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椿がぽかんと智を見つめてから数秒。
慌てて口を閉じた椿は、口の中のものをゴクリと飲み込んだ。
相変わらずニコニコしながら智は椿を見つめている。
椿の心臓はまだドキドキと大きな音を立てていた。
「……っ、土井さんって負けず嫌いなんですか?」
椿は口に手を当てながら、目を泳がせた。
口の中に破片が残っているを感じる度に、さっきのことを思い出して体の温度が上がってしまう。
「負けず嫌い?どうして?」
「だって……俺がほっぺた触ったから俺のにも触ったんでしょ?」
「んー?んー……どんなもんかなって思っちゃって。急に触ってきたでしょ?そんな気持ちよさそうに見えたのかなぁって。」
「俺のじゃなくて土井さんのですよ……」
「僕のほっぺ触った椿くん、すっごくエッチな顔してたからさ、気持ちいいのかなって?」
「なっ……」
智が自分の頬を触って笑う。
エッチな顔って、なに。
急に全部が恥ずかしくなってきて、椿は顔を覆いながら下を向いた。
「可愛いな……」
すると、今度は頭をするすると撫でられる。
またそれに心臓を大きく動かしながら椿は体を固まらせてしまう。
「髪の毛ぐちゃぐちゃになっちゃう……」
「んー?してあげようか。」
「やっ、やめ……っんうう〜」
「あはは、かわいい。」
わしゃわしゃ頭を撫でられて、顔を上げたら智と目が合う。
なんだかとても楽しくて、幸せで、椿は思わずはにかむ。
「土井さんの方が可愛いです」
「えー?どうして?」
「笑った顔とか、大人っぽいのに意外と子供っぽいとことか……」
「そうかなー?椿くんに言われちゃったなー。」
「そういうとこ、全部好きです。」
ほんと、まだ会って二日目なのに。
知れば知るほど好きになる。
どんな土井さんも、全部愛しくて胸がきゅってなる。
「ありがと、椿くん。」
「いえ……」
にっこりと微笑まれて、頷く椿。
この時はまだこの恋は茨の道なのだと気付く由もなかった。
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