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竜童会
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言わずと知れた、全国一の大組織。
その頂点に、お父ちゃんはいる。
まだ二十代半ばで組長になり、歴代で最も愛される『親父』となる。
そして、収まることのない勢いは、2万を越える組員を抱えるまでに成長していく。
竜童会が大きく動けば、国が揺れる。
それだけ、今の竜童会は、堅気でも名前くらいは知っていると言われる位、大きな影響力を持つ。
幹部に名を連ねるだけでも、ヤクザ者にとっては名を上げたと、盛り上がるのだ。
上地率いる白洲会とて、その規模約半分。
「………………………なんや、俺って格好ええやん」
上記の説明に、嵩原はしみじみ頷く。
「アホですか?そないなもん、文章ではどうにでもなります。感心する暇あったら、さっさと書類に判押して下さい」
その手前で、錦戸は大量の書類片手に、ニヤつく嵩原をバッサリと切り捨てる。
「錦戸っ!!おま……………組長をなんやと思うとんねん!俺のイメージ、台無しやぞっ」
「そんなもん、やる事やって下さったら、なんぼでも誉めて差し上げます。こっちは、親父がすぐおらんようなるお陰で、片付くもんも片付かんのです」
最近のヤクザも、事業は変わる。
しのぎや金貸し、土地を転がしたり等だけではなく、デイトレードの様な多くの事業にも名を変え、介入している。
彼らは、生粋のヤクザ。
手を変え、品を変え、生きる術を見出だす。
「さ、早よう終わらせて下さい」
錦戸は、そんな事業を進める為、嵩原に分厚い書類を差し出す。
「…………………お前…………………高橋より鬼やな」
2万を越える組員を、生かすも殺すも、嵩原の匙加減。
だから、おのずと嵩原は忙しく(本当なら)、嵩原を仕切る錦戸は、(無駄な時間を取られる為に)もっと忙しい。
「あ……………でも、そろそろ時間ですね」
書斎の壁にかかった時計を見上げ、錦戸が呟く。
「親父、総会が始まります。組本部へ参りましょう」
「ああ………………もう、そないな時間か」
竜童会には、年間を通して、何度か嵩原自身も顔を出す会議がある。
と言っても、このお方が出席する会議。
真面目に終わる訳ないだろうが………………。
それでも年に一度、全国の竜童会幹部数十名が勢揃いする会議、総会だけは、さすがの嵩原も(半分位は)真面目にやる。
「待て待て………………俺、最低な組長やないか」
嵩原、一人突っ込み。
「今頃わかったんですか?『周りに迷惑かける度、No.1』ですよ。えーと、『お騒がせな人、No.1』でもありますね」
一人文章と対峙にする嵩原の横で、何やら錦戸はスマホ片手に語ってる。
「は?おい、錦戸………………なんや、それ」
「あれ、親父……………知らんのですか?ウチの若手が作ってる竜童会の組内専用サイトです。色々なランキング載っとりますよ?」
何食わぬ表情でスマホを開く錦戸を見つめ、嵩原は眉をひそめる。
「知るかっ!初めて知ったわっ…………しかも、ろくな一番やないしっ!……………何々、『頼りがいのある人、No.1』…………………高橋やないか!俺違うんかっ……………わ、ショック……………総会行く気ィ失せた」
組員の為に頑張ってきた、つもりが………………。
嵩原は壁に顔を伏せ、露骨にへこむ。
「もう、面倒くさい人ですね………………ほら、親父も唯一マシなんありましたよ」
「唯一マシって!そないに俺は、あかんの……」
「『男が見ても格好いい人No.1』です」
「…………………………錦戸、さっと総会行くで」
持ち堪えたらしい。
ビシッとスーツを整え、お出かけ準備。
竜童会の幹部が勢揃いする総会は、関西有数の高級住宅街の片隅に構える、高い塀に囲まれた竜童会本部で行われる。
勿論、警備は重々しく、多くの組員が塀の周りを目を光らせ、彷徨いている。
尚且つ、警察からも機動隊らが出向き、他所の組とのトラブル回避に一役買う。
「お疲れ様です……………っ!!!」
そこへ、嵩原の乗った黒塗り防弾ベ○ツが乗り入れ、数十名の幹部が脇を固めて、出迎える。
当然、事前に大和も、高橋や自分の抱える武闘派部隊を引き連れ、顔を出す。
「おう……………皆、揃うたか……………」
殆どが黒スーツを身に纏い、幹部・警護合わせて数百人が、広い敷地内で、嵩原が車から降りるのを待つ眺めは、まさに壮観である。
こうして、竜童会はより結束を固めていくのだ。
しかし。
竜童会専用サイト………………見てみたい……………。
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