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片山
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不思議と、この人のタイトルはなかったです。
10年前に殺された、錦戸の兄の復讐の為、ヤクザの世界に足を入れ、死ぬ覚悟で生きてきた人。
白洲会、次期組長候補筆頭、片山慶次。
背が高く、綺麗で、オシャレ。
そして、強い。
嵩原の様な、華のある、ヤクザです。
「…………………定例会まで、まだ時間があるな…………」
宇佐見が上地にやらかした、白洲会定例会。
その定例会の前に、ちょっとした出来事がありました。
組長上地も顔を出す定例会。
今日は珍しくスーツを纏い、片山は一人街角に立っていた。
「何処かで時間潰すか…………………」
背が高くて、見た目が美しい、片山。
スーツ姿で腕時計を見る仕草も、人目を惹く。
すれ違う女性達の視線を浴びながら、片山はお茶でも出来る場所を探した。
トンッ……………………
「あ、すみません………………っ………」
丁度いい感じのカフェがあった………………そう思って、片山が振り返ろうとした瞬間、人の肩とぶつかり、咄嗟に謝りを入れる。
「…………………………片山?」
………………………はい?
自分の名を口にした相手に、片山は眉をひそめた。
関東で自分を知っているなんて、どう考えても、同じ筋。
嫌でも片山の神経は、張り詰める。
「やっぱり、片山やん………………」
少し和らいだような声で話す相手へ目を向け、片山はドキッとした。
「………………………錦戸」
「偶然やな、こないなとこで」
……………………よく、似てきたな。
片山の亡き親友の、弟。
竜童会、嵩原組長の右腕錦戸が、そこにいた。
「ん……………?なんや、俺の顔に何かついてるか?」
ボーッとして自分を見てくる片山に、錦戸は怪訝そうに話しかける。
ボーッと。
つい、親友と弟を重ねてしまった。
いまだに、片山の心に強く残る、親友の存在。
なんとなく、声までも似てきたように思える弟に、昔の記憶が甦るよう。
「いや…………………すまん。お前が、あんまりにも兄貴に似てきたさかい…………………驚いた」
「兄貴に?…………………そうやろか?」
「ああ…………前に会うた時より、声までよう似とる」
目の前で、首を傾げる錦戸を見つめ、片山は目を細めた。
「……………………今日、嵩原組長は?側におらんでええんか?」
「その親父に頼まれて、時計の修理に来たんや。あの人、高いもんでも平気で何処でも置くさかい、普通なら止まらんような時計が止まっとった。どないな扱いしとんやろか………………この前なんか、飲み屋で会うた若いリーマンと話が合うて、50万のブレスあげとるし………………ホンマ、手のかかるお人や」
でも、大好き。
ブツブツ言っている錦戸からは、そんな雰囲気が伝わってくる。
「クス………………嵩原組長の話題には、事欠かんな」
「…………………………え?あ、まあ………………」
良かった。
照れ臭そうに顔を逸らす錦戸を見て、ホッとする。
兄の憧れた嵩原の側につき、兄が味わいたかった幸せを今、弟が味わう。
本当に、良かった。
片山は、まるで自分の弟のように、錦戸の幸せに喜びを感じていた。
「なあ、錦戸…………もし、時間が良かったら……………その愚痴、もう少し聞かせてくれへんか?」
「は?……………………親父の愚痴やで?そら、山ほど出てくるけどな」
嵩原の右腕は、大変ですから。
最近、思う。
高橋は、よく10年以上も右腕してたなって。
「……………………兄貴が聞けへんかった事、俺に聞かせて欲しいんや……………………」
「片山……………………」
親友の死をきっかけに、ずっと疎遠になっていた友と、弟。
それでも、不思議とお互い同じ道を歩む。
こんな日が来るなんて、思ってもいなかった。
「きっと、近くで兄貴も聞いとる筈やから……………」
錦戸。
お前の弟は、俺達の憧れの人の下で、よう頑張っとるで……………………。
今度墓参りしたら、そう伝えてやろう。
(『恋愛男子+』を読んでくださり、いつもありがとうございます。ところで、不思議なのですが、私が全くこのサイトを開いてない時間(今日の午前)に、『恋愛男子+』が更新されてましたΣ(゜Д゜)私は見覚えないのですが、何か変わってたのお気付きの方がおられましたら、教え下さい(汗)すみません)
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