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花崎と高橋
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竜童会で、若手No.1と言えば、この人。
若頭大和を、唯一『大和』と組で呼び捨てにしている、ヤンチャ君。
天涯孤独の孤児院育ち。
昔、偶然他所の組員と揉めていた錦戸を助けた嵩原を見て、一目惚れ。
何もないと思っていた毎日が、劇的に変わる。
鳴り物入りで嵩原に直談判し、竜童会の敷居を跨ぐ。
そんな嵩原LOVEな花崎は、今、高橋と暮らしてる。
関東に来て、嵩原から大和を支えるように指示され、高橋が教育を承ったから。
「よ………………よし、今朝こそ朝飯作るぞ…………」
マンションのキッチンに立ち、花崎は朝からまな板とにらめっこ。
何事も完璧な高橋との生活は、ほぼ高橋におんぶにだっこ状態。
ご飯から掃除、洗濯まで、高橋は花崎が気付く前にこなしてる。
全くもって、立場なし。
今日こそは!!
目覚まし5個セットして、今朝に備えた。
「え……………………とやな…………………高橋さんは、和食党やから………………まず、味噌汁か」
と言って冷蔵庫を開け、首を捻る。
味噌汁の具って、何があったっけ?
いざ作るとなると、頭からスッポリ抜けてる。
「何しとんねん、花崎」
いや、何って………………………。
「わぁっ!?………………た、た、高橋さんっ!」
思ったより、早いやん………………!
花崎が振り返った先には、朝から爽やかな高橋の、男前な寝起き姿。
嵩原LOVEな花崎でも、思わず鼻を押さえる。
エロくて、鼻血出そ…………………。
人気は嵩原が断トツだが、高橋も負けてない。
大人の色気満載の高橋に、ついついヤられます。
「ん?鼻がどないかしたんか?………………見せてみ」
「は……………!?い、いえ………何でも……………」
なんて答えるそばから、高橋の指先は花崎の顔を触ってる。
わーっ!!心臓に悪いぃ………………っ。
花崎は恥ずかしさから、目をギュッと瞑って、ドキドキに耐える。
「クス…………………花崎ィ、お前ちゃんと顔洗うたか?………………涎の跡、ついてる。俺の前ではええけど、親父の前では身だしなみ気ィつけなあかんぞ?親父はそう言うの、厳しいさかい」
「よ、よだ……………………」
益々恥ずかしい……………………。
それでも、優しくその跡を親指で拭ってくれる高橋に、花崎の目は奪われる。
……………………あかん………………高橋さん、格好ええ。
このドキドキは、何だろう?
親父LOVEやなかったんか……………………?
「無理せんでええから、向こう座っとき。直ぐに飯したる……………………今朝は、親父がゴルフ行かはる言うて、若もいつもより早よう山代んとこ行くみたいやから、若の朝食して差し上げなあかんねん。少し簡単なもんになるけど、堪忍やで」
「あ………………はい、充分です」
それで、いつもより早いんや………………。
高橋の頭の中は、常に大和の事で埋め尽くされる。
わかってる。
高橋は、大和に惚れ込んで、長年連れ添った嵩原から離れたって。
組の中でも、衝撃的だったから。
「……………………高橋さんは、大和で一杯やな………」
でも、なんか………………なんか、ちょっぴり寂しい?
寂しいって…………………俺は、ただの一組員や。
キッチンに立つ高橋を見つめ、花崎は唇を噛む。
天涯孤独な花崎の、小さな夢。
いつか、ずっと一緒にいられる人を見つけたい。
それが誰になるか、まだわからない。
でも、こんな生活がいいって思ってる。
「花崎、お皿取ってくれるか?」
「は…………………はいっ」
ほんのり切ない、花崎の朝が始まる。
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