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上地と大和
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(たまにはこんなコンビもいいよね…て、想いから生み出しました)
上地と大和。
言わずと知れた、白洲会組長と竜童会若頭。
そして、お父ちゃんを愛する、ライバル。
ガランガランッ…………………
「はぁぁぁ……………疲れた」
夕暮れ時の街の一角。
下校中の大和は、通りすがりの自動販売機でコーラを買う。
疲れた時の糖分。
時刻は、5時過ぎ。
部活じゃない(そもそも部活に入ってない)。
追試だった。
先日行われたテストが、散々な結果に終わったのだ。
今日は、テスト以上にテストした。
「もう、何もする気にならん………」
とにかく、早く帰って寝たい。
追試後、高橋が少し遅れると言って来たが、早く帰りたくて大和は勝手に校門をくぐり抜けた。
高橋、怒るかな。
一応、メールはした。
『タクシー拾うから、気にすんな』
タクシー、全く拾えねぇ………………。
「…………………怒られるな」
プシュゥゥゥ………………
既に、学校からは数百メートル歩いてしまった。
「ヒッチハイクでもすっか」
炭酸の弾けるコーラで喉を潤し、大和は冗談混じりに手を挙げた。
キキキィィ……………………
え。
まさかの車急停止。
しかも、えらく高級な外車サマ。
「ウソやろぉっ!?マジ………ゲホッ……ゲホゲホッ!!」
予想外の展開に、大和、炭酸でむせる。
ギャグか、これ。
ちょっと、軽く挙げただけやで……………!?
「おい、坊主………………行き先は、マンションか」
そんな大和を尻目に、真っ黒な窓はゆっくり下がってくる。
おい、坊主。
随分と渋く、低い声色。
大和はその声に耳を傾けながら、一つの疑問が頭を過ぎる。
「あ、ああ……確かに、行き先はマンションやけ…」
ど……………マンション?
待てよ。
何故、ソレがわかるんだ。
「いや…………あんた………」
チラリと覗く、鋭い眼差し。
窓の隙間から見えた瞳に、大和の表情はみるみる強ばった。
「お前、親父そっくりやの…………立場を省みん、無鉄砲さ」
「げぇぇぇぇっ!!上地ぃぃーっ!!」
ええ、上地です。
黒髪をかき上げた短髪に、冷たく無感情な目付き。
顎に髭を生やした厳つい姿は、間違いなく白洲会組長上地丈一郎。
「下も付けんと一人歩きか……………早よ、乗れ。家まで送ったるわ」
凄い奴を引っかけた。
白洲会上地、大和の足となる。
ブォォォォ……………………
「………………………」
気まずさと、流れる夕日の美しさ。
運転席の後に、防弾ガラスが嵌め込まれた完全密室な後部座席で、無言で座る極道界のNo.2と日本一の組織のNo.2。
互いに、会ったのは数回。
大して話す話題も浮かばない→緊張はしないが、空気が重い→歩いて帰る方がマシじゃね?
大和の脳内は、『歩いて帰りたい』に変換される。
「…………………嵩原は、元気か」
「は…………………?」
嵩原は、元気か。
その上、やっと出た会話が、お父ちゃん。
嵩原は、元気か。
元気ですけど、何か?
上地が父親を愛してる事を知っている大和は、無愛想に返事をする。
恐らく、嵩原の子・大和だから許される。
「お前みたいなガキのどこがええんか………………ホンマあいつは、ぬるい親やな」
「はぁぁぁ………っ!?鉄仮面に言われたないわっ!親父にフラれとるくせに、俺をゲスるなっ」
許される。
上地相手に、ゲスるな。
他に誰が言えよう。
大好きなお父ちゃんネタを振られ、大和は一瞬で沸点を越える。
そして、それを見る上地のニヤリとほくそ笑んだ口元。
「ま……………威勢だけは認めたるわ。どうせ、夜も嵩原にしてもらうだけやろ?ガキのSEXなんざ、お遊びみたいなもんやからな」
「うっ、うるせーわ!!親父は、俺で満足しとんねん!!」
満足しとんねん!!
「あ……………………」
自分で叫んどいてなんだが、むっちゃこっ恥ずかしいやんけ。
大和の顔は、真っ赤っか。
何言ってんだ、俺。
「へぇ……………そら、よほどの名器言う事か」
「め…………っ…………」
名器。
こればかりは、お父ちゃんに聞いてみないとわからない。
自分が、名器。
考えた事もなかったわ。
ただ、薄笑いの上地が、自分をからかってるのは理解した。
「上地………………っ!!」
「フッ……………俺には、ガキはおらんからな。お前やったら、確かに飽きん」
レザーのシートへ肘を突き、悠然と座る大御所の貫禄か。
ギャーギャー煩い大和を相手に、全く動じない。
それよりも、いつもは尖った視線が、心なしか柔らかい。
こいつが、愛する男のガキ……………。
上地なりに、目をかけている。
嵩原や自分の後が続かない現状。
そこへ現れた、新星。
片山と大和に、先の極道を期待してるのだ。
しかし、上地のその様な期待に気付く訳もなく、大和の方は悶々と思いが巡る。
帰宅後、真っ先にお父ちゃんへ聞いたこと。
「なぁ……………俺って、名器?」
「……………………はい!?」
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