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智にしては荒々しい運転。
激しく唸るエンジンと、いつもより大きく感じる遠心力。
椿は脱ぎかけていたズボンを脱いでしまうと、そのまま下着も脱いだ。
ビクビクと脈打つそこを両手で擦りながら頬を座席に擦り付けた。
「んぅ……っううー……は、あ、あ……」
「椿くんやめて、事故しちゃう」
「らって、らって……痛い……っんぁ……あっ……出る、あっ出ちゃうぅ……」
「もうすぐ着くから。楽にしてあげるから一人でしないで」
勢いのない精液がどんどん先端から出ていく。
椿はそれを感じながら、逃げ場を探すように足を擦り合わせた。
地獄。
椿にとって発情期は地獄でしかない。
文字通り発情を一週間続けるのだが、症状の重い椿にとってその一週間は相手がいなければ死んだ方がいいと思えるほどだった。
1人で何度出したって収まらない。
終いには触るのも痛くて触れなくなる始末。
何も考えられなくなって、ひたすら高まる欲求を解消することしかできない。
酷い時には意識を失っているのにひたすら擦り付けていることだってあるのだ。
医療技術の進歩により発情を抑えられるような薬も出たらしいが、椿には専らそれが効かない。
しかも副作用が強く出る。
強い薬を飲んでひたすら嘔吐と下痢に耐えるか、はたまた欲求不満に悩まされるのか。
どちらを取っても地獄でしかない。
番を作り、妊娠でもして子供を産めば体質が代わり楽になるという話もあるらしいが。
「もう着いたから」
智の声が聞こえて、椿は朦朧とする意識で見える窓から外を覗いた。
辛うじて建物の屋根が見えたが、椿には身に覚えのない建物だ。
「……あらら、派手にやってるね……椿くん、薬は効きにくいのかな」
足元の方のドアが開いて、智が椿を見やる。
そして羽織っていたシャツを椿の下半身に掛けるとそのまま横抱きにして抱え出した。
「……土井さん……いい匂い」
「君の方がよっぽどいい匂いだ。でも……強すぎる凶器だよ。」
「ん、……は……っ」
「こら、触らない。もう少し待つんだ」
掛けてくれたシャツがすぐに濡れていくのがわかる。
耐え難い疼きに椿が張り詰めたそこにまた手を伸ばせば、智に咎められる。
智は車の鍵を締めると、椿を抱き上げたままその建物に入った。
そして何やら手続きをするとさらにエレベーターに乗りこんだ。
「密室すごいな。これ後から入った人が当てられちゃうよ」
発情期を迎えてからも、酷さには波がある。
ほんの少しだけ波が引いた椿は、少しだけクリアになる視界でエレベーターの階数が変わるのを見留めた。
そして智に抱かれていることを認知すると体を震わせた。
俺は、なんてことを。
羞恥でたまらなく恥ずかしい。
暴走している時の記憶がない分マシなのか、はたまたその逆なのか。
椿は、智の胸に顔を押し付けて小さく声を出した。
「土井さん……ごめんなさい」
「うん?意識戻った?」
椿から目を離していた智だったが、椿の声で視線を元に戻す。
「はい、あの、なんていえばいいのか、ほんと……迷惑かけてごめんなさい……」
「仕方ないことだから、謝らないで。でも僕がいてよかった。あそこに僕がいなかったらって思うとゾッとするよ」
確かに。
そう思いながらも触れ合う箇所は熱を持っている。
しかし、ベータでさえ近くで嗅げば狂ってしまう俺のフェロモンを嗅いで、どうしてこの人は無事でいられるんだろうか。
ヒートを起こしていないのが不思議だ。
間違いなくこの人はアルファなのに。
「もうすぐ部屋に着くからね。」
「あ……はい。ほんと……迷惑かけて……ごめんなさい……」
「ほらほら、謝るの禁止。」
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