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高橋
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嵩原親子にとって、外せない人。
それは、大和の右腕、高橋。
元々は、竜童会組長嵩原竜也が見つけ、高利貸の強欲社長に飼われていた高橋を、助け出した。
嵩原が最も信頼し、最も手をかけた側近である。
補佐の力は、ナンバーワン。
嵩原を長年支えてきた高橋は、大和の下に付き、僅か2年足らずで大和を若頭へとのし上げた。
見た目もさる事ながら、実力も最高、何をやらせても完璧、大和にとって、最大の心強い味方なのだ。
「高橋~!俺の気に入ってた、ブルーのTシャツ知らん?」
大和と嵩原が住む、関東の自宅、高級マンション。
大和を完璧に補佐する高橋は、身の回りの世話も完璧。
今日も、せっせと大和の世話に勤しむ。
「若……………それはクローゼットの右端の、チェストの上から二段目の引き出しです」
キッチンで、二人の朝食の準備をしながら、高橋はリビングから顔を出す大和の質問に答える。
「サンキュー♪………………あ、ほな…………先月買った、ダメージ入りのデニムは?」
「あのデニムは、そのチェストの隣の、一番下の引き出しに入れときました」
「さすが、高橋ぃ~。完璧や♪」
最近、(本編で)珍しく嵩原と少し衝突し、マンションに顔を出さなかった、高橋。
それがやっと、嵩原の許しを得、今日久々に家に来た。
大和は嬉しくて、朝から高橋にベッタリ。
嵩原に次ぐ、もう一人の親みたいで、高橋がいるだけで、テンションは上がる。
「なんや………………さっきから、高橋高橋って」
逆に、この方は下がりっぱなし。
大和とラブラブな筈の嵩原は、高橋が来た途端の大和の喜びように、密かなジェラシー。
リビングで新聞を読みながら、苛々が募る。
「なぁ、高橋………………今日の定例会のスーツ、どっちがええかなぁ?」
「若は、紺がよう似合いますから、濃紺の方がキレイですね」
「ホンマ?なら、紺にするわ♪」
いつもより、トーンの高い大和の声。
「いや、スーツなら俺かて選べるし!俺、案外オシャレやぞ」
そう言って、嵩原はテーブルに置いた煙草へ手を伸ばす。
高橋が来てから、これで既に10本目。
やたらめったら、煙草がよく進む。
「定例会、錦戸に言うて止めさせたろかな…………」
それ、組長の権限に私情が入ってます。
「親父…………………珈琲、お代わりお持ちしました。煙草もえらい進んではるようですから、早いですが、親父の好きなフレンチトースト作りましたから、食べて下さい」
高橋は、フォローも、また完璧。
ふて腐れる嵩原の脇へ座り、高橋は好物を持って来る。
長い付き合い。
嵩原の事は、誰よりも理解している。
「わ、お前のフレンチトースト久し振りやな。美味そうやん♪もらうわ………………」
……………………あ。
結局、こうなります。
嵩原の女房役は、今も健在。
「あかん…………………お前には、敵わん」
「クス……………………私も、親父にだけは敵いません」
溜め息をつき、自分の作ったフレンチトーストを頬張る嵩原を見つめ、高橋は微笑んだ。
現在の竜童会を築き上げた、立役者の二人。
嵩原にとって、高橋以上の右腕は、いなかった。
例え、大和でも入れない絆が、そこにはある。
「高橋ぃ~、高橋ぃ~!」
またか!
ちょっと和みかけた嵩原と高橋に水をさす、二人のアイドル。
大和は、まだ高橋を呼ぶ。
「高橋、あのなぁ…………」
「もう、何やねん!10回に1回位、お父ちゃん呼べや!!俺は、透明人間か!」
「え、親…………………」
「次は何や…………俺が聞いたるから、言うてみい!」
ジェラシーお父ちゃん、限界を越える。
嵩原はムッとしながら立ち上がり、驚く大和へ手を差し出した。
「いや………………シャツの釦、取れてねんけど……………親父、付けれんの?」
「はい…………………?」
釦?
「親父、大丈夫ですか?なんやったら、私が………」
「でっ…………出来るわ!何年、片親してる思うとんねん…………………釦くらい、なんぼのもんやっ」
ええ、なんぼのもん。
嵩原は大和からシャツを受け取ると、針と糸を高橋に貰い、ソファへ座り直す。
組長、息子の釦を付ける。
有り得ない光景に、高橋も大和も、笑うに笑えない。
「親…………………親父……………」
「っさい………………こないなもんはやな………………こうやって…………………」
ブスッ…………………………
ブスッ?
はいはい、わかってましたよ、そんな事。
「っい…………………高橋ぃー!針刺したぁ~っ(泣)」
二度手間です、親父様。
高橋。
完璧な右腕の、完璧な毎日は、嵩原親子によって全てが埋まる。
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