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大和
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『恋愛男子』において、忘れてはならない、人。
ええ、主人公です。
僅か15歳で、勝手に刺青を彫り、父親にブッ飛ばされた、父親譲りの悪ガキ。
竜童会の中でも、手荒な武闘派を率いる、若頭。
最高の右腕高橋に支えられ、てっぺん目指してます。
しかし、そんな厳つい生活が、最近微妙に変わりつつある。
「あかん………………親父が来てから、調子狂うとる」
大和は、自分の部屋で服を着替えながら、大きく溜め息をつく。
そう、あまりに濃いキャラ、父嵩原竜也。
近頃、あの自由過ぎる破天荒さに、ちと押され気味。
主役の座も、今や危うい感じ。
「いや………………アレに勝てたら、苦労せえへん」
その通り。
しかも、そんな破天荒親父と、ただ今恋愛中。
結局自分も、飲まれてます。
「ちょっと、挽回せなあかんよなぁ………………よし!たまには皆に、アドバイスねだったろ♪」
まだ17歳の若頭。
周りは、二十代以上の大人ばかり。
デキる男達が、ゴロゴロいるのだ…………………聞かない手はない。
大和は、超珍しく一念発起(いや、多分気紛れ)。
小学生以来のノートとペンを持ち、意気揚々と部屋を出た。
意気揚々と…………………。
まず、白洲会片山。
何と言っても、現在の極道社会の若手No.1。
アドバイスなんて癪だが、実績は確か。
「アドバイス?そんなもん……………お前の一番近くに、最高の人がおるやないか」
それ、親父かよ。
「……………………もう、ええわ」
「え、おい…………………嵩原っ」
片山、さらば。
大和は気を取り直し、父親の右腕、錦戸に会いに行った。
組員2万を超える竜童会で、二十代で組の幹部。
高橋にはまだ及ばないが、実力は上々。
「アドバイス?若、何言うてはるんですか。若には、私なんかよりも、ええお方がついとるやないですか」
ああ、はいはい…………………親父ね。
「……………………帰る」
「あれ?若、今来られたばかりや……………」
錦戸、さらば。
ならば、意を決して………………白洲会組長、上地。
誰が何と言おうと、父親に最も近い男。
強さも、極道の道も、知り尽くす。
「あ?なんや、お前……………やっと白洲会に来る気になっ………………」
「お前に聞いたんが、間違いやった」
……………………聞くまでもなかった。
勧誘されて終わる。
「あーっ、くそ…………………結局、親父かよ………」
大和は空を仰ぎ、デカ過ぎる父親へ恨み節。
重い足取りで、父の元へ。
「はあ?アドバイス?………………………お前、どっか打ったんか?」
嵩原、真顔で、頭の心配。
「打ってへんし!ただ、ちぃと根性据えなあかん思うてやなぁっ……………親父は、どんな風にのし上がったか聞いてんねんっ!」
怒鳴るつもりはなかったが、怒鳴りたくなるこのお方。
息子やってくの、大変なんです……………ホント。
「どんな風にて…………んなもん、なるようにな……」
バコッ…………………!!
「ぶっ………………」
嵩原の顔面、ノート激突。
大和の募りに募ったイライラが、父親の答えで爆発する。
思わず手にしていたノートを、父親目掛け、解き放つ。
「ってぇなぁ!何や急に……………おま……………ノートの使い方、間違っとるぞ!」
いや、怒る論点が既にズレている。
そこから息子は、腹が立つ。
「っさいわ!親父の顔を、メモ代わりにしたろう思うたんやっ!」
「だったら、投げんのペンやろ!?ノートのわっか、当たったら痛いんやからなっ」
お父ちゃん、それも使い方間違ってる。
確かに、わっかは痛いけど。
あれ、名前何て言うんだったかな?
最早、何から始まったかもわからないまま、大和の一念発起は終了を迎える。
「ええい、くそ………………やっぱ、親父に聞くんやなかったわ………………」
大和は部屋に戻り、ノートを壁に投げつけた。
「どないしたんですか?若………………玄関の方まで、大きな声、聞こえとりましたよ?」
「た………………高橋…………………っ」
苛つく大和の部屋へ顔を出し、高橋が笑顔で気持ちを諭す。
「何かあるんでしたら、私がご一緒に考えますさかい…………………何でも言うて下さい」
なんだろう。
今更だが、何故一番にここへ行かなかったのか、悔やまれる。
「高橋ぃ、俺………………お前おらんかったら、きっと死んどるわ………………」
まだ若干、17歳。
若すぎる大和の、苦悩は絶えず。
(いつもありがとうございます。今回は、瑞葉様にいただいたコメから、思い浮かんだ物語です。瑞葉様、大和も頑張りますので、宜しくお願いします。皆様、『恋愛男子+』読んで下さり、本当にありがとうございます)
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