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嵩原と大和+片山(後編)
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この3人で、ランチ。
ぷ………………………笑える(……他人事だから)。
「なんやろ…………………何か、もう疲れたな」
沢山のオシャレな店が建ち並ぶ、街中。
近くを通る女子達の視線を浴び、片山は溜め息を漏らす。
嵩原組長も来るんか……………………。
いくら片山でも、やはり嵩原は緊張する。
気さくにしてくれる事はわかっているが、こちらとしては失礼があってはならない。
極道の世界で、嵩原は敬うべき存在。
ましてや、昔から憧れていた人。
何度会っても、いまだ慣れない。
「もぉっ…………………親父ぃっ!!垂れとるっ、垂れとるって!!」
「アホッ…………………んな事言うてもやなぁっ、店員のお姉ちゃんが、えらい盛ってくれたさかぃっ」
「親父が、オーバーに愛想振るからや!」
…………………………え。
人混みから聞こえる、関西弁。
何だ、コレ。
会う前から、既に登場人物がわかる、安いドラマか。
「……………………………相変わらず、派手やな」
何もかもが。
ただでさえ背が高くて、イケメンなカップルだ(片山の頭の中は、既にそう変換されている)。
目立つに決まってる。
「あっ、片山ぁ~っ!!親父、片山おったわ」
……………………叫ぶな、嵩原。
複雑な片山の心境をはね除け、最強親子登場。
多分、半径20メートルの通行人は、オシャレなカフェのテラス前に立つ男前を、片山と知った。
「は…………………ジェラート?」
イケメンパパ、ジェラート片手に現れる。
ロイヤルブルーのVTシャツに、グレーのチェスターコートを羽織り、そのボトムは黒のイージースラックスパンツ。
ホントに、組長?
それくらい私服の嵩原は、普段の若々しさに磨きがかかる。
大和と並べば、親子と言うより兄弟。
「おー、片山ァ…………………久し振りやなぁ♪いきなりで悪いけど、ジェラートちと食わへん?」
「ホンマいきなりですね、嵩原組長」
しかも、それ食べかけ。
嵩原の差し出すジェラートからは、プンとベリーのいい香り。
有無も言わさず、片山は嵩原にスプーンに乗ったジェラートを口まで運ばれる。
いい大人が、アーンって…………………。
間接キス、越えるよね?
「何や、俺のジェラート食えへんのか。買うたら、えらい山盛りサービスしてくれて、食いきれんねん…………………胃袋、貸せや」
何の脅しですか。
組長が、ジェラート買う姿にも笑えますけど。
「いや……………………人、見てますし…………」
一人でも目立つ色男が、三人。
アーンされてる様に、行き交う女子は興味津々。
「親父……………………それ、いじめやぞ。責任持って、自分で食えや」
「えーっ、お腹痛とうなるやんっ…………大和、半分食ってくれ」
「女子か!!せやから、今買うなて言うたやろっ」
顔をしかめる嵩原に、大和半ギレ。
でもなんだか、二人は楽しそう。
本当に、デートみたい(キレてるけど)。
「はぁ…………………今日、俺持つかな……………」
持たないだろう。
まだ、待ち合わせから一歩も動けてません。
片山は、自分の腕時計を見て、二人へ話しかける。
「ほな……………………とりあえず、移動しますか?店は、もう予約しとるんで」
「ああ…………………悪いな、片山。大和に気ィ使うてくれて………………」
そう言う嵩原は、然り気無く大和へジェラートを渡す。
「オイ……………………」
苛つきながらも、それを受け取る大和が可愛らしかったり………………。
ま、仲がええに越したことはないか………………。
二人のやり取りに押されながらも、片山はその睦まじさにホッとする。
ただでさえ、厳しい毎日。
恋をする難しさは、片山だって身に染みる。
どんな恋でも、互いが想い合うなら、上手くいって欲しい。
自分も、障害ある恋をするからこそ、大和達の幸せを秘かに願う。
「確か、この先に店があるんです………………美味い、上質のステーキを食べさせてくれる店で…………」
人通りの減った、少し裏路地を抜ける先。
片山は指を軽く挙げ、案内する様に前を歩く。
「えっ、ステーキ?ぅわ……………めっちゃ楽しみやなぁ♪肉、大好き!」
手渡されたジェラートを口へ入れ、大和のテンションは上がる。
何せ、まだまだ育ち盛り。
肉食系です。
「ぷっ…………………大和ぉ、顔にジェラート付いてんで。肉言う前に、ジェラートの食べ方まで教えなあかんのか?」
「ぁあ……………?っさいな………親父が食わへんの、代わりに食ってやっとんやぞ」
後ろから聞こえる会話をBGMに、片山は目指す店を数メートル前方に見付ける。
ステーキハウス『煌』
高級な国産ブランド牛を扱うだけに、分厚い木を彫り上げた看板が、よく目を引く。
「あった……………………嵩原組長、嵩原……………あそこが、話していたみ…………………」
…………………………は。
店を発見し、振り返った衝撃に、片山絶句。
キ、キス……………………!?
大和の顎へ手を添え、ジェラートの付いた口元を舐める、エロ親父……………………見っけ。
「お……………っ…………親…………………片山が、見と……」
「あ?だって、ここジェラート付いとるし」
だからって、舐めるか!?
片山の驚く視線に真っ赤になる、大和。
わたわたと空いた手を振り回し、嵩原の胸を叩いて慌ててる。
「な………………………」
わかってはいたが、目の当たりにさせられると、さすがの片山も言葉を失った。
マジか……………………!!
「別に、ええやんな?片山…………………今更やろ?もう、隠す必要ないやんか」
余裕な嵩原が、またそれを正当化させる。
「は……………………はあ………………」
そんなに堂々と言われたら、それしか出なかった。
嵩原は、大和から舐め取ったジェラートを舌で拭い、ニコリと微笑んだ。
こ、このオヤジ…………………恐るべし。
「さ……………………飯、行こうや♪」
「もっ…………………親父……………」
笑顔の下は、ちゃっかり大和の手を握る。
お父ちゃんの愛は、最強です。
「片山…………………ここ、俺が奢るさかい、好きなだけ欲しいもん食いや」
「へ……………………あ………」
まさかな展開に、片山さえもまともに喋れない。
ランチ。
食べる前から、ご馳走様。
(皆様、いつもありがとうございます。更新遅くなりまして、申し訳ありませんでした(泣)とらちょこ様の思う展開と違うかもしれません……すみません(>_<)でも、片山とこの二人の絡み好きです……)
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