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体育祭(前編)
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(ちょっと遊園地の流れで色々な妄想もお聞きしていますが(ありがとうございます(*^^*))、先にこちらを上げます。浮かんでしまいましたので、季節物…)
大和の通う学校は、秋に体育祭がある。
クラス対抗で競技を競い、騎馬戦や綱引きなどが行われるが、一番の華はやはり代表選手による、クラス対抗リレー。
得点も高く、足の速い選手達による競走は、学校中が盛り上がる。
普段目立たない生徒も、この日ばかりは足が速ければヒーロー。
女子達のハートを鷲掴みとなる。
そう、普段目立たない生徒も。
「嵩原ぁ………お前、足の速さクラス一じゃないか。リレー、決まりな」
「はい……………?」
目立つ生徒は、より目立つ。
只今、ホームルーム中の大和のクラス。
近々開催される体育祭の選手選びで盛り上がる最中、ボーッと窓の外を見ていた大和は、突然担任の指名を受ける。
体育祭のヒーロー、対抗リレー代表。
え、何それ……………。
全く話を聞いていなかった大和にとって、リレーなんざ寝耳に水。
リレー。
リレー……………。
そんなもの、何時したっけな?
中学なんてろくに通わなかった大和は、リレーの経験がほとんどない。
多分、小学生の頃したんだろうが、あまり記憶にもない。
だって、運動会と言えば、毎回お父ちゃんの応援が凄くて、そっちの方が覚えてる。
「いや、はい?じゃなくて……………今皆のデータ見てたら、お前のタイムダントツだぞ」
「へぇ……………そうなんや……」
走れと言われて走ったが、タイムまで大和には興味ない。
とりあえず、授業は受けていれば卒業出来る。
要は、卒業。
それ以外、何も要らない。
必要なのは、卒業しての組長の椅子。
「すごーい、嵩原くん~♡」
「運動神経いいんだねー♪格好いー♡」
だが、既に注目の的。
クラスの女子は、大和の代表選出に黄色い声。
「放課後、練習出ろな」
「…………………は」
こうして、大和の選手が決定した。
「あれ?もしかして、大和も選手?」
「あ…………………?」
放課後のグランドは、しばらく体育祭の練習で、部活が禁止されている。
渋々ジャージに着替えた大和がグランドへ出ると、爽やかな笑顔の淳がいた。
「え?もしかして、お前も選手?」
「ああ、俺も選手……………ライバルだな♪」
だな♪
「………………じゃのうて!お前、ガチのスポーツ選手やん!勝てるワケねーやろっ、マジで!」
「そうか?わかんないじゃん、そんなの」
「わかるわっ……俺なんか、スポーツしてねぇしっ」
確かに、大和は喧嘩以外のスポーツは未経験(その前に喧嘩はスポーツか)。
サッカーで将来を有望視され、毎日毎日ハードなメニューをこなしている淳とは世界が違う。
スポーツも強い学校って、容赦ない。
運動部と帰宅部が、ガチ勝負。
クスクス笑う淳を相手に、大和はグランドのど真ん中でギャーギャー怒りまくり。
ただ、本当にわかっていないのは、大和の方。
仮にも、大和は運動神経抜群なお父ちゃんの子。
タイムを見てないから本人は知らないが、学年でも1、2を争う俊足なのだ。
大和、あんたは速いゾ!
「………………なに、体育祭!?」
その日の夜、事態は急展開を迎える。
練習を終えた大和が帰ると、そこにはお父ちゃんと安道が楽しげに少し早めの晩酌をしていた。
大和は、クタクタ。
ほろ酔い気分の二人を睨み、ドカッとソファへ倒れ込む。
おいおい、どうした?
グッタリとした息子に、理由を訊ねた二人の好反応。
体育祭!?
しかも、大和が選手!!
「そら、行くしかねぇなぁ!!」
応援に。
「………………やっぱ、そう言う思うた……も、来んでええし………」
うるさいだろうから。
これがわかっていたから、どうしたものかと大和なりに考えてた。
「ふんふん♪楽しみやなぁ、久々の運動会♪」
「弁当とかいるんか?たまには、俺が作ろうか」
「京、それええな!」
結局、策は出ず。
大和の呟きなど、耳に入ってない。
小学校以来の学校イベントに、オヤジ達のテンションは鰻登り。
勝手に話が弾んでる。
疲れた身体に、疲れるオヤジ共。
「若、ご夕食の準備致しますね」
「ひーん、高橋ぃ~!」
笑顔の高橋だけが、唯一の癒し。
大丈夫かな?
今日は、軽く流しての練習だった為に、周りの速さもわからずじまい。
ちょっと不安も掠めてく。
なにせ、このオヤジ二人は、なかなかのプレッシャー。
とてもじゃないが、負けた姿なんて見せられない。
「はぁ……………何か、余計疲れたわ」
だが、そんな日はあっという間にやって来る。
2週間後。
澄みきった青空に靡く、校旗が目に痛い。
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