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散々泣いて、やっと涙が枯れて来たらしい。
「…好きって何?」
まだグズグズと鼻をすすりながら、女々しいついでに思い切って聞いてみた。
「好きって……そのままの意味。」
目を見ていないせいか、アツキはすんなりと答えてくれた。
そのままの意味って、そのままの意味?
それが、わからないのだ。
俺だってアツキは好きだ。
でも、俺の好きとアツキの好きは違う気がする。
だからと言って、それをそれとして捉えても良いのかもわからない。
いや??認めたくない…
「キモいん…だろ?」
絞り出す様な声にハッとする。
まだ、顔を見れていないが、きっとあの顔をしているに違いない。
そう思うと、また胸が締め付けられた。
「キモくは…ない。」
「…でも?」
「…でも、信じられない…っていうか…理解できない。」
「ま、理解なんて…出来ない…よな…」
今度は諦めた様な声。
そりゃあ、男ばかりの高校だ。
中にはそう言う趣向の奴らが居るってのは、耳に入っていた。
だが、校内で噂になっている二人を目にしても、ただ、周りが面白半分に囃しているだけなのではないか?と言う気持ちがどこかにあった。
実際のそっち系の人達は、俺らとは、全く別次元に独自のコミュニティを築いているはずだ。
と、思っていた。
キモいと思わないのは、本当だ。
きっと、そんな風にドラマや漫画を見るような感覚でしか見ようとしていなかった。
「ごめん…本当にわかんない。」
「いいよ…どうせ、言うつもりなかったし。」
とうとう開き直った調子でそう言われた。
腹が立った。
それは、アツキに対してなのか、煮え切らない自分の態度になのか、突き詰める余裕は俺にはなかった。
「なんだよ…それ!俺の事、こんなに動揺させといて!じゃあ、最初から言うなよ!!」
自己処理不可能な感情は、必然的にアツキへと向けられた。
「俺だって、言いたくなんかなかったよ!」
いつもは、怒っても、声を張り上げる事なんかないアツキが感情的な声を上げた。
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