アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
兄と弟
-
皆様、いつもありがとうございます。
最近、泣きながら本編高橋編(←勝手に自分でそう呼んでいる(汗))を書いてる、ちょっと痛い作者です。
『恋愛男子2』には、私なりのテーマがあって…………なるべく皆を描きたい。
そんな『皆』の一人が、錦戸です。
ジャリ…………………………
雲一つない、晴天の下。
敷地に敷き詰められた小さな玉砂利を踏みしめ、錦戸は一人である寺を訪れた。
手には、色とりどりの花。
楽しい事が大好きだった兄の為、いつも墓参りへは派手な花を持参する。
久し振りの、関西。
まず、一番にここへ来たかった。
「ただいま、兄貴……………………」
静かな墓地に佇む、不釣り合いな若いヤクザ。
僅かに目を細める先には、『錦戸家』と彫られた立派な墓石。
錦戸の兄、錦戸祐の眠る墓である。
シュッ……………………
マッチを擦り、線香に火を点すと、錦戸はゆっくりと手を合わせて目を閉じる。
そして、必ず報告するのが、兄の憧れていた嵩原の事。
本当なら、自分が行きたかったであろう嵩原の側に、今自分がいる価値を錦戸は身に染みて理解している。
兄の分も………………………。
それが、錦戸の生きる意味。
「兄貴……………………今日も昨日も、相変わらず親父は格好良かったわ。惚けた事も言わはるけど、やっぱり親父が一番や…………………」
多分、これから先もずっと…………………。
錦戸は、毎日見ている嵩原の姿を想い浮かべ、兄への報告と同時に、自らの気持ちを再確認する。
錦戸の密やかな、恋。
届かない、叶わない。
わかっているが、好きは止められない。
「ええんや、俺は…………………ただ、見ていられるだけで……………………」
何かをして欲しいなんて、望んではいないのだから。
「ふーん、何がええんや?」
は?
「見とくだけでええって…………………何を?」
何を?
言える訳がなかろう…………!って…………………。
「なっ…………………な、な、な……………」
親父ぃ………………………っ!!
慌てて振り返った錦戸の目に映る、嵩原の不思議顔。
「何しとんですかっ!!貴方は………………っ」
「え?何って…………………俺も、墓参り」
「墓参り…………………!?」
錦戸の呟きに首を傾げながら、嵩原は飄々と墓へ手を合わす。
「………………………錦戸、無事に連れて帰ったで。どうか、しっかり見たってな…………………あんたに負けへん位の、ええ男になっとるさかい」
「親…………………………」
「感謝してもしきれんわ…………………俺に、こないなええ右腕を巡り会わせてくれて」
兄の事がなかったら、錦戸に会う事はなかった。
悲惨な事件ではあったが、それを必死に探っていた弟の行動が、嵩原との出会いを作る。
運命とは、誠に残酷だ。
でも、その残酷な中から生まれる希望もある。
錦戸は嵩原の言葉に、僅かに頬を赤くした。
ええ右腕。
最高の褒め言葉だ。
「さて、次はお前のおかんやな」
「……………………………はい!?」
「当然やろ?お前を俺に預けてくれとんや、たまには菓子折り持って、挨拶に伺わな」
「ぇええ……………………っ!!」
そんな組長、まずいない。
だから、強烈。
だから、好きが倍増していく。
「も、もぉっ…………………親父っ!!」
嫌いになれたら、どんなに楽か。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
94 / 241