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珍しく朝早くに目を覚ました椿。
時刻は待ち合わせの二時間前だった。
眠い目を擦りながら、ベッドに逆戻りしそうなのを何とかこらえる。
体を起こして、立ち上がろうとしたけど頭の中で立ち上がるだけで視界の景色は少しも変わらない。
「ねっ……む……あと一時間寝てもいいかな……」
枕元の目覚ましを見て、倒れていく椿の体。
そんな体を叱咤するように携帯が音を立てた。
「なに……誰……朝っぱらから……」
震える携帯を見てみれば、裕人からのラインだった。
『起きたか?お前のことだから起きても二度寝しようとしてんだろ。絶対すんなよ。そしたらお前起きるの昼になるんだからな。』
怒りマークと共に怒る顔文字。
見抜かれている。
「わかってるよ」
二度寝しようとしてましたけど……。
そう返信して椿は再度体を起こした。
今日は待ちに待った日曜日だ。
結局デートコースは「どこに行きたい?」という智に椿が「どこでもいいです」と言ったため、智に全てを任せることになった。
結局服は裕人と買いに行った。
しかし裕人は、完全に母親の買い物に付き合わされた息子のような興味の無さ加減だったので、連れていった意味はなかったのだが。
顔を洗って歯を磨いて……朝ごはんを食べてから服を着替える。
そして髪を整えてから、もう1度歯を磨く。
もたもたとしていたら既に待ち合わせの45分前になっていた。
ちょっと早めに行こう。
大概は待ち合わせに遅刻する椿。
待ち合わせの30分前に行くなんてもしかして初めてかもしれない。
待ち合わせに指定されたのは近くのスーパーだった。
智が車で来ると言っていた。
待ち合わせ場所に着くと、待ち合わせ時間の15分前ぐらいになっていた。
椿はキョロキョロと辺りを見回す。
といってもどんな車に乗っているのか知らないから、車を探しても意味が無いのだが。
手の中に持っていた携帯を覗く。
チャットは昨日送ったメッセージから動いてなかった。
黒い服……着てくるんじゃなかったかな。
黒いパンツが夏の日光を全部吸っている気がする。
椿が滲み始めた汗を感じた時だった。
「おはよう椿くん。合ってる……かな?」
「あっ……土井さん……」
黒のスカイラインクーペ……。
何それかっこいい……。
声をかけられて顔を上げた椿と目が合う智。
前見た時はきちんと分けられていた髪の毛だが、休日だからだろうか、軽く前髪が目にかかっている。
それがまた色気を醸し出していて椿は車も相まって智の姿に釘付けになっていた。
「なんか、感じが違うから椿くんじゃないのかと思っちゃったよ。隣乗って?暑いだろ。中涼しいよ」
「あ、はい。」
椿が助手席に回ってドアを開けると、智の姿が目に入ってくる。
さっきは見えなかった部分まで見える。
ハンドルを握っている姿はとても様になっているし、車の内装もシックでオシャレだ。
それに比べ智の着ている服は少しラフで、半袖のTシャツにズボンと言った調子。
白のシャツの中には黒のインナーを着ているようだ。
「し、失礼します。」
「どうぞ。」
どうしよう、すっごいドキドキする。
かっこいい。
心臓爆発しそう。
涼しいとか言ってたけど全然涼しさを感じない。
「なんか今日は大人っぽいね。」
「えっ、あぁ、そうですか……?」
「うん、いつもの年相応な感じもいいけど、そういうちょっと背伸びしてる感じもいいね。可愛くて好きだよ。」
す、好き……。
まるで矢が心臓に刺さってしまったかのように痛む。
好きって言われちゃった……。
自分のことじゃないのに嬉しい。
椿は胸のあたりの布をきゅっと掴むと、緩む頬を制御するように唇を噛んだ。
「結構来るの早かったね待った?」
「あっ、いえぜんぜん!」
「そう?じゃあ行こうか。」
「はい。」
初めからこんなにドキドキさせられて、俺の心臓は持つのだろうか……。
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