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ヤクザ家業
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(普段本編では書ききれない、ヤクザな日常を書いてみました。穏やかな姿だけではない、ヤクザ・竜童会です。本編の影響か、少し強面な姿を書きたくなりました……そして、すみません、男娼シリーズ。次で完結させたいのですが、あちらは一気に入れたいので、更新が落ち着き出しましたら投入させて下さい(*_ _))
所詮、ヤクザ。
酸いも甘いも、全てが奴らです。
「おいっ!このガキャア……ナメとんかァ!!」
大都会の街に、今夜も訪れる眠らない街の明かり。
ホストにキャバ嬢、チンピラに家出娘。
ネオン煌めく下に犇めく、何かしら影を抱えた連中。
そんな人間が集まると、何処かしらで毎日いざこざは起き、表には出来ない面々も顔を揃える。
「若頭の女に手ぇ出して、タダで済むとは思ってねぇよなぁ!?」
「ひっ……………」
賑やかな通りに面した、一角。
通行人達の注目を浴び、いかにもと言った輩達が一人の不良を捕まえ、怒鳴り上げてる。
不良の顔からは、既に怒りを買った証が。
散々痛めつけられたのであろう、不良は半ベソをかいて路上に正座していた。
「あ?えらい騒ぎやの…………何じゃ、アレ」
そして、そこへまた重なる同じ輩。
罵声を飛ばすヤクザ達から、数メートル離れた場所に現れた、一つの黒い山。
多くの人々が退くその中心に現れたのは、大和率いる竜童会関東支部の集団。
その数、約20人。
高橋を除いて、ほとんど若手。
久々にシマの下見を兼ね、夜の街へ繰り出す大和が、支部にいた若手に声をかけた。
大和や高橋と言った幹部と滅多に食事など共に出来ない若手は、当然浮き足立つ。
嬉しくて、大和が気付いた喧嘩にも、口々に何処の組かと話し出す。
でもそれが、一つの勉強を生む。
「申し訳ありません、若…………直ぐに、片付けて参ります」
注意をするわけではない。
騒がしい連中を見る大和の脇に立ち、頭を下げる高橋に、ピリッと緊張が走る。
「え…………た、高橋さん?」
大和や高橋にわかって、若手には見えてなかったもの。
戸惑う若手達が高橋へ話しかけた時には、もうその姿は目の前にはいなかった。
「さぁて、どう落とし前つけてもらおうか?この代償はでけぇぞ、ガ…………」
「それは、こっちの台詞や」
震え上がる不良を見下ろし、いやらしい程にニヤニヤほくそ笑むヤクザに歩み寄る、本当の落とし前。
「誰だっ…………」
ガッ……………!!
「ここは、ウチのシマじゃ…………他人の土地で、何デカい面してくれとんな、コラ」
振り向き様に掴まれた、胸ぐら。
ガッツリ握られたそれは、足を動かす事さえ許さない。
「………………落とし前つけんのは、てめぇらやぞ」
迫る睨みの恐ろしさ。
「き…………貴様は………っ」
一端のヤクザならば、今や知らぬ者はいない。
いや、知って然るべき。
極道の世界で、数少ない己の名を馳せた男の一人、竜童会・高橋。
嵩原と一気にのし上がった壮絶な偉業は、あまりに有名。
「マジかよ…………」
まさかの大物登場に、さっきまで意気がっていた男達の額に浮き出た、汗の玉。
「頭呼んで来い……………下の尻拭いは、上にしてもらうさかい」
容赦ない仕打ちが、反旗さえもへし折るか。
有無も言わさぬ威圧感。
声を荒立てるわけでもなく、低い凄みのみで追い込む先輩の業。
若手達が見守る中、逃げ場のない高橋の攻めに、ヤクザ達は本当に組の若頭を呼び出す羽目となる。
ヤクザには、ヤクザ。
極道は、骨の髄までしゃぶられた方が負け。
「よう見とけよ、高橋を」
ポツリと呟く大和に、その世界の怖さを見る。
今夜、若手達は一つ学んだ。
高橋が、何故直ぐ様動いたか?
それは、自分達のシマでの騒ぎを大和に見させてしまった上に、天下の竜童会の足下で、他所の組に大きな顔をさせてしまったから。
たった一瞬の事でも、甘えを許せば付け込まれる。
大和も高橋も、あの連中を見た瞬間スイッチが入った。
竜童会と言う看板が泣く。
竜童会の恐ろしさを叩き込み、安易に触れたらどうなるか、一寸の隙も与えてやらない事を周知させてこその忠誠。
それがわからない人間に、組をのし上がる才はない。
普段、穏やかな表情を見せる竜童の男子達。
彼らはやはりヤクザであり、こんな経験を重ね切磋琢磨している。
勝った者が、強い。
そうして、もうすぐ始まる。
そんな彼らを動かす、また新たな勝負の時が。
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