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「立てる?下ろすよ。」
「あ、はい……。」
部屋に着くと智が椿を床に下ろす。
とさりと音がして乗せられたシャツが落ちた。露出する下半身に今さらながら羞恥を感じて顔を真っ赤にした椿。
しかし既に力の入らなくなっている足では立つことも出来ずへたり込んでしまった。
「立てないか」
「ごめんなさい、ほんと……情けない」
「ううん。ベッドに運ぶよ。」
再度智が椿を抱き上げる。
そして椿の体は数メートル先のベッドに下ろされた。
椿が辺りをキョロキョロと見回す。
ベッドに机、それから風呂、冷蔵庫。
ホテルのような、けれども少し違うような。
今まで入ったことない場所のような雰囲気に椿は上半身を起こして、落ち着きのなさを顕にした。
「土井さん……あの、ここは?」
「ん?分かんない?」
智はと言うと水を取り出してそれをゴクゴクと飲み干している。
椿とは一定の距離を保ったままだ。
「えと、分かんない、です。」
「ラブホだよ」
ラブホ。
緩くなっていた疼きがズクンッと大きくなった。
名前だけは聞いたことのあるその場所。
セックスする場所……。
そんな場所に。
「僕ちょっと汗を流してくるから。ほんの少しだけ待ってて」
「あ、はい、」
発情期がきっかけとは言えど、俺土井さんとヤっちゃうのかな。
土井さん……嫌じゃないかな。
無理やりヤるのと同じようなもんだもんな。
遠くからザーザーとシャワーで水を流す音が聞こえてくる。
椿はその音に顔を赤くしながら布団にくるまった。
待ちきれない……。
待ちきれない、けど。
また疼きを大きくしていく体を抱きしめて、椿は足を擦り合わせた。
もう股間はドロドロで、何がどの液体なのかさっぱりわからない。
幸せじゃない。
複雑な思いを抱えながら椿は胸元を押さえた。
こんな状態になって思い出すのは裕人の事ばかりだ。
いつも面倒を見てくれていた裕人。
倒錯して何が何だか分からない。
自分はいつもそんな状態だった。
今回だって発情してからしばらくの記憶が無い。
こんなに好きで、いい格好をしたい人の前でも本能には抗えない。
自分は所詮オメガ。
欲求に忠実で、はしたない。
子孫を残すことしか頭にないような動物みたいな人間。
裕人がそう思うのも仕方がないのかもしれない。
「うっ……、んぅ…うう……っ」
熱を上げる体。
どんどんと波が大きくなっていく。
そうすれば自分はまた何も分からなくなって、ひたすら快感を求めて浅ましい姿を晒す。
みっともない姿。
人間とは思えないそんな姿。
こんな欲望の前に、恋愛感情なんてあるのだろうか。
発情期になれば俺は、誰でもいいと思うのではないだろうか。この疼きを解消してくれる術を知っている人なら、構わず赦してしまうのではないだろうか。
気持ち悪い。
俺、気持ち悪い。
どんどん疼きが強くなる。
汗が吹き出してきて、鼓動が速まる。
また何もかもわからなくなって、自分は情けない姿を見せる。
股を開いて下品に相手を誘う。
その時きっと相手は誰でも良くなるんだ。
嫌だ。
こんな自分は嫌だ。
椿はおもむろに立ち上がると、すぐに力が入らなくなって崩れる体にムチを打って辺りを探った。
緊急抑制剤があるはずだ。
それは大概どこの建物にも設置してある。
備え付けるのが義務になっているからだ。
「……椿くん?!何してるの?!」
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