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「ほら、これ食え。」
「あ、ベーコン勝手に使いやがった!!」
椿の目の前に現れたのは、インスタントのコーンスープと目玉焼きとベーコンとトースト。
すごくいい香りがする。
「なに?使っちゃダメだった?」
「ベーコン高いから自分への御褒美にしてたんだよ……」
「ベーコンぐらい俺が買ってやるよ」
「まじ?!」
醤油?ソース?
と聞かれて、この家にソースはあったかと首をかしげる椿。
賞味期限が切れてるんじゃ?
「ていうか、ちゃんと起きれたんだしその御褒美ってことでいいんじゃね?」
「……バカにしてるでしょ。」
「つべこべ言わずに食え。作ってやったんだから!」
「ぐええ、頼んでないし!ていうか俺起きてすぐ食べれない人だし!」
裕人が椿の頭を乱暴に撫でた。
ワンルームのアパート。
ベッドにちゃぶ台に小さい頃から使ってる学習机。
この機に新しいのが欲しかったのだが、買ってもらえなかった。
そのちゃぶ台に椿と裕人は向かい合わせで座りながら言い合いをしている。
「ほらさっさと食え、遅刻する。」
「んぅー……量多すぎ」
「こんぐらい食えよ」
「かーちゃんかよ……」
「かーちゃんじゃねぇよ」
「いたい!痛いから!」
裕人に顔面を掴まれる椿。
昔からこの関係は変わっていない。
裕人は長男で椿は1人っ子。昔からこのスタイルだった気がする。
サクリと割れるトースト。
ベーコンと目玉焼きを適当に切ってからトーストに乗せて齧り付いた。
「そういえば椿、お前さっき何騒いでたんだ?」
「騒いでた?あぁ、そう、裕人、聞いて!日曜日、デートいこって誘われて!」
「デート……って、誰に前に言ってた人?」
「そう!それでね、何着て行ったらいいと思う?ていうかどこ行ったらいいと思う?行きたいとこ聞かれてて!服買わなきゃかなー!」
「女子か……」
生温い目をしながら頬杖をつく裕人。
浮かない顔をしているが、夢の世界の住人になっている椿が気づくはずもない。
「ねぇ、服……どんなのがいいんだろう……大人っぽい服のがいいかなぁ…。でもあんまりキメたらなんか恥ずかしいよね?!意気込みすぎっていうか!引かれちゃうよね?!」
「そんなんいっつもと同じでいーんじゃねーの……」
「裕人だったらどんなの着て欲しい?」
「いっつものでいいよ……」
「ねぇそれって俺の話?」
「お前の話してんだよ!つーかお前俺と付き合ってた頃そんなに服に気使ってなかったろ。」
「なに?使って欲しかったの?」
「……別に。まぁ、真面目にいつもの服でいいんじゃねーの。あと行くとこ?だっけ?適当にドライブでもしとけよ無難だろ」
「なんでそんな機嫌悪くなってんの……」
椿が頬を膨らますと、裕人はフイと顔を背けた。
授業が始まるのは10時。
現在の時間は9時30分。
裕人が時計を見て大声を出すまであと10分。
ちなみに椿の家から学校までは自転車で10分の距離だ。
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