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絶叫マシン(中編)
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(すみません、とても収まりきらず…)
「あの…………何の真似ですか、これ」
空は、快晴。
目の前に広がるは、多くの人の波と子供心を擽るアトラクションの数々。
至る所で悲鳴が上がり、盛り上がりは最高潮。
何の真似ですか、これ。
突然呼び出された面々に、この景色は斬新。
首を傾げ、質問を被せる錦戸を筆頭にして、やって参りました。
ヤクザが、遊園地。
大和と嵩原、高橋は当たり前。
錦戸・桜井・山代に伊勢谷・花崎………いつものメンバー、嵩原の命令でほぼ強制。
「見りゃわかるやろ、遊園地で遊ぶねん」
「は………………」
ドーンと入場ゲートに立ち、主催者嵩原は真顔でお答え。
今日は、全て嵩原持ち。
絶句する錦戸を前に、分厚い財布でスポンサー買ってます。
そして、そんな嵩原達を見つめ、周りの客は皆こちらに注目している。
普段はスーツの野郎達が、この日ばかりはオサレに私服で集合。
まるで、モデルの集団ですかー?
目立ちに目立って、然り気無く写メ撮る女子も出没中。
「遊園地で遊ぶ……………」
「…………………俺、中学以来っすわ」
驚く山代と花崎が、呆然と前方を走り抜けるジェットコースターへ目をやれば、大和と桜井は相変わらずのノリで意気投合。
「おい、大和!あのスゲーやつ乗らない?めっちゃ面白そうだぜ」
「うわ、ホンマや!!乗る乗る!行こうで、湊っ」
気になるアトラクションを指差し、楽しそうに盛り上がる。
「うんうん、行け行け、若者。湊連れて来て、正解やったな……………大和を上手い具合に引っ張ってくれとるわ」
「親父………………明らかに、それ目当てですよね」
我が子の笑顔に、嵩原は満足気。
いや、苦笑いする高橋には全てお見通し。
お父ちゃん、何とか絶叫マシンから逃れようと、組員利用してるんだ。
「え?何言うとんな、高橋……………お前もほら、錦戸らと遊んで来い。錦戸、こいつに遊園地教えたり」
「本気ですか……………親父」
遊園地教えるって、何。
あくまでシラを切る嵩原は、側にいた錦戸の腕を掴むと、無理矢理高橋の方へと身体をくっつけた。
もう錦戸にいたっては、完全なる巻き込み。
真意がわからぬまま、高橋とペア成立。
「お前ら……………最強右腕コンビやないか!お似合いやぞ♪」
お似合い過ぎる……………恐すぎて。
クールビューティーCP出来ました。
「絶叫マシンかぁ……………苦手なんすよね……」
だがしかし、そんな嵩原にもお仲間発見。
ワクワクな大和達を眺める花崎は、山代や伊勢谷に挟まれポツリと嘆く。
ダメな人には、ダメ。
花崎もまた、マシンに良い思い出はない。
中学時代、初絶叫マシンで降りた瞬間吐きました。
その場にいた全員をドン引きさせた、苦い記憶。
出来れば、乗りたくねぇ……………。
「ほな、他の事して時間潰すか?俺は、何でもええしな……………付き合うわ」
「伊勢谷さん………………!」
何でもええし。
伊勢谷にしてみたら、『花崎と一緒なら何でもええ』の意味だろう。
側にいる山代が微笑ましく思えるほど、見つめ合う二人からは隠してる愛が漏れ出てる。
「まあ、今日はゆっくり楽しめと言う事だろうから、わざわざ苦手を克服する必要はないんじゃないかな」
「ですよね!!山代さんっ!」
「三人で、のんびりお茶でもしますか?」
唯一流れる穏やかな空気。
ここが、一番平和かもしれない。
「親父………………っ!」
「………………あ?」
そうして、何とかやり過ごせるんじゃないかと思っていた嵩原へ対し、ついにその時はやって来る。
世の中、そんな上手い話はない。
桜井がいようが、他のメンバーがいようが、大和がお父ちゃんを忘れるワケがなく………………。
「なぁ、あれ乗ろうや♪」
「え…………………」
ゴォォォォ………………ッ!
「きゃぁぁぁぁーっ!!」
青空に轟く、悲鳴。
このパークの超目玉、最新絶叫マシンが嵩原の視界を横切った。
宙吊りで、バック回転。
見えるだけでも、2度は回ってる。
「親父ィ♡ええやろ?」
ええやろ?
可愛い可愛い、息子の笑顔が目に痛い。
ええ…………か…?
「そこで『♡』付けんな、アホ……………」
この♡と笑顔は、裏切れない。
これ、男子たる鉄則。
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