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上地丈一郎
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何故か、この方はフルネームな気分……………。
極道の中の、極道。
関西白洲会組長、上地。
またの名を、『冷酷、上地』。
組員への優しい言葉もない、嵩原とは真逆をいく鉄壁の組長である。
ただ、少年時代に年下の嵩原に会って以来、22年間、ずっと嵩原に片想い。
「…………おい、親父……………今日、機嫌悪いんか?」
少し前、上地は十数人の幹部を引き連れ、片山に会いに関東へ来た。
関東の土地を見に来たのもあったが、先に関東に行った嵩原が気になったのではないかとも、最近では思う。
そんな白洲会幹部御一行様は、今、高級ホテルに長期滞在中。
今朝も、ホテルでモーニング。
「機嫌悪いって………………いつも表情変わらへんから、わからんわ………………」
ホテルのレストランに座る上地を遠巻きに眺め、幹部達はヒソヒソ話。
冷酷上地、常に表情、鉄仮面。
幹部達の朝は、上地のご機嫌を見る事から始まる。
高級ホテルのビュッフェスタイルな朝食を、上地の為に取り分けながら、頭を悩ませる。
「え?上地、今日機嫌悪いん?」
………………………は?
幹部達がたむろする輪の中に、一人聞き慣れない声。
「ぅわあ………………た、た、嵩原組長!?」
何で…………………っ!?
はい、何で?
幹部達と肩を並べ、しれっと嵩原混入。
神出鬼没、これだから錦戸に叱られます。
「何してはるんですか!ま、まだ…………10時前ですよ………………っ!?こないな朝っぱらから…………」
幹部達は目を丸くして、問いかける。
「ん?いや、ちぃーとゴルフ行きとうなってなぁ……上地やらへんか、聞きにきてん」
どんだけ、自由人!
他所の組ですが、幹部達も呆れてものが言えない。
「オーイ、上地ぃ~っ。お前、今日機嫌悪いんかぁ?」
ギャーッ!!
しかも、空気読めなさ過ぎ!!
固まる幹部達を尻目に、嵩原は上地に話しかける。
「あ………………?嵩原、お前何しとんねん」
嵩原に呼ばれ、上地はテーブルからこちらへ目を向ける。
さすが、上地。
こんな朝からでも、嵩原出現に平静を保つ。
長い付き合い。
嵩原の不思議ちゃんには、慣れてます。
「なぁ、上地…………これから、ゴルフ行かへん?俺さぁ、身体動かしとうなってん」
「ああ………………別に、かまへんけどな」
「マジ?やっぱ、上地は優しいな♪」
幹部達は、嵩原の暴挙に、ただただ唖然。
「お前ら……………上地、機嫌悪うないで?」
けろっとした顔で、嵩原は幹部達の方へ振り返る。
あんただからや………………っ!!
上地丈一郎。
冷酷無比な男は、嵩原だけには優しい男。
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