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錦戸と桜井
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(偶々、フッと書いてみようと思ったら、本編でも絡んでいましたね…すみません)
ご存知の通り、錦戸と桜井は同居しています。
あれ、錦戸の私生活あまり書いてないなーて思ったら、二人の笑える同居生活を書きたくなりました。
「湊っ!お前、まだ滴垂れとるし………っ」
「………………はい?」
高橋の一日も多忙だが、錦戸の一日も多忙。
嵩原に振り回された一日のシメに、また第2の嵩原が待ち受ける。
大和達の住むマンションから、徒歩5分。
嵩原の所へ直ぐに行けるよう借りられたマンションは、さすが竜童会幹部・組長付きらしい高級感漂う佇まい。
最上階の角部屋を取り、間取りもゆったりとした仕様で申し分ない。
桜井一人が増えようが、差ほど苦にもならないだろうと思ってた。
ただ今、夜12時。
ようやく嵩原の所から帰って来た錦戸は、桜井を先にお風呂へ入れさせた。
その方が、先にご飯を作れるし、自分が後で出た時についでにお風呂も掃除しようと考えたから。
桜井には、買い出しや洗濯をさせ、几帳面な錦戸は、もっぱら掃除と食事を担当しているのだ。
几帳面。
まあ……結局洗濯も、錦戸が最後は手伝ってる。
だから、『まだ滴垂れとるし』。
キッチンで遅いご飯の支度をしていた錦戸の前を、頭が濡れたままタオルを肩にかけて歩く、桜井登場。
上半身は、大概裸。
見惚れるような立派な肉体を晒しながら、水も滴るいい男を地でいく様は、何とも手が焼けて困ったもの。
「もうっ!よう拭けよ!ほら、こっち来いっ」
「わっ…………痛い、錦戸さんっ」
「うるさい、黙れ」
ついつい手を出し、桜井の頭を拭いてやる。
なんだ、コレ。
帰っても、まだ親父がおるようや……………。
(言い換えるならば、お父ちゃんどんだけ手がかかるねーん!って話)。
「あと少しでメシも出来るから、ソファにでも座って待っとれ」
「あーはい…………今日、何ですか?」
「サーモンのカルパッチョと、明太子のパスタ、ガーリックトースト」
「やったぁ♪錦戸さんのパスタ、めっちゃ好き」
「ぷ…………ええ明太子入ったから、いつもより美味しいかもな」
ただ、桜井は可愛い。
嵩原が目をかけるのも、わからないでもない。
実力は言うまでもなく、何と言うか憎めないのだ。
遠慮のなさに苛つくより、愛嬌がある。
これは、ある意味桜井の武器になるのではないかと、最近錦戸は感じる。
前の組でも慕われたように、人の心に入れるのは強みになるからだ。
嵩原が、まさにそれ。
知れば知るほど、周りが離れ難くなってしまう。
だから、桜井も間違いなく大成する。
大和が、これを上手く操れるようになれば、竜童会はまだ大きくなるだろう。
カタ…………………
食卓に並べられた、遅い夕食。
桜井をリビングへ行かせて20分ほどして、錦戸は今日のご飯を作り上げた。
手元には、ワインとビール。
やっぱり、疲れた身体にアルコールも欠かせない。
「よし……………湊、ご飯出来たで」
錦戸は食器を置きながら、やけに静かになった桜井に声をかけた。
シ………………ン………
「…………………え」
いつもなら喜んで来るのに、全く反応がない。
まさか、寝た?
ソファの背中しか見えない錦戸は、眉をひそめて近寄った。
「ん…………………」
被ったタオルから覗く、長い睫毛と高い鼻。
よく見れば、唇までも綺麗で憎らしい。
「…………………マジかよ」
桜井は、そのデカい身体をやや丸め、上半身裸の状態で爆睡中。
お兄ちゃん、頑張ったんだぞ。
そんな声が聞こえてきそうな、錦戸の呆れた眼差し。
でも、口元は僅かに緩んでる。
「ったく、しゃーねぇなあっ……………おい、湊!湊、こないな所で寝とったら風邪引くやろ。ベッド行けっ…………おい……」
「ん…ん……………眠い…」
「ああ、眠い眠い……………今日もよう頑張ったから、ベッド行け」
気持ち良さそうに眠る桜井の身体を揺すり、錦戸は何とか起こそうと試みる。
しかし、一旦熟睡モードに入った桜井は、全く目を覚ましそうにない。
それよりも、あらぬ夢の中へと進行している模様。
「みな…………っ……」
「…………………大和ぉ」
「あ………………?」
大和ぉ……………?
あらぬ夢。
「いや、若はおられん……………気持ちはわかるが、目を覚ませ」
何を見ているか、想像出来る。
付き合いきれくなる前に、起きろ。
錦戸はもう一度桜井の身体へ手をかけ、ベッドへ行かせようと起こしにかかった。
だが、そんな兄貴の想いとは裏腹に、弟はそれの動きを暴挙で防ぐ。
バシッ…………………
突然、掴まれた腕。
「は…………………」
「大和………………」
動きを封じるとは、この事か。
要らぬ所で使われる、その実力。
桜井を起こそうとした錦戸は、伸ばした腕をいきなり強い力で鷲掴みにされてしまう。
「お、おま…………ちょ………」
「っせぇ……………黙ってろ………」
そして、また寝惚けた桜井が質悪い。
うっすら綺麗な瞳を開けたかと思うと、そのまま錦戸の身体を自分の方へと引っ張っていく。
グイッ、グイッ。
「ちょっ!!み、みな………っ」
こいつ、馬鹿力!!
焦る錦戸なんか、何のその。
引き摺られた身体は、あっという間に腕の中。
「大和……………可愛い………」
「せやから!若やねぇって…………」
「可愛い♡」
どんだけ惚れてんだ。
狭いソファの上に錦戸を寝かせ、首筋へ顔を擦り寄せる笑顔は満足げ。
「も………………アホたれ」
「ん………………」
『呆れる』を通り越して、笑えてくる。
「はぁ……………少しだけやぞ……」
錦戸は、いまだ濡れた桜井の髪へ手を滑らせ、ゆっくりと身体を寝かした。
少しだけ。
毎日毎日、桜井はよく頑張っている。
大和に会いたいのも我慢して、嵩原の為に日々奔走。
駆け出しの自分を思い出すようで、見ていると愛着も湧くそれを、無理矢理突き放せは出来なかった。
「そら、疲れるわな……………」
それから1時間後、桜井はこの状況に度肝を抜く事になる。
錦戸にこんな真似を出来るのは、桜井だけだろう。
結構、楽しんでませんか?
共同生活。
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