アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
定例会
-
竜童会のソレは、定例会と言う名の、宴会。
所謂、この日は、無礼講なのだ。
「親父っ!若頭っ……………お疲れ様ですっ!!」
少し街から離れた、静かな森に囲まれた高級料亭。
そこへ本日、料亭を貸し切りにした、竜童会の関東組が顔を揃える。
「おお、皆変わりないか?いつもご苦労様やな」
野太い声に迎えられ、嵩原と大和が会場入りする。
嵩原の笑顔と一言が、待ち構えていた組員達を労い、会は始まっていくのだ。
そして、二人の後を各々の右腕、錦戸、高橋が続き、嵩原達が腰を下ろした事を確認し、互いの主の側へ静かにつく。
その全てを終えたのち、待っていた組員が、ようやく座れる。
「堅っくるしい挨拶は、ここまでや。今日は、俺の奢りやから遠慮せんと呑めや?呑んでへん奴は、俺が注ぎに行くさかいな、覚悟せえよ」
錦戸に煙草の火を点けてもらいながら、嵩原の冗談で場が和み、空気は一変していく。
……………………と、まあ、ここまでは、男気溢れる竜童会の、堅い姿となる。
30分後。
「っぎゃー!お前らっ……………何すんねん!アホ!」
会場の至る所で楽し気な、男の低い笑い声が響く中、その一角で大和の叫び声。
「いや、若っ!滅茶苦茶似合うとります!」
「さすが、親父のお子っ………顔がええと、何でもいけますねぇ!」
「何でもいけるかぁ!!取れや、これっ!」
数人の、大和の抱える組員達が輪を作り、大きな笑い声が辺りを埋める。
「あー?お前ら、なに大和囲んで騒いどんねん。えらい楽しそうやないか」
普段は厳つさ満点の武闘派連中が、やたらめったら愉快に盛り上がってる。
楽しいの大好きなこのお方が、興味を示さない訳がない。
「親父ぃ……………!ちょっと見て下さい♪」
「今日、若いのに余興で女装させたろ思うて、カツラ持って来てたんですけどねっ…………若に被せたら、めっちゃ似合うとるんです♪」
「は……………………?」
大和に、女装?
固まる嵩原の前には、確かにガタいの良い男衆の間から、長い髪の毛がチラついている。
「アホ抜かせ…………………んなもんはな、もっと綺麗で華奢な子にさせるもんやぞ?大和みたいなデカいのが、似合う訳ないやろ」
男としてはイケてても、女形ってものとなると、話は別。
嵩原は冷めた眼差しで、その場を覗き込んむ。
「せやけど、親父……………若、可愛ええですよ!?」
「ほれ、ご覧になって下さい…………っ」
「あっ、ボケッ…………引っ張んな!俺は、嫌やて言うてるやろが………………っ!」
大和の抵抗空しく、いたいけな?身体は、屈強な男達に引っ張られながら、嵩原の前にさらされる。
「はいはい、どれどれ?ギャグにでもなるか、俺が見定めた…………………………」
おや?
組員に捕まえられ、自分の目の前へ出てきた大和の姿に、嵩原は首を傾げた。
長い髪の毛と、案外小顔な大和の顔。
自分に似たハッキリ二重の綺麗な瞳に、母親に似たピンクのふっくらした唇がまた、違和感ない………?
「可愛いいやないか……………………」
ヤバい。
ムラムラします。
「でしょ…………………っ!?」
「親父…………………っ!!」
組員達のドヤ顔と、大和の怒れる顔を尻目に、嵩原はおもむろにスマホを取り出した。
「………………………お前ら、大和を押さえ込め。ちと、写メ撮る」
「了解ッス!!」
組長の権限、この場でフル発揮。
こんな場面で、竜童会の団結力は試される。
「何が、了解や!離せぇ……………っ!後で覚えとれよっ!!」
自分の組員達に押さえ込まれ、有無も言わさず、大和は嵩原のスマホとにらめっこ。
「大和ぉ………………笑うてくれな、待ち受けに出来ひんやん」
「笑えるかァ!しかも、待ち受けてなんやねん!」
「あ、それから…………そのカツラ、俺にくれる?」
今夜は、大和とコレで遊ぼう♪
お父ちゃん、一人でエロ妄想。
「もー、親父ぃ……………好きッスねぇ♪何に使うんですか?」
「え?………………秘密♪」
「てめぇら……………人の話を聞けぇ!!」
気付けば、大和の周りは、大和見たさに黒山の人だかり。
大和の女装?は、大好評を得る。
「……………………若、オモチャやな………………」
「まあ……………親父が率先して動いてはるから、救いようがないな…………………」
賑やかな一角を眺め、錦戸と高橋は、溜め息混じりに大和へ同情する。
この後、業を煮やして高橋が救いの手を差し伸べるまで、大和は嵩原の被写体(犠牲)となっていた。
竜童会の定例会。
それは、地位も何もない、楽しい息抜きの場。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
12 / 241