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三者面談(大和と安道)/前編
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(大和達が続いて、すみません!他のメンバーも練ってます!浮かんでる話がシリアスばかりで、急遽入れました)
「………………やべぇ、忘れとった」
とある月曜日の朝。
寝癖頭でベッドから起き上がった大和は、鞄の底でクシャクシャになったプリントを見つける。
『三者面談のご案内』
気の毒な程押し潰された紙を広げると見えた、重いタイトル。
三者面談……………。
「今日やんけ…………っ!!」
思わず叫んだ大和の手で、またグシャリと握りしめられたプリントの成れの果て。
チラッと見えた日付、バッチリ今日でした。
「どないしよ………親父、昨日から関西や。しかも、高橋は地区の幹部らと会議言うてた…………」
山代や伊勢谷、花崎では若すぎる?
誰がいるんだ、他に。
いまだ寝起きのややボーッとした頭で、大和はこれをどう切り抜けようかと考えた。
ややボーッとした頭で。
「…………浮かぶワケねぇわ。もう、ええ……最近成績も良うねぇし、どうせ叱られるんや。先生に言うて、俺だけ別の日にならんか頼も」
そうだ、そうしよう。
月曜日からお説教される位なら、先生に無理を言った方がまだマシ。
後日なら、お父ちゃんの機嫌も(適当に何かで取って)良くして行けるだろう。
大していい案も浮かばない大和は、浅はかな策略と一番簡単な方向で話を片付ける事に結論づけた。
「あ?何や、コレ」
バシッ…………………
しかし、世の中そんなに上手くはいかない。
子供の悪巧みなんてものは、案外親にあっさりバレるもの。
「え……………」
突如、背後から伸びた腕。
「三者面談?日にち、今日やねぇか」
「ひ……………」
寝ぼけた頭も、一瞬で目が覚める。
夢、じゃないよな。
「竜也おらへんのに、誰が行くねん」
「きょ………京之介ぇっ!?」
夢じゃなかった。
振り返った大和の顔色が、全てを物語る。
自分を見下ろすイケメン親父の恐ろしさ。
まさかの安道ご登場。
「な、何で…………京之介が…………」
そりゃ、さすがの大和も寝起きのコレはビビる。
何で、安道。
「何でて、竜也と高橋に頼まれたんや。今日二人共おらへんから、大和の世話頼むて」
朝、弱いからね。
お父ちゃんも高橋も、ガツンと大和を動かせる人材選びました。
「ぇえ…………」
「どう言う反応な、失礼やの」
「いや、なんでも…………」
人選、見事に正解。
チロリと見られただけで、蛇に睨まれた蛙のように大人しくなってる。
「てか、お前さっと起きよ………朝飯作っとんのに、なかなかけぇへんから起こしに来たんぞ。まさか、毎日高橋に起こしてもらうとんやねぇやろな」
ドキ…………。
クシャクシャのプリントを手にして、自分の顔を覗き込む安道に、冷や汗が出る。
ちょっとした隙も見逃さない。
これまでもボロッと溢した失言で、どれだけ拳骨落とされたか。
「………………図星か」
「う……………ごめ………」
結構図太い神経をした大和も、この安道だけにはヘタに歯向かったりはしない。
歯向かったら最後。
確実に何倍にもなって返ってくる。
鬼より恐い、愛の鞭。
「まあ、ええわ。大和…………これ、俺が行くから先生言うとけよ」
言うなれば、それだけ大和の事に責任を持って接してる。
「…………………は」
だから、当然こんな流れにもなるよね。
俺が行くから。
俺が……………?
「竜也も高橋もおらんのなら、俺が行かなあかんやろ」
「いっ………………」
成績良くないとか、考えてる場合ではない。
鬼より恐いのに…………!
みるみる青ざめる大和を尻目に、安道はプリントをヒラヒラ靡かせニヤリと笑う。
「楽しみやな……………お前の評価、ガッツリ聞いて帰ったるわ」
ガッツリ。
ガッツリ、どうなるんだ。
大和、頑張れよ?
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