり。
「モテるかな?俺……………親父には負けるわ。スゲーなって思う人ほど、親父に惚れてる。組員を見てても思うけど、俺は色恋よりも男が惚れ込む男になりたい……………やっぱ、親父はかっけぇから」
ただ、恋とは簡単なものではない。
山代がどれだけ大和を想おうと、大和の視線は遥か先を見ている。
親父はかっけぇから。
それを口にした大和の輝き。
叶わない恋だと、思い知るのみ。
「本当に、若頭は嵩原組長がお好きなんですね………父親としても、組長としても……………」
恋人としても。
山代は、大和の眩しさに笑みを浮かべ、敗北感を味わった。
「でなきゃ、あの人の背中を追わねぇよ」
サラッと言い放つ大和が、憎い。
その気持ちがわかるから。
自分も、父親の後を継ごうと思った時、体調もあったが、それが出来るのは自分しかいないと思ったものだ。
あんな男になりたい。
素直に感じていた。
「私の恋は、永遠に叶いそうにないですね…………」
「………………山代」
「ですが、その信念を曲げないから若頭。私が惚れた男です………………私も、強くならなくては。心配されるようでは、まだまだですしね」
この恋に終わりはあるのか。
叶わないと悟っているのに、諦められない。
「まずは、色気をセーブやな」
「そこ、自覚ないんでどうしましょ…………」
「無自覚のエロさは、質悪いわ」
「申し訳ありません…………」
捨てるには、惜しい熱い恋。
許されるなら、まだ好きでいたいと願う。
「よし、高橋に弟子入りや!」
「…………………えっ」
「プッ……………冗談に決もうとるやろ」
「もう、若頭……………っ」
好きでいたい。
好きで、いたい。
もう少し、この方に恋をしていたい。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
189 / 241