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「はい、できた」
椎名は少年のガーゼを施した手の甲をポンと叩いて言った
手当が施された手を上に翳して、ニコニコと透かすように眺めている
この限られた範囲での手当でも、少年がじっと我慢してくれたおかげで身体の痣も確認できたが、さすがに大きな包帯を変えることはできなかった
少年のおでこに触れてみても熱は下がっているようだし、顔色も良いように見える
「これ...飲んで?」
念のために薬を飲ませようとしたけど、それは飲む前から苦々しい顔をして、そっぽをむいてしまった
「飲まないと治りが悪いんだよ?」
そう言っても無視されてしまった
少年はふと立ち上がると寝室までペタペタと歩いていった
「どっ...どこ行くの?」
フラフラと歩きながら向かった先は寝室に浮かぶ窓
窓の大きさは壁の半分くらいで少年が外を覗こうとしても、ちょうど目線の高さで終わってしまい、背伸びをしないと外が覗けなかった
ピョンピョンと飛んだり、爪先で立ってみりして、一生懸命外を覗こうとしている
「なに?何か見えるの?」
立ち上がって近づいてみたけれど、鎖が寝室の窓までは届かなくて少年のそばに行けなかった
少年は椎名の腕をとってグイグイと窓の方へ引っ張っていく
「そっちまでいけないんだよ、ごめんね?」
繋がれた両手を見せてこれ以上行けない事を見せると、少年は少しシュンとして俯いた
「なにか見えたの?」
返事は期待していなかったけれどあまりにも悲しそうな顔をして、俯向くからなんだか心苦しかった
「彼が帰ってきたら鎖のこといってみるから」
なだめるように言葉をかけると小さな手が椎名の手を握り、ぶらぶらと横にふる
「つまらない」と態度で伝えているみたいだった
「ごめんね?」
答えるように手を握り返すと、今度はパッとその手を離してまた窓に駆け寄った
「あー」
何かを訴えるように窓を覗いて、指先でトントン叩いて、椎名を振り返る
「なぁに??」
「あっ...」
何かを言いたい事があるのかな?
--なんだかもう少しな気がする
「なぁに?言ってごらん?」
少年は目を上に向けて考えこむような仕草をみせる
「うぅ...あっぁぁ」
なんだかすぐ喉元までかかった言葉を一生懸命だそうとしてるように見えた
「と...」
少年が何かを言いかけて口を大きく開けた
「え?」
椎名が聞き返すのとほぼ同時にぐらいガチャガチャと玄関から物音が聞こえた
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