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男娼とヤクザ/シリーズ4(第15話)
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(昨日更新した本編を読み直し、全然BLじゃない…と今更ながら改めて思いました。本当に、お付き合い下さる皆様には感謝です……)
愛し合う事の悦び。
大好きな人に求められ、幸せに満ちた時間。
苦しみも悲しみも、乗り越えるのは一緒。
そんな想いが大和を包み込み、深い眠りと誘う。
「おい…………嘘だろ………」
人の気配を辿り、行き着いた先。
遮光カーテンの引かれた薄暗い空間で、男前は眼下に広がる光景に我が目を疑う。
今日、久し振りにゆっくりとした休みが取れた、湊。
ただでさえ忙しい兄・嵩原へ、美味い物でも食べさせてやろうと意気揚々と来た矢先の、謎の先客。
ちょっと、内心イラッとした。
誰だよ、一体…………。
長い間離れ離れだった二人。
折角の兄との時間を邪魔されてるようで、少しばかり穏やかではなかった心情は、わざと挨拶位してやるつもりで探索開始。
あれよあれよと進むうち、残ったのはまさかの寝室。
え?と思ったが、意を決して入ったそこに、顔見知りが寝ているなんて誰が想像しよう。
「や…………やま…………」
動揺し過ぎて、スムーズに名前も出ない。
しかも、見る限り知り合いの上半身は、裸。
上半身は、裸。
大和が、裸…………!?
「もしかして…………あの兄貴が?」
大和を買ったのか…………?
それとも……………。
言葉を失うとは、まさにこの事。
相手が女じゃないのもビックリしたが、相手が大和なのには思考回路が回らない程ビックリしている。
「どう言う事だよ…………知らねえって言ってなかったか…………」
ふかふかのシーツにくるまれた大和を見つめ、湊は言い様のない気持ちに頭を抱えた。
「はぁ…………マジか……」
溜め息混じりに溢れる、複雑な想い。
ベッドの脇へしゃがみ込み、立ち上がる気力も無くしそう。
「ん……………」
ただ、何も気付いていない当人だけは、幸せそうにその罪な寝顔を晒してくれる。
微かに漏れる寝息の可愛らしさ。
どんな時間だったかは、これを目にすればイヤでも伝わった。
「参ったな…………挨拶なんか出来ねぇよ」
嫌味の『い』の字も出て来やしない。
「……………とりあえず、兄貴と話そう」
自分にとって、どちらも大切。
どちらも、それぞれに想いがある。
湊はソッと大和の髪を撫で、この場を立ち去ろうとベッドへ手を突いた。
「嵩原…………ぁ……」
「………………はい?」
だが、事は意外な方向へ流れ出す。
大和がいるとは思いもしなかった湊と同じで、湊がいるとは思いもしない大和の寝ぼけよう。
奇しくも嵩原と湊は、兄弟。
体格も声質もよく似てる。
「ん………嵩原…………帰って来たん?」
「え……………」
ベッドに置かれた手を掴み、擦り寄ってくる甘えん坊に、湊は固まった。
「いや…………やま………俺は…」
「嵩原………嬉し………」
目が開いていない悪戯な囁き。
いまだ、夢見心地。
でも、ぼんやり聞こえる湊の声が、大和には完全に嵩原だった。
目を擦りながらも、掴んだ腕を離したくはない。
夢か、現実か。
「いっぱい………欲し……ぃ…」
そうそう、いっぱい欲しいだけ。
「もう一回…………」
「は……………」
もう一回、何…………。
目が点になる湊を他所に、やたらと赤い唇は愛する男を求めてる。
ああ、恋は盲目(色んな意味で)。
なんとも、罪作りな若き性欲よ。
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