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小学生の頃縄跳びをしていた時に、技と回数が書いてあったシートがあった。
そんな感じのシートを受け取った椿は、自分がクリアしたコースにチェックを入れていった。
1時間ぐらいだろうか。
次第に難しくなって出来なくなってきていた。
ところどころ智が見本を見せてくれるのだが、どうも上手くいっていなかった。
それどころか椿の体は初めてする動きに対して悲鳴をあげ始めていた。
普段使うことのない筋肉が使われて、痛みが出てきている。
石をつかむ指先も痺れて握力がなくなってきている気がする。
「疲れちゃった?」
「結構……腕とか……凄いです。」
ベンチに横に並んで座るふたり。
気遣うように智は椿を覗き込む。
椿は自分の腕を揉みながら、はにかんだ。
「椿くん結構飛ばして腕の力だけで行こうとしちゃうもんね。」
「……石見つけるのが難しいんです……」
「確認して登ってるじゃない」
「上に行くとそれどころじゃなくて。」
ははは、と笑う智が手元にあったスポーツドリンクを煽る。
何の気なしに椿はそれを追う。
ペットボトルの飲み口が智の唇に押し付けられると、形のいい弾力のありそうな唇が形を変えた。
ペットボトルの液体は徐々に智の口の方に流れて行く。
ごくりと喉仏が上下した。
小さな呼吸音と共に離れた唇は、濡れて光っていた。
椿はそれをみて、何故か咄嗟に目を逸らした。
体が火照ってまた興奮しそうになっている。
やばいやばいやばい。
エロすぎないか?
エロすぎるだろ。
椿が頭の中で素数でも数えようかと思った時だった。
「どうしたの?」
「えっ、いや。」
「んー、喉乾いた?飲む?」
気をきかせた智が差し出したのは、自分が先程まで口をつけていたペットボトル。
そんなものを目の当たりにした椿の心臓はまた大きく跳ねた。
間接キス?
キスじゃん。
どくん、どくんと心臓が跳ねる。
椿は数時間前智にキスをされた感覚を思い出していた。
無意識に唇が開いて、震える。
間接キスできるぐらいで喜んで、小学生かって感じだ。
それでも今の椿にとっては、どんな接触も嬉しいわけで。
期待とともに恐る恐る椿が手を伸ばそうとした時だった。
智が動きの遅い椿に不信感を感じたのか、なにかに気づいたように声を上げた。
「あっ、ごめん。僕のんだやつだ。」
「えっ」
「新しいの買ってくるよ。同じのでい?」
立ち上がる智。
手の届かない位置に行ってしまったペットボトル。
「え!待って!」
「ん? 」
椿は思わず智の着ている服の裾を引っ張った。
自販機に向けられていた智の目が椿の方に戻ってくる。
「あの、それが……いいです。」
「え?」
「これが、飲みたいです。」
椿は立ち上がると、智の持っていたペットボトルを取って口を付けた。
そしてそのまま液体を喉に流し込んだ。
喉にしみる冷たい液体。
唇に当たる飲み口は、さっきまで智の唇に触れていたもの。
間接キス。
また俺土井さんとキスしてる。
ごくり、ごくりと飲み込んで、唇を離した。
唇が熱を持っている気がする。
「椿くん……」
夢中になって飲んでいた椿は智の呼ぶ声でやっと我に返った。
椿を見つめる智の目は少し面食らったような顔になっている。
引かれた?、やりすぎた?
「あっ、えとっあっ、ごめんなさい。口拭きます!」
慌てて服の裾でペットボトルの口を拭こうとする椿の頭に智の大きな手が降ってくる。
その感覚に椿が顔をあげれば、智はその手を軽く動かして顔を綻ばせた。
「いいよ。ふふ、君って子は本当に。」
そしてそのままペットボトルの蓋は絞められた。
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