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山代と嵩原
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((以前、リクエストでパロは書きましたが)あまり普段絡まない二人を書いてみたくなって、その流れで上地・高橋、錦戸・桜井ときての、山代・嵩原です)
「………………何や、今日はお前が付き添いか」
平日の朝。
大和が学校へ行った後のマンションは、とても静かだ。
早朝から来ていた高橋は、家事の全てを終わらせ大和を学校へと見送ると、そのまま支部に行ってしまう。
いつもなら、そこで錦戸と入れ替わりだが、今朝は錦戸も桜井も不在。
名古屋の方でトラブルがあり、嵩原の代わりに桜井を引き連れ収拾に向かった。
つまり、今日嵩原はフリー♪
な訳もなく、錦戸の依頼を受けた大和が、腕の立つ組員を支部から寄越した。
「すみません。不慣れですが、今日一日宜しくお願い致します」
美しい髪を後ろで縛り、礼儀正しくお辞儀をする『腕の立つ組員』。
「まぁ、そないに気ィ張るな……………山代」
「はい、ありがとうございます」
山代だ。
山代は笑顔で返事をすると、着替えを始めた嵩原の服を手に取り、甲斐甲斐しくお世話に入る。
嵩原の相手に、山代。
正直、山代本人も意外に思った。
嵩原に慣れた伊勢谷や花崎ではなく、何故自分か。
大和の考えがわからない。
嵩原自身も、自分なんかで気を使わないだろうかと。
「そこのシャツ取ってくれるか……」
「あ、これです……………」
か………………。
「…………………!?」
だが、嵩原にそれは無用だった。
山代の前で、躊躇いもなく次々と服を脱いでは、渡してくる。
パーカーから、Tシャツ、スウェットパンツ…………あれよあれよと言う間に、パンツ一丁。
まあ、男同士。
意識する方が妙だ。
「た…………嵩原組長…………」
妙だが、山代は目のやり場に困った。
だって、日本一の親分。
しかも、誰が見ても画になる色男。
有名な彫り師が無償で彫った、素晴らしい刺青を背中に晒し、魅惑的な肉体美をこんな間近で見せられては、さすがの山代も内心ドキドキした。
36歳、まだまだ若い。
複雑ではあるが、大和が溺れてしまうのもわかる。
「悪いな、助かるわ」
「い、いえ……………っ」
引き締まった身体で微笑む姿の罪な事。
顔が赤いの、バレてるな……………。
男でも、確かに見惚れる。
嵩原は、今も立派なNo.1だ。
これだけの綺麗な姿で、化け物。
見てみたいと思うのは、きっと自分だけじゃない筈。
「今日、関東におるダンベエと会う約束しとる」
「ええ、聞いています」
「会うまで時間あるし……………どっかで、メシでも喰うて行くか…………」
「え………………」
心地好いほどの優しい声。
一通り用意されたスーツを着終えた嵩原の言葉に、山代は服を畳んでいた手を止める。
嵩原と二人きりで、食事。
行ってみたい気持ちと、自分と行って嵩原はつまらなくないのかと言う想いが、交差する。
控えめになりがちな山代の、悪い癖。
どうも、大和以外にはまだまだ遠慮してしまう。
「なんや……………俺とメシは、嫌か?」
「まさか……………こ、光栄です……………」
「ホンマに?えらい動揺しとるように見えんで」
「いや、すみません………………てっきり、ダンベエの方とご一緒されるのかと……」
「向こうは食いたい言うてたけど……………せっかく、滅多にけえへんお前がおるんや、どうせならこのチャンス活かさな損やろ」
チャンス………………?
「いくら大和の部下でも、親は俺や言う話や。たまには、他のガキともゆっくり駄弁らせえよ………先方には一言詫び入れとくさかい、好きな店行こうで」
「嵩原組長………………」
首を傾げる自分へ向けられた、嵩原の温かな心遣い。
赤い顔が、益々赤くなる。
「こないな日は、遠慮のう親に集っとけ」
雲の上の男。
ずっと近付けないと思ってた。
「は……………はい………」
軽く撫でられた頭が、擽ったい。
嵩原の見る前で、山代はハニカムように笑った。
awayではない。
ちゃんと、頼れる場所はある。
大和しかいなかった世界に差し伸べられた、親心。
温かい手に、心は熱くなる。
嵩原との時間。
それは、山代にとっても貴重で、楽しいものとなった。
そして、この日が山代の中へまた大きな変化をもたらせたのは、言うまでもない。
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