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真木と宇佐見
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真木と宇佐見。
全国でナンバー2に規模を広める、ヤクザ組織関西白洲会で、成長株の若手二人。
まだ二十代の二人は、関東を視野に入れた白洲会の動きに合わせ、関東に乗り込んでから、早数ヵ月が過ぎようとしていた。
そんな彼らの日常は、尊敬して止まない、白洲会次期組長候補筆頭の、片山LOVEで埋まる。
「なあ、宇佐見…………………知っとったか?……………明後日、片山さんの誕生日やぞ」
雲一つない、青空が眩しい昼下がり。
真木は、街中に建ち並ぶ店へ目を向けながら、隣の宇佐見に声をかける。
「奇遇やな……………真木。俺も今、それ考えてたわ」
見た目、EX○LE系真木と、ジャ○ーズ系宇佐見。
二人並べばそこそこ目立つ野郎同士、一つの店で立ち止まる。
そこは、高級アクセサリーショップ。
ウインドウには、有名な海外ブランドのアクセサリーも飾られる。
「…………………片山さん…………こんなブレス、ようしてるでな」
真木はその中の一つ、シンプルながらに質の良さが光るブレスに目を止める。
「オシャレやもんな………………片山さん…………何着ても、格好ええから似合うし」
白洲会一の色男。
そう言われる片山は、オシャレでヤクザに見えない、格好良さが人目を惹く。
しかも、性格は男前で兄貴肌。
欠点なんて、見当たらない。
勿論、真木も宇佐見も、常に目がハート。
片山が、大好き。
片山を思い浮かべる宇佐見に至っては、頬を赤くして、ニヤついていた。
「……………………35万か…………………」
さすが、都会。
さすが、高級店。
まだまだ若手の二人には、少々厳しいお値段だ。
「でも、俺ら………………一週間のうち、6日は片山さんにご飯奢ってもろうてるで」
ソレ、ほぼ一週間。
オシャレなブレスを見つめ、宇佐見が呟く。
「スーツとかも、よう買うてもろうてるしな…………」
まるで、保護者。
真木も溜め息をつき、財布を握った。
買うしかない………………そんな空気が、二人を包む。
「よし!宇佐見っ……………清水の舞台…………いや、ナイアガラの滝から跳び降りるつも…………」
「なんや、真木と宇佐見……………お前ら、ここにおったんか?」
片山さんっ!!(目がハート)
「昼飯、奢ったる言うたのに、待ち合わせ場所にけえへんから捜したで」
二人の後ろから聞こえた声に、真木と宇佐見の胸は一気に高鳴った。
急いで振り返り、歩いて来る愛しの片山発見。
濃紺のコットンジャケットに、白の浅VTシャツ……………もう!片山さん、何着てはっても似合う!
「片山さん、捜してくれはったんですか!?」
「すみませんっ!!」
ハートを周りに振り撒き、二人は近寄る片山に頭を下げた。
「ああ……………まあ、気にすな………………ん?どないしたんや、アクセなんか見よって………………お前ら、これ欲しいんか?」
真木達に歩み寄った片山は、その後ろのウインドウへ目を向け、ブレスに気が付く。
「あ、いえ…………これは………」
「買うたるわ。好きなん選べや」
ええ…………………っ!!
「マジで、ええんですかぁ!?」
瞬く間に、テンションはハイへとアップする。
「最近、よう頑張っとる褒美や。中入って、店員さんにええの見せてもらい」
「あ、ありがとうございます!!」
二人は、高揚した顔で、嬉しそうに片山の後について行った。
………………………あれ?
いやいや、違うだろ。
「あ……………………っ!!」
片山さんの誕生日ぃ………………!
二人の日常は、こうして終わる。
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