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「そういえば何食ったの?昼」
椿がちゅう、とリンゴジュースを吸い上げる。
裕人は自分用にと、買ってきたスポーツドリンクのキャップを開けながら椿を見遣った。
「ん?いつものとこ」
「あー。あの食堂?椿あそこ好きだよなぁ……」
「裕人好きじゃないって言うから付き合わせられないんだよね」
「わりわり、俺、舌が現代っ子だからもっと味濃いもの食いてーんだよ」
「なんだよ。俺だって現代っ子だ」
「どーだか。」
つか、舌が現代っ子ってなに。
相変わらず発言バカっぽいなー……。
そう思いながら椿は裕人を見た。
そうしていると、だんだんとさっきあったことを話したくてたまらなくなってくる。
昔からの癖なのだが、椿は身の回りで起きたことを一番仲のいい人に洗いざらい話してしまうというくせがあるのだ。
「あのさ裕人、聞いてくれる?」
定番のフレーズ。
そのフレーズをもう何度も言ってきた相手裕人は、顔を椿の方に向けた。
「ん?」
「俺ね、会っちゃったんだよ」
「何に?芸能人?」
「芸能人なんてどうでもいいんだよ」
「じゃあなに?」
「運命の人!運命の人に会っちゃったかもしれないんだよ!」
「ほー?」
椿の熱とは裏腹に、興味なさげな裕人の返事。
しかしそんな事は気にせず椿は、話しながら頬が熱くなるのを感じていた。
裕人が自分の話に興味が無いのはいつものこと。
はぁ、と息をついて椿は頬に手を当てると遠くに視線を投げた。
裕人が自分をジト目で見ているのがわかる。
「椿ずっと言ってたもんな。」
「うん、そう。ついに来たよこの時が……」
「運命の相手だってなんでわかるんだよ」
「直感!会ったときにビビって来たんだよ!」
「へぇ……ビビっとねえ」
椿は恋する乙女の顔で語る。
実際恋する乙女なのだが。
椿は夢のような存在だったと思い返していた。
かっこよくてとてもいい匂いのする彼。
一通り思い出して満足したところでふと気づく。
いつもなら裕人はなんだかんだ「よかったな!」なんて言ってくれる。しかし、今はイマイチ浮かない顔をしている。
「どうしたの裕人。」
「ん?いや、いいことだって思うよ。でもさ」
「うん」
「お前の発情期の面倒見れなくなるのかって思うとなんか寂しくて」
「はぁ?!お前馬鹿なの?!」
何を言うのかと思えばこいつは!
椿が思わず力いっぱい裕人を殴る。
すると裕人がぎゃんっと大きな声を上げた。
実は椿と裕人は元恋人関係だったりする。
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