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アツキが意外そうな顔を向ける。
「いや、寒ぃから…」
「いやいや、そんな意外っぽい顔されても、嫌だよ。」
「なんで嫌なんだよ!さっきまで、散々繋いでたじゃねえかっ!」
そう言うと、少し空いていた間を詰めて、アツキが俺の手を握ろうとした。
「やめろ!」と笑いながら、俺がそれを避ける。
そんな、他愛のない戯れ合いを俺たちは暫く繰り広げた。
ハルト達とする様な、単なるふざけ合いだったと思う。
少なくとも俺が
「やめろ!キモイ!」
と、言うまでは。
もちろん、本心ではない。
戯れ合いの延長で、笑いながら言った口調だったにも関わらず、アツキから笑顔がスっと消えた。
正確にはアツキがどんな顔をしているかわからなかった。
辺りはすっかり暗くなっていたし、公園内にはポツポツと寂しげな灯りがあるだけだ。
戯れあっている内に、アツキが俺に覆いかぶさる体勢になっており、街路灯や遠くに見えるショッピングセンターの明かりを背負う形になっていた。
そんな逆光の中でも、アツキが普段の眠そうな顔や、さっき見たふざけた笑顔じゃないこと言う事だけはわかった。
なんと言うか…無表情?
俺の言葉のせいで、ナニカのスイッチを押してしまった(いや、切ってしまった?)そんな雰囲気がした。
俺も、このまま笑っているのはいけない様な気になった。
止まったまま動けずに居ると、アツキの口元が微かに動いた。
――リオ…好きだ。
聞きなれた声、割とありふれた言葉。
それが、音として耳から入り、その意味が脳に浸透するのを拒むみたいに、俺の思考が停止した。
呼吸するのも忘れていたいかも知れない。
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