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肝試し(後編)
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(リク、お応え。すみません、後編です。本編へ気持ちが集中していたので、中々更新出来ませんでした。お待たせして申し訳ありませんでしたm(__)m少々長文です(--;))
肝試し。
ヤクザと、どっちが怖いやら。
「……………………肝試しやろ」
街の外れの廃病院。
見るからにヤバい空気が漂う、不気味な建物を見上げ、大和は一人呟いた。
暗がりにそびえ建つ、コンクリートの塊。
もう使われる事の無くなった病院は、窓ガラスが割れ、入り口の扉は朽ち果て、見るも無惨に寂しい最期を迎えていた。
そんな哀しい場所に、不釣り合いな高級車が2台、美しい車体を光らせ停車中。
「ほな、二人ずつで回って来るか!」
………………………は。
不穏な雰囲気を蹴散らす、お父ちゃんの楽し気な第一声。
「ふ、二人ずつで回るて…………………」
この、いかにも出そうな敷地を?
大和は皆の一番後ろで話を聞き、益々テンションだだ下がり。
そんな大和の不安をよそに、話は勝手に進む。
どうやら、ペアはクジらしい。
花崎が、車から紙とボールペンを持ち出し、即席あみだくじ。
お前ら幾つだよ。
そう突っ込みたくなる、自称?ヤクザ達。
「……………………最悪やんけ」
大和の心は、最早下がった底さえも突き破る。
結果。
錦戸&大和、嵩原&高橋、伊勢谷&花崎。
なんだ、コレ。
「私が、親父とですか…………………」
最強ペア、復活?
高橋、思わず固まる。
これでは、若のフォローが出来ひん…………………。
「なんや、高橋…………………俺とペアは不服か」
「いえ…………………そんな事は……………」
眉をひそめる高橋に近寄り、嵩原は顔を覗き込む。
昔は、こんな風にくっついていたよね。
二人の並ぶ姿は、今も変わらぬ美しさ。
出来過ぎです。
「……………………マジ…………………」
その大人な二人を眺め、大和は一層と落ちていた。
高橋以外に、今のビビりを気付かれたくないのに……まさかな、高橋をお父ちゃんに取られる。
暗闇が、より暗闇化。
「若、私で大丈夫ですか?なんやったら、替わってもらうよう話致します」
「い、いや……………大丈夫や。心配いらん」
不安気な大和を気遣う、錦戸。
それがまた、痛かったり…………………。
内心、大丈夫じゃないです。
平静を装いながらも、大和の心は爆音が鳴り響く。
「伊勢谷さんとですね!」
「ですね♪」
逆に、この二人は平和である。
最近、絡みが増えて、打ち解け中。
「伊勢谷さんは、怖ないんですよね?」
「怖ないと言うより、見えてまうから仕方ないですよね……………………」
そう言って、廃病院を見つめる伊勢谷の眼差しに、花崎、ドキ。
「え?いや、アレは嘘や…………………」
「………………………すみません」
な………………………。
何への、すみませんですか!?
伊勢谷の綺麗な微笑みが、恐怖を呼ぶ。
「い………………伊勢谷さん………………?」
俺、伊勢谷さんが一番怖いです…………………。
そうして、恐怖は植え付けられる。
ガサ……………………
「親父、わざとでしょ?」
懐中電灯の明かりだけを頼りに進む、暗がり。
雑草が茂る敷地を歩きながら、高橋は隣の嵩原へ話しかける。
「あ?わざとって、何がや?」
「何が?よう言いますね……………………若が、こう言うの苦手やて、わかっとったくせに…………………」
「何、怒っとんか………………お前」
お前。
馴れとは、凄い。
十数年も連れ添うと、まるで夫婦な会話。
二人の愛息子、大和の事で痴話喧嘩。
「はい、怒っとります……………意地悪なお人やから」
嵩原からプイと顔を逸らし、高橋はさっさと前へ行く。
お父ちゃん、お母ちゃん怒りましたけど?
「ちょ……………そないに、怒る?たまにはええやろ。大和かて、歳上ばかりに囲まれとんや……………ガキみたいな遊びかて必要やん?」
焦る嵩原、慌てて高橋の腕を掴んで、引き寄せる。
「ガキみたいて、嫌がる事して何が楽しいんです?もう、離して下さい」
「だって、可愛いし………………大和のビビった姿」
「は?それだけの為に…………………」
どっちが、ガキだ。
好きな子に意地悪する、ガキ大将か!
「それにな、多分錦戸も苦手やで……………」
「え………………………」
その二人が、ペア。
苦笑いする嵩原を見上げ、高橋は言葉に詰まる。
「……………………最悪やないですか」
「うん…………………俺も、まさか二人がペアになるとは、思うてへんかったわ………………」
さすがの嵩原も、これは予想外。
二人がどうなるか、わかりません。
「親父…………………少し、ええです?」
ホラースポットのど真ん中、お父ちゃん、高橋からお説教。
「あれ……………親父ら、見えへんようなりましたね」
嵩原達の後ろを進んでいた花崎、さっきまで目の前に光っていた懐中電灯の明かりが突然消え、やや不安になる。
そんなに、離れていたっけな?
「あんまり、ようないですね………………空気が」
「はい………………?」
伊勢谷さん………………!?
空気て、何!?
真顔で考え込む伊勢谷に、泣きそうです。
「え、えっと……………どないしたらええんですかっ。ホンマにヤバいんやったら、俺………………皆に、中止言いますけどっ」
立ち止まる伊勢谷にしがみつき、花崎は顔色を変える。
ヤクザも、怖いものは怖い。
意味深な伊勢谷に、花崎の頭はぷちパニック。
「とりあえず、早よう行きましょ」
「い、伊勢谷さん………………」
本当に見えるのかは定かではないが、美人で不思議な伊勢谷の雰囲気が、花崎の恐怖心を一段と煽る。
花崎は、伊勢谷の服を握りしめ、嫌な汗を背中に感じてる。
「クス…………花崎さんて、ホンマ可愛らしいですね」
自分に抱きつく花崎を見下ろし、伊勢谷は美しい顔を緩めた。
「も…………………伊勢谷さんっ」
見えるかどうかだけでも、教えて下さい~っ(泣)。
結局、花崎は最後まで、伊勢谷から真実を教えてはもらえなかった…………………。
ガサガサ………………………
そして、それはついに訪れる。
「はぁぁぁ………………………」
重い溜め息を漏らし、大和は朧気な視界を見渡す。
当たり前だが、暗……………いや、黒い。
「真っ黒やないか…………………」
前に二組行ってる筈なのに、何の気配もない。
「若………………ひょっとして、怖いですか?」
「へ………………………」
中々足が前に出ない大和を見つめ、錦戸は優しく声をかける。
怖いと聞かれて、怖いと言いづらい。
大和は返事に困り、目を伏せた。
「いや………………………」
「すみません、私も少し苦手なんです」
え。
苦手……………………クールな錦戸、が?
驚く大和の前で、恥ずかしそうな錦戸の顔。
「親父がペアなら、憎まれ口でも叩けますけど…………さすがに、若へは失礼をする訳にはいきません。高橋に怒られてしまいます…………………せやから、ちゃんと言うとこ思いまして………………」
お父ちゃんの扱いも可哀想だが………………あまり直接関わる事のない、二人。
錦戸は、大和の不安を和らげようと、自らの弱味を打ち明けた。
「錦戸……………………」
「でも、責任持ってお側におりますから、さっさとゴールしましょか」
自分に慣れない気を使う、錦戸の気持ち。
こんな時、それはやたらと通じ合う。
「せ、せやな………………さっさと行ってまおうか!」
「はい………………………」
と、二人は団結して、草木が生い茂る敷地へ足を踏み入れた。
……………………が、そんなに恐怖は甘くない。
「お、親父ら…………………もうゴールしたんかな?」
「ええ……………………明かりも見えへんし、声も聞こえへんですね…………………」
想像して下さい。
真っ暗な、闇世界。
微かに辺りを照らす懐中電灯の明かりは、崩れかけた廃病院の一部を映し出し、割れた窓ガラスからは、もっと暗い闇がポッカリと口を開いてる。
破れたカーテンが、僅かな風で揺れ動き、荒れ果てた草木の隙間から、虫達の不気味な鳴き声。
明らかに、人が入っても良い場所ではありません。
「な………………何か、寒気がする……………」
大和は静かに息を飲み込み、錦戸の背中を追っていた。
その時だった。
ガサッ………………………!
「いっ…………………」
大和の背後の草木が、一瞬激しく揺れ動く。
何ぃ……………………っ!?
咄嗟に、大和が振り返った先は、静まり返った闇。
「に、錦戸……………っ……………今、何か……………」
そう言いかけて、大和が前を向き直すと……………。
「錦戸……………………っ!?」
シ…………………………ン。
が、いません。
「冗談やろ………………っ!?」
大和、錦戸を見失う。
この恐ろしい現場に、ポツンと一人、取り残される。
「しゃ…………………洒落にならん……………………っ」
もう、どっちに進めばいいかもわからない。
迷子です。
「大和………………………っ!!」
そんな大和に、救いの神………………?
「親父ぃ………………っ」
茂みの中から、お父ちゃん登場。
「お前、何しとんねん!今、錦戸とすれ違うたら、お前とはぐれた言うさかい、慌てたやないかっ」
肝試しには腹が立つが、この場面では最高のイケメンに見える。
「いやだって、ちょっとよそ見した隙に、姿が見えへんようなって…………………」
と、言いかけてるそばから、お父ちゃんの腕が大和を抱きしめる。
「な………………親……………」
「良かったわ、無事で……………………すまんかったな、肝試し…………………やっぱせえへん方がよかったな」
なに…………………やけに、素直やな?
「大和……………………最後まで、お父ちゃんがおったるから、安心しいや………………」
「え、あ……………っん!?………ん…ぁ…親…………父っ」
しかも、大胆。
いきなり大和の腰を抱き、熱い口づけを交わす。
「待っ…………こないな所で………ぁ…んんっ………はぁ」
「好きや………………大和………」
その上、激しい。
「親………………あ、ぁ……っん………あかんて………皆が、来て…………はっ……ん」
大和の口の中を、練っとりと愛撫し、たっぷりな蜜を垂らしてく。
「や………………ぁ…あ…………ダメや……俺…………」
いつにない父親からの激しいキスに、大和は段々頭がボーッとしてくる感覚に襲われる。
ボーッ………………………と。
ボ……………………?
「………………………とっ!……………大和っ!!」
…………………………ん?
「あ………………れ………………………親父」
うっすら開いた視界を、父親の顔が覗いてる。
「若……………………っ!!大丈夫ですかっ!」
青ざめた高橋や錦戸も、いる?
その後ろには、伊勢谷や花崎まで。
「っつ……………………頭、痛ぇ………………なんや、これ」
大和はゆっくり身を起こし、頭を押さえ込む。
どうやら、寝てた?
「なんだ………やないわ!錦戸が、急にお前がおらんなったからて、皆必死に探しとったんやぞ!心配したんやでっ」
「心配て…………………今まで、親父と………………」
キス………………………。
「俺……………?俺は、ずっと高橋らと一緒やったで」
「………………………え?」
父親の言葉に、頷く皆。
いや、俺………………親父にめっちゃ迫られ………………。
「は………………………」
誰。
………………………アレ。
だ………………………れ?
大和は周りを見渡し、一気に血の気が引いていくのを、全身で感じ取る。
「わぁぁぁ………………………っ!!」
肝試し。
決して行ってならない場所って、あるんです。
(皆様、いつも『恋愛男子+』ありがとうございます!!更新、遅くなってすみません!この度、肝試し後編。ホントのホラーになりました(汗)翼様、大和………幽霊に迫られちゃいました( ̄▽ ̄;)なんだ、これ。大丈夫でしょうか……………長々と、すみません)
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