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椿の家に泊まった智。
有り余る食材で晩御飯を作り、一緒にお風呂に入った二人は当然のことのように体を重ねて朝を迎えてしまった。
いつもはなかなか起きない椿だが、智が居ると朝日が登ると同時に起きてしまう。
智の寝顔を見たいという気持ちが覚醒時刻を早めているのかもしれない。
夏だからということもあり、智はパンツ1枚。
椿も下着とTシャツを着ているのみ。
たくましい腕が自分の枕元の下を通っているのを確認した椿は、空いていた距離を詰めた。
「んん……、起きたの椿くん。」
椿が身動ぎした気配で目が覚めたのか、智がうっすらと目を開けてまだ眠そうな声を出す。
低く、掠れた声。
その声は色気に溢れている。
椿は智を見上げた。
「……あ、智さん」
「早いね起きるの」
「そうですか?」
「うん、起きないとか言ってたから……すごい早起きじゃない……」
朝日に目を細める智。
少し眩しそうに目元を掌で覆うと、光から逃げるように椿の方を向いた。
いつも開いている目が閉じている。
低く唸りながら眉間にしわを寄せるその仕草がまたかっこいい。
「智さんはまだ眠いですか?」
椿が智の顔にかかる髪の毛に触れる。
そして払い除けるように撫でると、智の目がうっすらと開いた。
焦点の定まってない目が段々と椿に狙いを定め、ゆっくりと視線が混じり合う。
智はゆっくりと瞬きすると、口角を上げた。
「うん……少し……ほら、昨日運動したから……さぁ」
運動。
椿は一瞬だけ呆けたような顔をするも、すぐに頬を染めながら眉間にしわを寄せた。
「……、スケベ……」
「ふっ、顔赤くなってるよ?思い出しちゃった?」
「ちっ、がいます!」
「んー……元気だなぁ。もう少し寝ようよ……」
寝起きにしては大きすぎる声を耳にした智は眉を下げると、開けていた目を伏せた。
そして一つあくびをすると椿を抱き寄せた。
少しだけ開いていた空間が一気に詰められて、椿の体が智の体に密着する。
瞬間生々しく感じる他人の肉感と温度。
椿の体にじんわりとした刺激が広がって、触れ合った箇所で生まれた熱は一箇所に集まっていく。
「っ!!……あ、の……」
椿は慌てて智の胸をトントンと叩く。
少しだけ腰を引いて、バレないように。
けれど、椿の耳元には絶えず智の吐息が触れている。
「うん?」
より直に感じる智の声。
鮮明で声から温度さえ伝わってきそうなほどだ。
椿は目をぎゅうっと瞑って足を折り畳んだ。
そしてできれば聞こえませんようにと声を潜めた。
「あんまりくっつくと元気になります……」
「あははは!!いいよー?椿くんなら大歓迎」
しかしこの距離だ。
音を出さなくとも伝わるだろう。
しっかりと聞き取った智は少しだけ体を離して椿を見つめた。
「ちょっと……笑い事じゃないです……」
高鳴る心臓は落ち着きを忘れたようだ。
昨日だってしっかりしたくせに。
椿は目線をずらしながら、足を擦り合わせた。
元気なのも困りものである。
智さんは全くその気なんてないのに、自分はその気にすぐなってしまう。
随分ということの聞かない子だ。
そんな椿を見て、智はガバッと二人に掛かっている布団を捲りあげた。
椿があっと声を上げるまもなく、その布をとっぱらった智。
あからさまに椿の昂りに目を向けてから、椿の顔に目を戻した。
椿は慌ててそこを隠しながら顔を真っ赤にすると、口を魚のように口をぱくぱくとさせた。
「舐めてあげようか」
その行動でさえ驚きなのに、智はさらに椿を驚かせる。
椿は目ん玉が落ちそうなほど目を見開いた。
「なっ、め……っ!」
「まえ椿くんしてくれたもんね。僕もしようか」
「い、や……あの、……」
「うん?」
恥ずかしい、恥ずかしいのだけど……!
智が椿を見つめている。
椿は股間を手でぎゅーと抑えながら智を見上げた。
「して欲しくない……と言ったら……嘘になります……」
恥ずかしさのあまり少し歪む視界。
しかし智の表情は鮮明に見える。
椿の視界に映っている智の顔は柔らかく綻んだ。
「ふふ、可愛いな。いくらでもしてあげるよ。」
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