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着替え終わった椿はとてもドキドキしていた。
なぜなら、服からは智の匂いがしているからだ。
その匂いが動くたびに鼻腔を刺激する。
少しでも油断をすれば勃起しそうだ。
「やっぱりおっきいね。」
「……あ、はい。」
「うん……なんだか……。なんでもないや。」
ぐるっと椿の姿を見た智が、首を振って口を噤む。
椿はそれに首をかしげながら自分の姿を見た。
確かに自分には智の服はぶかぶかだ。
肩幅もあってないし、ズボンなんてずり落ちそうだ。
紐で思いっきり締めておいたが。
脱げたらどうしよう。
「……しょうがないじゃないですか……。そりゃ俺だって土井さんぐらい身長欲しかったですよ……」
「そのままでいいよ〜かわいいから。」
「その可愛いってアレですよね?!バカにしてる方のヤツですよね?!」
「違う違う。ほら、そろそろ行こうか。」
ぎゃーぎゃー騒ぎ出す椿の頭を軽くぽんぽんと撫でた智はドアに向かっていく。
それに椿は慌ててついていきながら、撫でられた頭に触れた。
何だかすごく一気に距離が縮まったような気がする。
それは自分だけが感じてるのかもしれないけど……。
とぼとぼとついて行ってみれば、智がふと立ち止まる。
椿は慌てて智にぶつかる寸でで立ち止まると目の前の背中を見つめた。
すると、くるりと体の向きが変わり、智が振り返った。
「どうする?登ってみる?」
壁を前にしてたじろぐ椿。
登ってみる?って簡単に言うけどそんな簡単なものじゃない。
いや、簡単なのかもしれないけど……。
「こことかね、傾斜も低いし……限定もないから楽だと思うよ?このね、番号書いてあるでしょ。10って言うのが一番簡単なんだけど、その目印が書いてある石をつかんだり、足を乗せたりして上に登るんだ。それで一番上の石をタッチしたら終わり。ここはどこに足を置いてもいいからね、すぐ登れるよ。」
「へ、へぇ……」
つまり、同じ番号がついたところを登っていけばいいということ……。
椿は近くに寄って石を見つめると、次にてっぺんを見つめた。
「やってみる?」
「あの、でもなんか俺、よくわかんないって言うか。」
できない事はなさそうだけど、慣れてる人の前でいきなりやって、しかもやり方違ったりしたら恥ずかしいし……。
なんだかはじめにするのも恥ずかしいし……。
「ん?簡単だよ?やったら分かるよ。」
「あの、お手本見せてください。」
「えー?お手本ってほどのもんできないよ。」
「でもほら、俺より出来るのは確実じゃないですか。お願いします!」
「……仕方ないなぁ……。見られるの恥ずかしいしそんな大層なもんじゃないんだけど。」
ボルダリング用のシューズを履いた智は、困った様に椿を見ると眉を下げて壁の下まで歩いていった。
壁の下には分厚い低反発マットが敷いてあるのだが、とても歩きにくそうに見える。
そして智は、ぱんっと手をひとつ叩くと、一番下の石に足をかけてそのまま石を掴む。
するとそのまま、スイスイと上まで登っていってしまった。
ぽすりという音とともに着地して椿を振り返った智。
あまりにも早い出来事過ぎて椿は口をあんぐりと開けたまま動けなかった。
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