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上地と片山と、大和?
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妙だけど、案外仲がイイ………………?
最近、上地は片山と打ち解けた(本編で)。
長い蟠りの中、片山は上地と歩む事を決め、亡き親友の分も生きていく覚悟を胸に抱く。
白洲会の未来は、明るい。
さすがの冷酷上地も、少しは優しく………………。
「片山、何やこれ。こないな報告、下にさせんな」
滞在中のホテルのラウンジ。
上地は、側に立たせた片山へ、関東での白洲会の成果を記した書類を突っ返す。
バサッ……………………
目の前のテーブルへ、有無も言わさず投げられる、書類。
「……………………申し訳ありません」
反論なく、片山はその書類を手に取る。
竜童会同様、白洲会もまた、数々の事業に着手している。
関東でも、新たに買収したビル経営等を手広くしており、事前に上地へ報告するよう、片山が組員達に指示していた。
そんな流れでの、コレ。
「お前、組員らにナメた指導すんやったら、関東から下ろすぞ」
「はい……………………」
………………………全く、優しさの欠片もない。
しかし、これが上地の愛情だと、わかってる。
下にきちんと指導して、報告させなかった自分が悪い。
片山は素直に頭を下げ、書類片手に立ち去ろうとした。
「何や………………上地って、片山にも厳しいんや」
あの親にして、この子アリ。
「…………………………あ?」
上地丈一郎を、『上地』と呼び捨て。
上地の周りで、そんな恐ろしい事が出来るのは、竜童会組長嵩原竜也と…………………。
「嵩原…………………」
「片山、悪い。待ち合わせに、ちと早よう着いてしもうた。…………………メシ行こうや」
嵩原の息子、大和だけ。
メシ行こうや。
いや、まだ上地が前にいる。
上地が見ていようとへっちゃらな大和に、片山は苦笑い。
「あのな、嵩原………………仮にも、ウチの親……」
「嵩原のガキか…………………相変わらず、ガキのくせに態度デカいな。親父は、何教えとんねん」
上地の気分を害さぬよう、片山が大和を注意しようとした後ろから、上地の言葉が呆れた様に口をつく。
「上地こそ、相変わらず恐い顔しとんな。生まれつきか?」
自分を見つめる上地へ歩み寄り、大和は笑顔でバットを振る。
三塁打位には、なったかも?
「た……………………っ」
逆に、片山は一瞬で青ざめる。
白洲会では、まず有り得ない暴言。
組員が言ったら、お線香立ちます。
「ほざけ…………………お前の態度のデカさと同じや。……………………ったく、親が親なら、子も子やの」
「まあ、そこは納得するわ………………あの親やから」
確かに。
そこだけは、上地も片山も、首を縦に振る。
「……………で?お前ら、メシの約束しとったんか?」
上地は煙草を加え、二人をソファから見上げた。
「ああ………………はい。お互い連絡取ってましたら、偶々時間が空いとるんがわかったもので」
「上地も行く?…………………なんなら、親父に声かけてみるけど?」
「おい、嵩原………………っ」
『行く?』って……………!
ツレか。
さすがに片山が、大和をたしなめる。
「俺が行ったら、片山がゆっくり出来ひんわ……………のぉ、片山」
「あ、いや……………………」
僅かだけ口元を緩め、上地は片山へ視線を流す。
ま……………竜童会の若頭やったら、心配いらんか。
「二人共、金出したるから、好きなん食うて来い」
そう言うと、上地は立ち上がり、財布から取り出した万札の束を、片山のジャケットのポケットへ突っ込んだ。
「すみません、親父………………」
「…………………上地…………たまにはええ事するんやな」
「も………………嵩原……………っ」
父親、そっくりである。
「ふん……………………ウチのエース、頼んだで、若頭」
上地は大和の頭を撫で、二人を残して歩いて行った。
エース。
「………………………親父…………………」
片山は、上地の言葉にハッとし、去っていく背中を眺め続けた。
「上地の奴、頭撫でよった………………熱でもあんのか、あいつ…………………」
神妙な面持ちになる片山の隣で、大和は撫でられた頭を撫で直し、怪訝顔。
「嵩原……………………近い人間で、ウチの親父呼び捨てにすんの、嵩原組長とお前だけやからな?」
「……………………え?」
「他の人間がしたら、まず生きてへんで」
「マジ…………………!?」
大和、今更になって、事の重大さを知る。
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