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「は……あぅ……。」
ふわふわとする頭。
力の入らない体を智に預ける形になった椿は、気持ちを落ち着かせようと息を繰り返した。
「椿くん?落ち着いた?」
「落ち着いたっていうか……逆に……無理です……」
「ふふ、可愛かった。腰抜けちゃったもんね?刺激的すぎたかな?」
智に腰をさするように撫でられて、ビクンと反応する椿。
体が相当敏感になっているようで、椿は手の甲を唇に当てると横を向いた。
「土井さん……キス、上手い…ですね…」
「そうかな?」
「沢山してきたんでしょう……何人としたんですか……」
椿は頬を膨らませた。
そりゃ、沢山してて当たり前だし、キスうまいのは想像できてたけど……。
それにしても……すごかった。
こんなキス、初めてした……。
「おじさんだからね……それなりにね……」
「気持ちよかったです……」
「今までで一番?」
「はい……」
悔しいけど……こんなキスしらなかった。
それにキスだけでこんなに気持ちよくなるものだなんて知らなかった。
「かわいいな。もう一回する?」
「えっ、……」
「少しだけ、ちゅって。」
「ちゅっ…?!…んぅ……っ!」
ちゅ、とリップ音を立てて重なる唇。
かと思えばむにりとさらに押し付けられて、椿は智の唇の感覚をダイレクトに感じることになる。
キスをしてる。
その感覚が脳に伝わったと思えば、実感がわくように指先がしびれた。
唇を食まれながら、何度も角度を変えられる。
その度に椿は智の温度、息遣いを感じることになる。
やっぱり……きもち、いい。
トロっと頭の中が溶けて、芯がもっと、と強請り出す。
椿は追いかけるように智の唇を吸って、智の背中にしがみつくように抱きついた。
「は、ぷは……。ちゅ、じゃない……」
「最後強請った癖に。」
「だって」
「気持ちよかった?」
体がぽっぽと火照っている。
改めて気持ちよかったかと確認されると、恥ずかしくなって椿は「う、」と俯いた。
「機嫌治ったね。さ、着替えよう。」
置かれていた服を再度掴んで椿に渡す智。
誤魔化された、キスで。
キス自体は嬉しいことなのになんだかそれが切なくて、椿はこくりと頷いてそれを受け取ると智に背中を向けた。
「見ないでくださいね、スケベさん。」
「辛辣だなぁ〜?」
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